第15話リアルの祝勝会
エンドポイントはここか。曽良さんに見送られながら、俺達はある地点に着いた。ここが帰る場所だろう。魔方陣を引き、タイムカプセルに乗って、異世界を去った。
目を開けると、そこにはいつもの光景が広がっていた。なんとか帰ってこれたみたいだ。すると偉い人が笑みを見せながら、話し始めた。
「よくあの敵を蹂躙してくれたね。この成果は国も喜んでいるよ。しかもあの戦国武将の戦略を使うなんて、知識も豊富、言うことないね。やっぱり戦国武将は優れていたってことだろうね」
そう言いながら、俺を見る。ばれてんのかよ。まぁ同じ学校の生徒にばれてなきゃ面倒なことにはならないか。この人が皆の目の前で、俺が考えた作戦だとばらすことはないだろうしな。
「それで君達には国から報酬がでることになっている。それでこの世界を楽しんだ後、また次の時代に行ってもらう。次はすごく大変な時代だがね」
「大丈夫ですよ。僕たちが負けるはずないですから」
すると学校の生徒はその発言にうんうんとうなずく。こいつら油断しすぎてないか?あの敵はそこまで幹部じゃなかったんだぞ。次は幹部がでてくる可能性が高い。なんなら、戦略を練って、裏切り者を出してくる可能性だってある。油断は見せるべきではない。俺はそう思いながら、次の世界に行くために気を引き締める。
「そうだといいがね。油断はするんじゃないよ。とりあえず今日は楽しんでいってください」
そう言っておれたを体育館に案内した。そこにはあちらこちらに高級そうな料理が並べてある。生徒達は歓声をあげる。そりゃこんだけ高級料理が並んでいればそうなるな。
校長先生の感謝の話を聞いた後、俺達はそれぞれ食べ始めた。バイキング形式になっているから、一人で食べれるのがいいな。クラスの連中と、同じテーブルで食べたくないし。またなんか言ってくるだけだしな。そう思いながら、俺は寿司もあったので、それを取る。目の前で作っているわ。どんだけ高級寿司なんだよ。
俺はワクワクしながら、マグロを2貫取った。そしていかにもイタリア人が作ったようなパスタも取る。さすが国から、お礼だな。どれも一流のシェフが作ってそうだ。
俺は空いている席に座り、一人舌鼓をうつ。美味しすぎだろ。持ち帰って、食べたいくらいだ。そう思いながら、どんどん食べていく。するとさっき話していたお偉いさんが隣に座った。存在感を消して。偉くなると、そんな能力もあるのか。
「どうだい国が選んだ一流のシェフが作った料理は?」
「どれも美味しすぎですね。持ち帰りたいくらいです」
「ははは、そうか。それなら好き持ち帰るといい?これは君の戦略で勝てたお礼だよ」
やっぱりばれているか。まぁ皆の前で言わなかっただけ好感は持てるが。こっちの事情もよく理解している。いや調べあげられている言った方がいいか。国が選んだんだこっちの事情を知っていてもおかしくない。
「俺がやったことなんて、結局ある程度実力を担保にした作戦にすぎなんいで、そこまでではないですよ」
実際これが幹部なんなら、すぐに異変に気づいて、看破されるだろう。それだけ今回の相手は単純だったから、面白いように上手く嵌まっただけだ。幹部相手だともうちょっと考えなければいけない。
「その謙虚な姿勢いいよ。君には国代表として期待してるし、今度は楽しい学校生活を送れるといいね。どうやら君を理解しそうな人もいるみたいだしね」
「いるといいですね。そんな物好きな人」
いるとしても、そこまで深い仲になるか分からない。俺を理解したところで、俺のつまらなさが分かるってことだからな。魅力に溢れた無水とは違うんだから。まぁあいつは周りを駒にしか見てない節があるが。友達に恵まれているのにそうとしか見えないのは、周りを見下している証拠だろう。何かあればすぐに敵にまわるだろう。周りがそれに同調して、敵に回るのが一番厄介だ。だから細心の注意をはらっておく。
「まぁ頑張りたまえ。それじゃワシはそろそろ行かせてもらうよ」
そう言って、偉そうな人は去っていった。それじゃ続きの食事を楽しむか。そんなことを考えて、席を立つと、ある会話が耳に入ってきた。
「るなちゃんあんなやつといるより俺達といる方が楽しいよ。それに頭のいいるなちゃんは俺といる方が見合っているよ。あんな落ちこぼれよりもね」
「そうだな。ひとつしか魔法の適正がなくて、授業でも下の方に沈んでいるやつなんかよりもな。るなちゃんのとなりにふさわしくないぞ」
どうやら水澄の隣にふさわしくないとかいう話らしい。まぁ実際俺じゃ水澄のとなりにはふさわしくないだろう。これと言った特技はないし。イケメンでもないしな。あいつら一応成績上位で、無水よりも成績はよかったはずだ。無水に敵対心を持ってるから、無水がちょっかいを出している水澄を取ろうとしているんだろう。単純に美少女だから、狙っているというのもあるだろうが。
俺は特に関与しない方がいいなと思いながら、ばれないように食事を取りに行こうとすると、水澄の声が聞こえてきた。
「貴方達に隆之助先輩の何が分かるっていうんですか?誰よりも優しく強い隆之助先輩のことを。貴方はヤクザでも向かっていけますか?あの人はヤクザに絡まれていた女性も助けたんですよ。それなのに特に何かしてもらおうと思わずそのまんま去ろうとしたんですよ。貴方達にそんなことができますか?隆之助先輩を下に見て、バカにするのはやめてください。心底不愉快です」
そう言いながら、水澄はその場を去った。男達は呆然としていた。俺もそこまで想ってくれるとは思わず驚いていた。今度の学園生活は少しはましになりそうだと思った瞬間だった。
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