第10話邪馬台国は侵略させない

「とりあえず化け物の相手は任せてください。魏の呪術で、滅ぼすんで」


モンスター相手に俺の魔法と剣の腕がどこまで通用するのか試したい。いつもは目立ちたくないから、手を抜いてるが、今回はちょっと本気をだしてみようと思う。剣術だけなら、俺は学校のやつに誰にも負けない自信がある。さすがに師匠程じゃないが、学生には負けない。


「それなら安心です。あの化け物に私達の同胞は何人も殺されたので、誰も化け物に挑もうとしないんです。でもこのままだとあの化け物に国を取られるのは目に見えているので」


魔法を使えないのに、モンスターを相手にするのはきついよな。卑弥呼さんならなんとかできると思うが、いかんせんモンスターの数が多いせいで、対応しきれないのだろう。


「それじゃそれで決まりですね。水澄は何かあるか?」


「私は敵の作戦が分かってから動くよ。夕方にはあっちに着くだろうから。ばれないように動きながら、できるだけ多くの情報を持ってくるよ。それと人数をまず揃えないといけないから、誘導の方にも意識を割きなきゃいけないし」


「分かった。相手の数と質が分かったら教えてくれ。数と質が分かれば戦法も変わってくるからな。ある程度戦略は練っているが、細かいところも詰めていきたい。この戦争負けられないからな。俺達の国の威信にかけても、これからの未来も変わるし」


ここで邪馬台国が侵略されたら、間違いなく王室も消えて、日本が侵略されてることになる。それだけは防ぎたい。それに曽良さんによくしてもらっている。だから曽良さんのためにも侵略などさせない。俺達が邪馬台国を守る。そのためなら、卑怯でも勝つ。


「そこまで邪馬台国を思ってくださり、ありがたいですね」


「まぁ魏のことにも直結するので、邪馬台国との関係が崩れると魏の方にも影響がでかねないのですよ。そこのくには魏と敵対をしてるので、できるだけ魏としては友好国として仲良くしたいんですよ。それに魏に侵略する可能性もありますし」


実際に世界規模で、過去に行く学校ができてると聞いている。つまり世界を改変しようとしてるから、今の中国を攻めてもおかしくない。なんなら中国がもう既に攻められてもおかしくないくらいだ。だから魏に影響を与えかねないってことは事実である。


「魏とも敵対してるなんて、危ない国ですね。あそこまで発展している国はないですし」


「まぁそいうことなんで、やれることはやりますよ」


それから色々と話していると、夕方になった。すると水澄は目を閉じて、数十分集中していた。恐らく敵の情報を探っているのだろう。俺はその間相手のでかたによって、どう動くかシミュレーションしていた。失敗は許されない。国の存亡がかかっているからな。俺達の未来の運命も関わってくる。すると水澄は目を開けた。


「聞けたよ。敵はモンスターが主体で、モンスターが百ぐらい。組織の下っぱが国の幹部で、王様も少尉くらいの階級らしいね。下っぱだから、軍の質は高くないみたい。今の時代でもだせるくらいしか未来の技術も使っていないみたい。兵器と呼べるものはないよ。相当この時代を舐めてるみたいだね」


「それなら誘い込んで、一気に滅ぼすか。恐らく軍功をあげて昇進したい連中が多いだろうからな。すぐに誘い出せるだろう。島津家の戦法を使わせてもらうか」


誘って一網打尽にするしかないな。少尉なら、戦闘経験もそんなにないだろうし。軍が崩壊してきたら焦って冷静な判断は下せないだろう。モンスターさえ押さえれば問題ない。


「さすがだね。少ない情報でここまで作戦たてられるなんて」


「戦国戦法オタクなのが、ここで生きたみたいだな。まさかこの時代で、役に立つと思わなかったが。知識は何にも勝るな。後はクラスメイトが素直に言うことを聞くかだが」


俺が言っても言うことを聞いてくれる可能性は低い。俺はクラスメイトにバカにされてるからな。水澄が作戦をたててくれたことにするか。その方が言うことを聞いてくれるだろう。言うことを聞かないで突っ込んで死なれるよりましだろう。


「水澄が作戦たてたことにしてくれないか?その方があいつらも言うことを聞くだろうしな」


「そんな隆之助先輩が考えたのにそれを横取りするようで悪いよ」


「いいんだよ。勝手に死なれるよりはましだからな」


「言うことを聞かないで、死ぬ人なんて普通は気にしないのに。自分の名誉じゃなくて命の方を気にするなんて、やっぱり優しいね。分かった私が言うよ」


「よろしくな」


これで作戦は実行できるだろう。俺が囮になって引き寄せるか。だが俺一人じゃ厳しいよな。他にやってくれる人はいるだろうか。水澄の式神を何体か借りるか。それでもある程度の人数はまだ必要だな。どうするか。


それから作戦を詰めていくと、水澄は目を一瞬輝かせた。その様子だと、あいつらもついたらしいな。これで人数も揃った。明日攻めこむか。相手が準備が整う前に攻める。戦略の基本だ。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る