第14話 ダンジョン攻略

「明らかに実戦経験がなさすぎる」


「それな」


普段通りの学校、放課後の模擬戦を繰り返していくうちにそういう考えが頭の中に残るようになっていった。

普段から同じクラスメイトと戦っていくと次にどういう攻撃が来るだのなんだのの読みあいができるようになってしまっている。

当然、これが基礎的な力の向上につながっているというのは100も承知だがいい加減他の人とも戦いたい。


というのを今クラスメイトと話している。


「クラス外の人とかを誘ったりできないの?」


「無理、声をかけただけで逃げられる」


「嫌われてやんの」


「これも全部偏向報道をするマスゴミのせいだ」


なんて話しながら制服に着替えて訓練室を後にする。


「なんか大会とかないの?」


「中学生の大会はほぼないね」


「学校主催の大会を増やしてくれたらいいのに」


「それな。5月のあれが年に唯一の大会とか終わってる」


高校生になれば出場できる大会も格段に増えて色々なことができるようになるが俺たちはまだ中学生なのでそれはできない。それに学校主催の大会も年に1回だけ。


「やっぱダンジョンか」


「ダンジョン行く?」


「今の状況ならダンジョン潜ったほうがよっぽど実りがあるよ」


やはりダンジョン、ダンジョンは世界を救うというわけだ。

まあずっとおんなじ相手を戦うよりもダンジョンに一緒に潜っていろんなモンスター相手に戦ったほうがいいのではないだろうか。


「夏休みって暇?」


「なんで?」


「夏休みさ、ずっとダンジョン潜ってようぜ」


「あぁ~、いいかも」


「というか今からでも模擬戦やめて放課後はダンジョン潜ってたほうがいんじゃない?」


「どうする?俺はどっちでもいいよ」


「俺もダンジョン行くのに賛成」


どうやら今後の方針が決まったようだ。





「ダンジョン久々にきたー」


というわけで翌日、早速やって模様ということでダンジョンに来ている。

ダンジョンに来て今日はあんまり時間がないから普段なら丁寧にモンスターを倒していくが今日はスピーディーに倒していく。


「遅れたらどうする?」


「おいてく」


「緊張感があっていいね」


ダンジョンのゲートをくぐって全員全速力で走りだした。





「これ何層目?」


「わからん」


「25層目ぐらい?」


全速力でダンジョンを攻略していたせいで自分たちが何層目にいるのかがわからなくなった。まあ問題ないかということでそのまま攻略を続けているわけだが如何せん戦い方がヤバい。


まず俺がある程度モンスターを短刀で殺して、残ったモンスターを俺の後ろにいる奴らが魔法でつぶす。

はたから見たら敵サイドの戦い方だ。だけど爽快感があってめちゃくちゃ楽しい。

まるでダンプカーで人間を轢き殺すような感覚だ。


「これめっちゃ楽しいね」


「わかる。虐殺者になった気分」


「湊~、そろそろお前も魔法使ったら?」


「俺近接鍛えるために縛りプレイしてんの」


と駄弁りながら時速30キロで男子中学生が突っ込んでくる。

モンスターからしたら恐怖のほかないだろう。


だけど俺たちは足を止めるのをやめない。スピードを落とさずにダンジョンを攻略して階層ボスも一撃で仕留める、というか仕留めてもらっているといった表現が正しいか。一緒に攻略しているクラスメイトの魔法で仕留めてもらっている。

そんなこんなで下まで降り続けているといつの間にか時間になっていた。


「俺もう帰らないと門限過ぎちゃう」


「マジ?そろそろ戻る?」


「俺もそろそろ帰ろうかな」


「それじゃあ上に戻るか」


ゆっくりとスピードを緩めてそのまま歩いて上に向かう。

階層はわからないがおそらく敵の強さからして30層は突破しているのではないか?

やっぱり集団でダンジョン攻略をすると攻略スピードが全然違う。


これならもっと下層の強いモンスターとも戦えることができる。

そうすればだんだんモンスター側の火力も速度も上がって行っていつかは俺たちがギリギリ勝てるか勝てないかの戦いができるようになる。


それまではいったん無双ゲームのようにモンスターを狩り続けよう。





そこから毎日のようにダンジョンに潜った。

初日以降はダンジョンの階層を数えて降りていたところ自分たちの最終攻略階層は37層だったことが分かった。

そこからは毎日階層を下へ下へと進めていき夏休み前には40層まで攻略することができた。


40層にまでなっていくと階層ボスを倒すのが一苦労になってくる。ただひたすらに無双していた時とは違ってだんだんちゃんとした戦闘ができるようになった。


前までも戦闘自体はできていたもののこっちが力を抜いていた。

だけど今は全力で戦ってほぼ互角の戦いができるようになっている。


前までの戦いがチャンバラごっこに感じるレベルでモンスター側が強くなっている。

うれしい反面もしかしたら負傷して最悪死ぬかもしれないという恐怖が相まって結構楽しくやっている。


それはそうと最近ダンジョン内のモンスターが日に日に減っているような気がする。

とはいえ減れば減るほど下まで攻略できるようになるから正直ありがたい。


夏休みにもなればもっと攻略できる時間が増えてさらに下まで攻略できるようになる。そうすればもっともっと強くなれる。


もうすぐ来る夏休みを楽しみにしながら今日も今日とてダンジョンを攻略している。

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