第2話:強きをくじきたいからこそひねくれてしまうのかもしれない
*ある日とつぜん
人が変わる
昨日話した話題によって。
またはずいぶん昔のやり取りで。
何度も何度もくり返していくうちに頭の中では「おりたい」と分かっていても、思う通りに動けない。
そして周りは「動け」と命令してくる。
嫌になる。
およげ!たい焼きくん?
ふん。
くり返してしまうが嫌になっちゃうよ。
*
〝よこしま〟と呼ばれる謎の生命体たちが『人間の
この前
「めずらしいな。
声をかけた男性は
マイワンワーズメンバーでいちばん多く話す人物だ。
「
かといってマイワンワーズは
マイワンワーズが
だからこそ重い腰をあげて調べる。
また人間社会から
彼は資料を音読する
「〝よこしま〟たちの動きは
それでも
開いた資料をもとの本だなに戻して彼の目を見て言いはなった。
「俺が人を助けたのは仕事だとか自分の気持ちを優先したわけじゃない」
「今回は俺も手伝うよ。 歳下ばかりにいろいろと押し付けるのは嫌だって上層部には言ってるんだけど『まだはやい』ってガキ
というわけで
「ありがとう。 俺としたことが気張ってたなんて」
たがいに肩を組みながら笑って
*
一方〝よこしま〟たちは
「お次はいじめられっ子か。 人間は自分を
それなのに前回
なぜそこまで違うグループの人間を。
どうせ俺たちと同じ金が目的なのかもしれないが。
「ここでへこんでいる場合ではない」
カメラかまえてずっと
しめった性格を。
「
「それ前から聞いてた。
「
いやというほど。
かといって好きになにかやれるほど熱中できるものがあの
だから仕事ととしての組み合わせは最悪だ。
「
こういう時だけリーダー
へんなプライドは
まあいい。
無事に終わればいいが。
*
マイワンワーズたちはさっそく
休憩後に依頼があり、ある女子生徒を探していた。
くわしくは
〝よこしま〟の狙いはいじめ加害者ではなく被害者。
情報を手に入れた俺たちは先回りして学校や
「飛び込み愛?」
どの時代でもうわさ好きな人たちはいる。
ダメ元で学校付近に住む女性たちから話を聞いてみたら変わった言葉を聞くことが出来た。
「そうなのよお。 ほら
「しかも学校ってねえ…。 これも大きな声で言えないけど親身になって話を聞いてくれる場所ではないじゃない? おばちゃんたちも何度も子供たちを育てている時にはほーんとに嫌な目にあったものよお。 だからドラマチックに死にたいのかしら。 いじめがあるって話だけど男の子がいじめられてる彼女をひとりで守っているって。 こんな内容はフィクションだけにしてほしいわあ」
その後に女性たちは「私たちに出来ることは
「いろいろと考えていただきながら情報ありがとうございます。 その商品券があれば無料で出来たてのパンを食べられます。
二人はいそいで学校へと向かう。
「
「じゃ、助けるか!」
言うはたゆすい。
それでもやるんだ。
〝よこしま〟や他の人間たちに二人のカップルが送る日常を
*
俺たちは問題を解決してくれる人間と特別に許可されて学校内をめぐる。
おそらく例のカップルはまた死のうとしているのかもしれない。
「気を悪くしたらすまない。
気をつかってくれるのはいい。
それでも俺は同じ
「〝よこしま〟も関わっている以上はなにかある。
屋上近くへすすむと二人の中学生男女がメガホンで何かをさけんでいる。
「この学校はいじめを
彼女らしき女の子はずっとさけぶ男の子の手をにぎっている。
そして黒い影がやってきた。
〝よこしま〟か。
しかも二人。
やはり他に仲間がいたか!
「へえ。 マイワンワーズもちゃんとかぎまわっていたのか。
するとまっさきに二人へとびかかる
「細い身体かと思っていたがよく見るときたえられている。 しかも常人よりもはるかに」
「
「あんたとの戦いは後回しだ」
後は頼む。
追ってくる
「俺たちはプロ、または
おおかた〝よこしま〟は中学生男女の未来を知っている。
いや、
なおさら止めねば。
屋上へ向かう俺の足はとまらず中学生男女を探す。
すると中学生男女は肩を抱き合い
「俺もちょっと前までは壁やガラスを割ってた学生だったんだぜ」
「
現実は残酷だ。
前は人を救えた。
でも今度ばかりは冷や汗が出る。
「まずさ。 数え切れない
女の子は男の子の胸に顔をうずめる。
男の子はだまって女の子をなで、俺には強めの口調で全てを打ち明けた。
「何でもかんでもうばってくるくせに金だ幸せだぁ? 何人の友が死んだと思ってる? 俺はもううばうやつらになにもしない。彼女だけは
はやくも俺は過去と向き合う必要があった。
かつての友は自宅マンションから飛びおりた。
俺はその時も彼を目の前まで助けられそうだと
止めてほしいかどうかはわからない。
でも大事なのは自分の話ではなく俺の言葉を友の言葉に変えて伝えればよかったんだ。
変な
今回も助けられないのか!
もうひとりの〝よこしま〟はカメラをかまえていた。
「おれは人間じゃないからマスコミだのなんだの悪口を言うなよ? 標的の死亡確認までが仕事だ」
ランカークラスの
見たところ
やはり人間相手ではないからこそ
そして
運良くよけれたからいいものの危なかった。
そして
「くっ、くそ! またか」
俺は状況を理解できていない中学生男女の方へむかう。
「くやしいその気持ちをかかえたまま、二人でずっと社会と戦ってきたのかもしれない。 その苦労を他の人に
「かっこつけやがって!
まさか読まれていたなんて。
相変わらずひとりでは誰も助けられないと思い込んでいた俺はさらに二人の言葉に変換するよう考えた。
「目の前にいる化け物のカメラを使えばいじめの
二人は
頭で知っているのかもしれない。
このままでは何も解決にならないかもしれないと。
「俺たちは
正しい
それでも聞くんだ。
聞いてみる
「
「ふん。 そんな日もある。 ずらかるぞ」
分が悪いと感じたのか〝よこしま〟たちは姿を消した。
「誰も俺たちの話を聞こうとしなかったのに。
男の子は屋上の壁をこぶしで殴った。
女の子も疲れたのか屋上の床に座り込んでいる。
「実はいじめ解決についても
「二人がもし気力があるのなら無料でトレーニング付き合うよ。 それにパンもあるし」
さっきまでくやしそうにしていた男の子と女の子は涙と喜びが一緒になり、
「「ありがとう、ございます!」」
俺には何もなしか。
また伝わらなかったのかな。
それでも思い上がるよりましだ。
二人を助けられた。
自分だけの力ではなく。
「
え?
「正直まだ解決には遠いと思う。 他に困っている人たちが多いのもインターネットで見たから。 でも俺や彼女、そして俺たちの問題は小さくわけるしかない。それと俺たちはあんたと話したい!」
今日出来ることはした。
届いたのかどうかは
マイワンワーズとして。
「ありがとう
「誰もひとりで乗り越えろなんていってない。 最終的に自分の絶望を乗り越える場合はひとりというだけで。 今回もこうした助けられた。 俺はそんな
俺たちはこぶしを合わせて笑い合う。
さて、この状況を学校にどう説明しようか。
それもまたじっくりと
「人間も
そして別の
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