第8話 検証とトーナメント戦
「なんてこんなに強くなったんだろう」
家に着き、今日のあった出来事を思い出してみる。
自分でも煎じることができない。2週間かそこらの実力で今までの連敗がストップ。それどころか明らかに他と一線を画すレベルで強くなっている。
「もしかして俺、才能あった?」
まさかの事実。俺には近接戦闘の才能が開花した?
厳密にいうと相手の隙を見つけるのが得意なのかもしれない。
確かに今日の訓練場でも基本的には相手の魔法を防御しつつ、隙が見えた瞬間斬りかかるというのがほとんどだった。
ナチュラルに俺には魔法よりも剣のほうがあっているという可能性が高いというわけだ。
こうなってくると他の武器も試してみたくなる。
今は短刀で戦っているが近接戦闘となると刀のほかにも剣、斧、ハンマーと色々な武器がある。もしかしたら短刀よりもしっくりくる武器があるかもしれない。
そうなれば早速検証だ。
週末にいろんな武器を買い漁って試してみよう。
そう思いっつ寝床に着いた。
◆
結果的に俺は片手で持てるやつなら何でも行けるらしい。
週末になり、いろいろな所から買い漁ってダンジョンで試した結果、どうやら俺は片手で扱える割と軽めの武器が得意ということが分かった。
逆に、両手剣だったり大鎌、大型ハンマーとかの重量がある一撃系の武器はあまり得意じゃない。
まだ中学1年で体が成長していないからというのもあるかもしれないが俺は軽量で一撃よりも連撃を重視する武器が今のところ使いやすいという結果になった。
とはいっても今の短刀を気に入ってるしこの短刀が壊れるまではこのままでいいかなというのが結論だった。
逆に、これからやることが確定した。
軽量の武器を扱うということは必然的にインファイト時の速度が上がるってわけだからこれから俺がやるべきは持久力を上げるっていうよりも瞬発力を上げる運動。
それとたとえ自分の体が早くなってもそれについていける『眼』がなかったら意味がない。
つまり特定部位の身体強化、というのも『眼』に魔力を集中させる訓練が必要になってくる。
こうなってくるとあとは実行するだけだ。
来たる2週間後に迫っているトーナメント戦に向けて頑張ろう。
◆
具体的にやることを決めた日から毎日、俺は訓練に訓練を重ねた。
日々ダンジョンに潜っては訓練場に行きクラスメイトと切磋琢磨、家については瞑想をして身体強化の出力向上に努めた。
そうこうしているうちにだんだん自分の刀の振る速度が上がっていることを実感し始め、さらに言えば自分の眼が体に追いつかなくなった。
いやぁ、眼の強化も毎日訓練しているとはいえやっぱり追いつかない。
まあ現状、動体視力その他諸々もすべて込みで全力の60%の動きなら眼で捉えることができる。
ちなみにダンジョンは今日までに16層まで攻略できるようになった。
単純に体に強くなったことでダンジョンの攻略スピードが上がったことも相まってかなりの進捗になっている。
しかもこれは魔法を使わずの攻略だ。もし、無属性魔法を使い短刀と併用して攻略したら20層まで到達できるだろう。
そのぐらい強くなった。
いや強くなり過ぎじゃない?
自分でもびっくりしている。
今考えれば『近接戦闘をできるようになればいいんじゃないか』という考えは天才だったのかもしれない。
まあよくよく考えてなんで近接戦闘なんて始めようなんて正気の沙汰じゃないし馬鹿だと思う。
そういうのはさておき、今日はついにトーナメント戦当日。
今の今までの成果を全で費やして勝ちに行こう。
1ヵ月前に出たら出ようという考えをしていたのがウソのようだ。まあ人間全力でやってきたら否が応でも成功させたいし勝ちたいと思えるようになっている。
かくいう俺も1か月前までは訓練場でぼろ負け、お世辞にもトーナメント戦で勝てるとは思ってないし、別に勝たなくてもいいやと思っていた。
だが今は違う。今日は何が何でも勝ちに行く。
そう決めたんだ。
◆
勝っちゃった...勝っちゃったよ...
いや負ける気はなかったけど思ったよりもあっさり勝ち過ぎで逆に調子抜けというかなんというか、ともかく試合には勝てたから今日は良しとしよう。
「優勝おめでとー」
「ありがと」
「マジで強かったね。次までにメタ晴れるように頑張るわ」
「おう」
今日のトーナメント戦に勝てたとはいえ、おそらく次に戦うまでに何らかの対策をとってくるだろう。
特に1組にそろっている連中はそういうのが大好きだ。
メタを張って相手をボコボコにすることに関しては1級品。そしてそれを可能とする実力が追随してかなり厄介な集団だ。
現に俺が無属性魔法しか使えなかったときは、メタを張られて最終的には0勝とかいうよくわからないボコられ方をしていた。
彼らを出し抜かなければ勝てない。
◆
それはそうと今日はクラスメイトと打ち上げをしに行く。
「「「「「「「「「「お疲れ~」」」」」」」」」」
放課後、飯屋に集まってクラスで打ち上げをする。
まあ、今日ぐらいはいつもの訓練をさぼっても問題ないだろう。
そう思いながら打ち上げの焼き肉を楽しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます