高校生編
桜杯
第21話 取材
「これがあの日起きた全容です」
「なるほど…スタンピードを経てから何か変わったこととかはありますか?」
「色々ありますよ。例えば、自分自身の心の中のの『なにか』を失った気がします」
「その『なにか』というのは?」
「自分でもよくわかっていません。多分ですけど倫理観とかそこらへんじゃないですか?(笑)知りませんけど」
「そうですか。それでは最後に1つだけ、来週の『
「負けないとだけ言っておきます。というか俺が負けるレベルの相手っているんですかね?」
「強気ですね(笑)」
「事実だと思いますよ。現に中学の時のトーナメント戦では無敗でしたので」
「でも最近はダンジョンで活躍している若者も多いですが…」
「公式戦で勝てないからダンジョン配信とかに逃げただけでしょ。そんな奴らなんかには微塵も負ける気がしません」
「なるほど……それでは取材は以上になります。ありがとうございました」
「こちらこそ」
中学生時代に起きたスタンピードに遭遇してから自分の中に何かが壊れたような気がする。何かが壊れたのかはわからないが、周りに人曰く『ぶっきらぼうになったようなきがする』とのことだ。
スタンピードを経てから3年経って俺も今はもう高校生だ。
思えば中学もあっという間だったななんて思いつつ高校を満喫している。
「で?輝かしい高校生活がこれか?」
「しょうがないだろ。中学も高校も俺たちは1クラスにまとめられるんだから」
「それはそうなんだけどさ、新鮮さがないというか…」
「「「それはそう」」」
高校上がったはいいものの、相変わらず華族や上流階級でクラスはまとめられているせいか特に新鮮でもない高校生活である。
「ほんで、取材はどうだった?」
「スタンピードのこと聞かれた」
「俺も」
「綾人も聞かれたの?」
「聞かれた。真也も聞かれた?」
「聞かれたよ。なんで未だに聞き続けるかね?」
「今後一生3人は聞かれると思った方がいいよ」
「最悪だぁ~」
「これだからマスコミは嫌いなんだ。まじでいい加減にしろ」
高校に入ってからも特に変わらず毎日を過ごしている。
最近はマスコミが俺たち以外にお熱なおかげで前よりかはましになっている。
が、比較的にマシになっただけで未だに怠い。
「マスゴミが減った理由って何?」
「なんかダンジョン配信ってやつが流行ったおかげで注目が俺たちから移ったらしい」
「ダンジョン配信ってあれだろ?対人戦で勝てないから逃げていった連中」
「その逃げていった連中がネットで話題らしいぞ」
「へぇ~、やっぱ顔?」
「たぶん?詳しくは知らん」
世間の注目が俺たちから移り変わっていっているおかげで今までの害悪パパラッチ共が減っているのは大変うれしい。そのおかげもあってか最近は割と精神的に健康になっている気がする。
「そのダンジョン配信をしている連中が桜杯に出るってさ 」
「らしいね。ボッコボコにしたる」
「あぁ~、辞めた方がいいよ?ダンジョン配信をやってる奴らの信者って結構過激だから」
「あいにく炎上その他諸々には慣れてるもんで」
「嫌だなぁ、炎上慣れとか…」
◆
「ダンジョン配信ってこれ?」
「それそれ」
「これ見る価値あるか?」
「ないね。対策しなくても勝てる相手だね」
放課後、高校の鍛練場に来た俺たちはネットに上がっている桜杯の対策としてダンジョン配信とやらを見ることにした。が、見たところで対策にならないことが分かったため見るのをやめた。
「これ見てるぐらいならお前らと模擬戦した方が100倍ためになる」
「それな。じゃあ早速やろうか」
「オッケー」
スタンピードに遭遇してからあまりダンジョンに行く回数が減った。
というのも家族からダンジョン攻略を辞めるように言われているためだ。
両親曰く、
「ダンジョンに行くのも行かないのも自由だけど、私たちは行ってほしくないって思ってる」
とのことだ。
そこからダンジョンに行く回数はかなり減ったような気がする。
というかあのスタンピードを経てからダンジョンに行かずとも模擬戦をするだけである程度強くなれるようになった。
結果ダンジョンに行く回数が格段に減った。
「なんでダンジョン行かなくても強くなるようになっただろうね」
「死にかけたから?」
「割とありそうなんだよね。死にかけたおかげで自分たちの何かが変わった気がするし」
「多分だけど死にかけたおかげで模擬戦でも全力で戦えるようになったんだよ」
「あぁー言われてみりゃ俺たち模擬戦でも普通に殺す気で戦ってるよな」
「たしかに、周りから見たら結構異質かも」
一回死にかけたおかげでダンジョンに潜らずとも全力で戦えるようになった。
言い換えるのならば『友人と殺す気で戦える』ようになったのだろう。
普通に考えて、特に恨みもない相手に殺意マシマシの攻撃ができるのっていろいろおかしいよな。
やっぱりスタンピードを経て俺は変わったんだと思う。
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