27 目覚め
「目が覚めたか?」
国王の声だ……私の寝室で目が覚めた。
「アルテミス、優しい顔になったな」
国王は、私の髪を撫でてくれた。
「今回の騒動は、叔父の軍事クーデターだ」
公爵のクーデター……まさか、ここまで行動するとは思っていなかった。
「叔父が、指揮下にある護衛兵を動かした」
護衛兵は敵だと思った方が良い。
「近衛兵には、同胞である護衛兵を倒さず、投降しろと事前に命令しておいた」
近衛兵が素直に投降したのは、国王の命令があったからか。
「武力で勝る騎士団は、王宮の外だ」
騎士団は、外からの攻撃に備え、王宮の外側の警備を担当している。
護衛兵の武力と数によって、王宮は制圧されたということか。
「叔父の想定以上に動くとしたら、母だろう」
どんな計画にも、想定外というものが生じる。
おとなしく軟禁された元女王ならば、事前に何らかの対応策を考えているはずだ。
「私も、想定以上に動きます」
ソロの戦士には、ソロとしての戦い方がある。
まずは、元女王の作戦を知る必要がある。
「あと、こちらの弱点は王弟殿下が人質となることです。彼は?」
彼が人質になると、思い切った反撃はできない。
「クロガネは大丈夫だろ、あれでも王族だ」
「だが、長期化すれば見つかる恐れがある」
国王は、王弟殿下はどこかに隠れていると考えている。
「アルテミスの執務室へ移ろうか」
「はい、一度調べていますが、護衛兵が出入りしたので、罠が無いか執務室を調べます」
私は口紅を塗り直し、国王は上着を肩にかけた。
注意しながら、二人で執務室へと移動する。
サイドボードの上に、置いた覚えのないカップの受け皿がある!
「爆弾!」
間に合わない! 受け皿が爆発して、執務室の窓や扉が吹き飛んだ。
「やった、犯人を吹き飛ばしたぞ」
扉の外から護衛兵が入ってきた。彼は護衛兵の隊長だ。
「これは、国王陛下のお召し物! 俺は国王を手にかけた、英雄だ!」
国王が落とした上着を見て、護衛兵の隊長が笑い……
壊れた窓から飛び降りた。
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