メロン
ヤマシタ アキヒロ
第1話
メロン
見えないところで
君が気遣ってくれていることに
僕が気付かないとでも
思っているのかい
バレないように
僕は見てるけど
君のさりげない行いが
僕の胸をしめつける
やわらかなその手が
そっとナイフに触れるとき
ほとばしる果汁のように
僕のすべての毛穴は開く
氷の冷たさが
何も感じなくなるほど
何かに夢中ってことは
きっとこれまでなかったね
えぐれるスプーンの
一さじ一さじ
いま僕の心臓までが
深く削られて行く
組んだ手のひらの向こう
ミルクを入れたコップ越しに
小さく開いた君の唇さえ
僕はまともに見れないよ
(了)
メロン ヤマシタ アキヒロ @09063499480
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます