第10話 日常生活

記者に追い掛け回されながらの生活も慣れてきた。

まあ、まだ2日しかたってないんだけどね。やっぱり人間の適応能力ってすごいや。


それはそうとトーナメント戦が終わってまだ4日しかたってないのにもうすでに俺を対策している人がちらほらといる。

具体的には魔法杖に武器を合わせて近接攻撃を可能にした者、『そもそも相手に近づけさせなければよいのでは?』と範囲攻撃を覚えて来た者、各自さまざまだ。


ちなみに個人的に一番厄介なのは『魔法杖に武器を合わせて近接攻撃を可能にしたやつ』。かくいう俺も対近接攻撃の攻撃を人間から受けたことがないので俺自身も近接攻撃が弱点になっている。



「お互い近接攻撃の対応が下手」


「それな」



「まあ、俺は別に魔法を使えば近接はカバーできるから問題があるかって言われたらあんまりないな。お前はそもそもの前提条件が違うからなぁ」


「そうなんだよねぇ……」


「じゃあ俺はこっちだから」


「おう、またな」


綾人と別れた後、俺はダンジョンに向かった。





ダンジョンにさえ行けば顔を隠す必要はないから気楽だ。

綾人と別れた後、1人で久々のダンジョン。といっても1週間かそこらぶりだが...


前回は16層まで行けたから今日の目標は20層だ。

と、思っていたが思ったよりも楽に進めることができたおかげで20層目に割と簡単に到着できた。


「モンスター少なくね?誰かが狩りまくったんかな…」


と疑問にしつつ20層の攻略を始める。

20層には皆さんお世話(意味深)になってるオークが登場する。ちなみにオークの肉はめっちゃうまい。

ここのダンジョンはモンスターが自然消滅して魔石がドロップするタイプのダンジョンだから肉をとることはできないが他の自然消滅しないタイプのダンジョンではオークの肉やその他エトセトラがとることができる。


まあ倒したモンスターのとかめんどいし俺は自然消滅しないタイプのダンジョンには行かない。というか行ったことがない。


「オーク肉のステーキ食べたなぁ」


と、ぼやきながら20層の攻略を開始した。





さすがと言えばいいのか、やっぱりオークは強い。

まあ2足歩行だしナチュラルに人間よりもでかくて力が強いんだから当然かもしれない。


オークが振り下ろす斧は地面をえぐりあたりには土埃が舞う。こんなのに直撃すれば普通に体が真っ二つにしてしまうだろう。

そしてこいつは図体がでかい癖して動きが早い。


もうチートや、チーターやろそんなん!って言いたのが本音だ。まあこういうときは、浅い攻撃を仕掛けまくってちまちま削ればいい。


実際そうすれば倒せる。

けどめんどい。実際、倒すのに10分ぐらいかかった。


「はぁ……疲れた……」


と、愚痴をこぼしつつ20層の攻略を中断した。

いちいち出てくるオークに各10分ずつもかけているようじゃこの先の階層ボスで死ぬに決まってる。

できればオークに対して終始優位をとって戦えるようにしたい。


目標の20層攻略はまだまだ先になりそうだ。





家に帰宅。時刻は19時30分、門限ぎりぎりだ。


家に帰りまず飯を食べ、その後はいつも通り筋トレ、身体強化の出力上げ、そして無属性魔法の練習をする。


戦闘スタイルを買えたとは言え未だに魔法の鍛錬は怠ったことはない。特別に理由があるのかといわれるとないというのが答えなのだが、昔からやってきたからか癖になっていてこれをやらないとなんだか落ち着かない。

もしくは俺の心の奥底にまだ魔法に対するあこがれがあるからなのかもしれない。


魔法陣を4つ展開してそのまま維持する。

『いつか魔法を使う状況が来るかはわからないが、備えあれば患いなしというし…』と自分に言い聞かせながら今日も今日とて魔法の鍛錬を続ける。




「湊~」


と扉が開く。すでに夜9時を過ぎていて、いつの間にか1時間も経っていたようだった。


「今週末ひま?」


「暇だけど…」


「お母さんが夜出かけるから予定空けといてねって言ってた」


「わかった」



そういうと妹は立ち去った。


今週末の予定ってなんだ?と思いつつ特に気にも留めずにその日は就寝に着いた。





週末、親が用意してきた服を見て察した。


「社交界?」


「正解~」


スーツやらドレスやらをタンスから引っ張り出してきて着替える。

社交界といっても名家同士の集まり、これからも仲良くしましょうねみたいなことを話す。子供のころは数少ない名家の友達と会う機会だったから楽しみにしていたけれど今は学校でよく会うし、何なら俺はあまり社交界にいい思い出がないからあまり好きではない。


というのもある日、社交界に行くよと言われてウキウキでとあるホテルに行ったらそこには待ち構えていたカメラマンと記者。

そっからはなんかようわからん質問ばかりされてホテルに入るころには疲労困憊になってた。


というか記者のやつらはどうやって社交界の日程とかを知るんだろう。

普通に気になってきた。というかそもそも社交界にまでわざわざ来て俺たちに聞きたいことって何?

前に聞かれたので覚えているのは属性を持っていないのは本当か?と、ガチで記憶にない不祥事一覧。


うーん、やっぱりマスゴミって糞だわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る