第13話戦争の始まり

いよいよか。始めての戦争、人の命を奪うものをやる。相手にも家族がいる。つまり戦争をすることによって、悲しませて恨まれることもある。俺はそれを背負えるだろうか?しかも今回の残滅作戦は俺が考えた。だから俺が相手の命を奪ったと行っても過言じゃないだろう。そうすると手が震えてきた。


「大丈夫だよ。隆之助先輩私も背おうから、一人で全部背負おうとしないでね」


水澄が小首を傾げて、目を細めた優しい笑顔で、俺の震える手に手を添えて言った。そうか、俺は一人じゃないのか。今まで妹だけが味方だったから、俺が背負うことが多かった。自分の失敗も成功もそれに関する責任も全部俺が背負う必要があったから。


「ありがとな、気が楽になったわ。やっぱ美少女に言われると違うな」


そう言って俺はにっこりと笑いかけた。すると水澄は目を見開いて口をパクパクしながら、頬を赤くしている。なにか変なこと言ったか?もしかして俺の笑顔が気持ち悪かったか?


「、、、、隆之助先輩の笑顔破壊力高過ぎでしょ。よく今まで彼女できなかったね」


「それじゃ行くか。俺はもう怯えない」


俺はもう一人じゃないんだから、寄り添ってくれる人がいる。それだけで俺は活力が沸いてくる。これがアイドルを応援するときに近い感じなんだろうな。推しとかいないから、詳しいことは分からないが。


「そうだね、頑張ろう。式神をうまく使ってね」


「ああ、できるだけ敵の戦力を削いでくる」


うまく使えば逃げ出すやつもいるはずだから、かなり削げるはずだ。それくらい相手の大将に器はないはずだ。リーダーとしてのカリスマ性があれば、今頃少尉なんかに収まってないはずだからな。始めての戦争の相手の大将としてはちょうど良いだろう。これで幹部クラスがでてきたら、色々不味かったしな。


そしてある広場で総勢百人ほどが集まった。それぞれ持参した魔法具を持っている。呪符だったり、杖だったり。まぁ魔法が主体の人が多いからな。俺みたいに刀で戦ったりするやつはいないだろう。みんなそれなりに魔法の才能があるから、それに頼った戦い方をする。


「それじゃみんな行きますよ」


「おー!」


「こっちも整ったぞ」


「あ、卑弥呼さん。卑弥呼さんが直接でてくるんですね」


それには俺も驚いた。卑弥呼さんが出てこなくても勝機はあった。それなのに無理してでてくるのはなぜだろう?わざわざ日光のでているときにでてくると、健康に関わると思うんだが。


「妾の国の存亡がかかっているのじゃ。家でゆっくりと過ごすつもりはないわ。それに妾が直接でてくる方が邪馬台国の軍のモチベーションも高く保てるしの」


それはそうかもしれないな。大将がでてくることによって軍のモチベーションは全然違う。特にシャーマン的な存在がトップに座るこの時代なら尚更だ。卑弥呼さんの呪術はかなりのものだろうしな。信奉も集めている。


「そうですね、それじゃ旗をあげて、出陣しますか」


俺達は邪馬台国が魏にもらった旗とうちの学校の旗を掲げて、となりの異次元から来た敵国を攻めにいった。邪馬台国は滅ぼすわけには行かない。うちの未来がかかっているし。まぁ嘗められぱなしというのも癪にならないからな。


何キロか歩くと、立派な少尉と思われる像が立っていた。こんなところで、未来の技術を使うなよ。こいうタイプってことはかなりこっちを見下しているな。


やがてある程度進むとそこそこの人数が一ヶ所に逃げていった。たぶん逃げていたさきが大将のいるところだろう。


そして慌てた様子で軍隊が集められてるのが見えた。攻められることは予測していなかったみたいだな。だが近頃攻める準備はしていたのか、そこそこの人数は揃ってる。まぁ所詮かき集めにすぎないが。


「それじゃ参るぞ。妾達の勝利を祈って、突撃ー」


「おー!」


少数の邪馬台国の軍隊と俺達式神軍団は突撃した。ちなみに俺達の世界の奴らと、邪馬台国の軍隊と俺達の世界の部隊は木などに隠れている。相手は少数だと思ったのか、攻め混んできた。


「我らには大友神がついてる。我らに負けなどあり得ん」


少尉自分を神様だと思わせているのか。よっぽど自分達の世界で惨めな扱いを受けているんだろうな。そんなことを考えていると、軍隊がすぐ近くまで攻めてきたので、俺達は一旦それに合わせて攻めた。


「俺らを嘗めるんじゃねーよ」


そう言って、邪馬台国の少数の軍隊が攻める。さすが卑弥呼さんの国だ。練度が高い。各個撃破していく。俺達もそれに続いて、いくつかの部隊を壊滅させていく。


それでも人数は多いので、どんどん攻め混んでいく。そろそろ潮時か。


「皆さん下がりますよ」


「了解だ。皆撤退だ!」


「なんだお前ら我らの強さにびびって、撤退するのか。さすが大友神が我らに負けはないと言っているだけはある。だが我らの国に攻め混んできたんだ帰すわけにはいかないぞ」


そう言って、俺達を追いかけるように攻めてくる。そして卑弥呼さん達の軍隊がいる近くに来た。軍隊は円上になって逃げれないような陣形になっている。そして完全に軍が入ったタイミングで、卑弥呼さんと俺達の世界の軍隊が姿を現す。


















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る