第6話 ゴールデンウイーク②

ゴールデンウイーク2日目


今日も近接戦闘ができるようにダンジョン攻略に勤しむ。

2層のボスを難なく倒せるってことは3層に行っても問題ないってことだから今日は3層目を攻略、できるのならば4層目まで攻略したい。


ひとまず1層と2層を速攻で攻略して3層目の入り口に到着する。


3層目は2層目とあまり変わらない。ゴブリンやコボルトがそこら辺を徘徊している。

2層目と違うところは1体の戦闘力が上がっていること。

強いときはモンスター1体がある程度の思考を持って自立して攻撃を仕掛けてくる。


とはいってもあくまで上位互換なだけで慣れれば問題はない。


3層目のボスもコボルトキングと2層目とあまり変わらない。

というかコボルトキングはゴブリンキングのように仲間を召喚しないから人によっては3層目のほうが楽だという人がいるぐらいだ。


まあ、その分攻撃力とスピード、耐久地がゴブリンキングよりもつよいんだけれどね。





昨日よりも丁寧にモンスターを狩っていき、3層目も無事攻略完了。

身体能力よりも小技を使って敵を殺していくイメージで戦っているせいか昨日よりも攻略に時間がかかっているがその分、体の使い方が昨日よりもわかっているような気がするし何なら身体強化の練度が上がった気がする。


身体強化を使って刀の振るスピードやモンスターの攻撃を躱す速度が上がった分、今まで隙だとわかっていても踏め込めなかった部分で攻撃をしっかりと入れれるようになった。

こうなってくるとあとはいかに強敵と戦うかという点に至る。


「予定は4層ボスまでだったけど5層目に行ってもいいかも...」


なんて独り言を言いながら4層目を攻略していく。



ちなみに4層目も相変わらずゴブリン&コボルト。

3層目と違う部分はゴブリンが魔法を使うか否かってところだ。4層目のゴブリンは魔法を使う、いわゆる後衛職と呼ばれている個体と前衛を張る個体が連携して攻撃してくる。


そして5層目はついにコボルトまでもが魔法を使い始める。

コボルトの魔法はシンプルイズベストで『爪に魔力を載せて斬撃を飛ばす』というもの。まあだから何だという話だ。斬撃をいなして近接に持ち込めば楽に倒すことができる。



そして問題なのが5層目のボス。5層のボスは2体同時に出現して戦わされる。

片方はゴブリン、もう片方がコボルト。とはいっても今まで戦ったやつらとはまるで違う。スピードも耐久性も攻撃力も並みの冒険者1人では倒すことすらできない。


ダンジョン教会ですらも5層目以降はパーティーでの攻略を勧めている。まあ現在進行形で俺はその忠告を破っているわけなんだけど…


まあ、なんとかなるだろう。

それに思ったよりも近接戦闘がうまくできているような気がするから俺1人でも倒せるような気がする。

基本的に敵の攻撃は刀でいなすかシールドで対処、そして刀で攻撃。今のところ、これで魔法ですら対応できているのだから大丈夫だろう。




ボス部屋の扉が開き、いよいよ5層目も終盤。


「かかってこい」


といった具合に刀を構えるとゴブリンとコボルトが仕掛けてくる。


片方を刀で迎撃してもう片方をシールドで防御、そしてそのままゴブリンのほうに斬りかかる。


やはりというべきか、見た目は普通のゴブリンのそれだがちゃんと強い。剣技もさることながら極めて人間に近い戦い方でコボルトとゴブリンが攻撃をしてくる。


今までボスと違って防戦一方、ゴブリンの近接戦をコボルトがうまくカバーして隙がない。

そしてゴブリンに意識を割きすぎるとコボルトの魔法攻撃が飛んでくる。


「強いな...」


今までは遠距離からバンバカ魔法を放ってダンジョンをしていたからいまいち強さがわからなかったがこうやって見ると結構強い。


5層目にして初めてのピンチ...ってわけでもないけど防戦一方で拮抗状態。こうなってくると魔法を使いたくなってくる。


もしこれがダンジョンを攻略するという状況なら迷わず魔法を撃つ。こういう拮抗状態を打破するのはそれが一番いい。

だけれどこれは近接戦闘を鍛えるためのダンジョン攻略だ。あまり魔法は使いたくない。それにだんだんゴブリンのスピードに慣れてきた。


「おらっ」


とゴブリンの攻撃に合わせてカウンターを当てると初めてゴブリンに傷がついた。

こうなってくるとありがたい。特にゴブリンなんかの人間みたいなモンスターは生存本能があるのか1度負傷すると積極的に攻撃しなくなる。


だから今度はこっちが積極的に攻撃を仕掛ける。

まずは負傷したゴブリンから狙う。ゴブリンのカバーに入ったコボルトはいったん無視してゴブリンだけを執拗に狙う。


こうなってくるとコボルトは自分が攻撃を受けるという選択肢がだんだん薄まっていく。

ゴブリンへの攻撃を防御しようとしたところを合わせてコボルトに矛先を変える。


そしてそのまま首を斬る。あとは負傷したゴブリンにとどめを刺す。


「終わった~」


ついに5層までのボスを倒した。時計を見て見るとまだ午後の2時、6層も攻略するには少し時間が足りない。となると今日できることは5層のボスを周回すること。


初日同様、5層目のボスを5回ほど倒した後ゴールデンウイーク2日目は終了した。





ダンジョン攻略を終えて地上に戻ってくる。今日のドロップアイテムの換金は2500円、昨日より150パーセント増量だ。



換金を終え、そのままダンジョンを後にする。時刻は夕方4時、家に到着するのはおおよそ5時ぐらいだろう。

電車に乗って最寄り駅までスマホをいじって時間をつぶす。最近は刀の使い方だったり手入れの仕方だったりといった動画を見るのが増えたような気がする。



(閑話休題)



ゴールデンウイークに入って近接戦闘がある程度様になってきているがまだ足りない。特に今までのように動画などのネットで勉強するのも限界になってきている。


となると誰か近接戦闘に詳しい人に聞くのが一番いい。だがこの魔法の時代に近接戦闘に詳しい人などそう相違ない。


いたとしても魔法剣士のような魔法との併用が主で魔法あまり使えない俺には参考にならない。

というわけで困った。どうしたら近接がうまくなれるのかという問題にぶつかった。

ぶっちゃけこのまま我流でずっとダンジョンに潜って技を磨くのもありなのだが如何せん効率が悪い。


誰か師匠のようになる人間はいないのか...

この際人間じゃなくてモンスターでもいいから...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る