第3話 イキり倒し無双
俺が覚醒する丁度二ヶ月前、政府直属の研究者が
魔核が100%というのなら、秘宝はその0.000001%という。最早天文学的な確率なのだ。
また遺物からはモンスターが内に蓄える
そんな代物が、今俺の手元にあり、そしてそのスキルを習得してしまった。
【ゲート召喚】と【ゲート回収】……。もしこのスキル所有しているなんて知られたら、間違いなく俺は警察どころか政府の秘密機関に捕らわれ、厳重に堅牢な牢獄にぶち込まれる確率は100%を越えると言っても過言では無い。
だってこんなもの日本全国を一度蹂躙し、覚醒者を意図的に目覚めさせた張本人が持っているようなスキルじゃ無いか。
「あああああああああ……!!」
考えれば考えるほどに、さっきまでの嬉しさなんて露と消え、頭を抱えて叫び声が出る。一度手に入れたスキルを捨てることは不可能で、所有しているスキルは他言しなければバレることはまず無いが。
一番の怖さは覚醒者ランクの認定だ。現在のランクはどこまで名前が設定されているのか知らないが、認定機だけは騙すことができない。その人の強さをどんな基準で決めているのかも知らんが、俺がこのゲート内で推定300個以上の遺物を獲得したことで、タレントゼロからガードマスターに7階級も飛び級したことを思い出せば、何が不味いのか分かるだろう?
「は、ははは……! もういい……。騙せないというなら、無理矢理でもイキれ」
イキればどうにかなる? 全く訳がわからんなんて自分でも理解してる。でも、ただ焦ってボロを出すより、調子に乗ってヘラヘラしてればどうにでもなるんだよッ!!
自棄になるなよと言われても、こんなの自棄ならない方がおかしいだろうがよ!
あぁ、いいぜ? 俺は最強だからなぁ? ゲート召喚なんて軽いもんよ。はははははは!
さて気を取り直して。早速【ゲート召喚】を試そう。俺は片手を目の前に伸ばせば、良く見る青白い渦が宙に展開する。マジで召喚出来ちまった。
そういや召喚した場所は現実ではなく、ダンジョン内から召喚した。ダンジョンの中にあるダンジョン??? あまりにも初めてで、聞いたことが無い現象にただただ困惑するが、自室のベッドの横にゲートが突然開いた事を思えば今更と言うべきか。
「さて、入るか……。とう!!」
次は足を滑らせるのではなく、思いっきりゲートに向かって助走をつけてプールの入水のように飛び込んだ。
その先に広がるのは、またしても円型状の大広間だった。しかし、前の無機質な雰囲気より、今回は荘厳な神殿のような。純白の床と壁が円柱型に上に伸び、神々しい光が差し込んでいた。
そしてさらに中央には、ジャイアントデーモンより巨大なビル10階分くらいの、白銀の鎧の重装騎士が等身大の大剣を床に突きつけるポーズで佇んでいた。
「無理無理無理! なんじゃこのデカさぁ!?」
だがそれは一切動く気配はなく、ただ彫像にも見えた。と、思いきや。まるで壊れかけのブリキのロボットのように、小刻みに震えながらカクカクと重々しく動きだす。
俺は咄嗟に身構えるが、それは戦闘体勢に移る動きではなく、大騎士の足元から無数のの鎧騎士を召喚する動きだったらしい。
次々と剣兵、盾兵、弓兵、槍兵。
拳士、術士、銃士。といった、まるで軍隊のような編成の兵士が無数に召喚され、しかし編隊なんて皆無に、一斉に襲いかかって来た。
「そう言うことかよ! 全部かかってこいやぁ!」
因みに今、俺はジャイアントデーモンを倒してから休憩なく戦っているが、不思議と疲労感は全く無い。……その理由は単純に興奮によるアドレナリンの分泌が理由だと思う。
なにに興奮してるかって? ジャイアンデーモンを倒して、遺物を手に入れて今日は家に帰るつもりだったのに……。まさか秘宝を手に入れて、ヤバいスキルを獲得したんだ。
そしてそのスキルの先には、俺をさらに強くする要素。こんなのを後回しにするのは時間を無意味に消費するだけだ。
【リフレクションシールド】全展開+【ニュークレーザー】乱射。
「ヒャッハー! 集団戦はこれで蹂躙だぜええええ!!」
デカブツにしろ、雑魚集団にしろ、当たり判定がデカい相手には最強のスキルの組み合わせ。どうやら中央の大騎士は本当にちょっとした仕掛けのある飾りのようで。大抵の物を貫通する筈の【ニュークレーザー】が大騎士の鎧に対して破裂して消滅していた。つまり破壊不能オブジェみたいなもんだろ。そんなものみたことが無いが。
次々とレーザーの雨に貫かれる騎士たち。そして乱雑にゴロゴロと遺物が地面に転がる。そしてそれを自動的にレーザーの雨が破壊し、俺は半分何もしなくてもスキルをガンガン獲得する。あ〜今の俺無双してるわ〜。
【熟練の剣術Ⅰ】
【熟練の盾術Ⅰ】
【熟練の弓術Ⅰ】
【熟練の槍術Ⅰ】
【熟練の体術Ⅰ】
【熟練の魔術Ⅰ】
【熟練の銃術Ⅰ】
今回はパッシブスキルが主なかぁ〜。いやぁ、また俺強くなっちゃうわ〜。
俺はそれからそこを休憩を挟みつつ、またしても半年ほど周回し続けた。そして……。
【卓越した武装知識Ⅳ】
【防具の極意Ⅲ】
へ、へへへ……。強くなりすぎるのもなんか真面目に飽きてくるな。つーか雑魚としか戦って無いからだろうか……。
俺は半年前にジャイアントデーモンを倒してから、ゲートに潜って、家に帰ったら寝てを繰り返していたせいで、アレからコンビニに食料を調達したりするだけで、殆ど家から出ていないし、他の覚醒者との交流なんて一つもない。そりゃ飽きて来るわけだ……。
「あ〜誰かと腕試しとかしてえ……! でも覚醒者同士の喧嘩は犯罪だしぃ……」
覚醒者同士の喧嘩、格闘は犯罪。それはとても単純な理由で、普通の喧嘩より被害がヤバイからだ。魔法やら火力の高い攻撃とか発動されたらたまったもんじゃ無い。
ただその代わりに、ダンジョン内での争いは不問にしているとかなんとか……。なにせダンジョンは常に危険を伴う現場だから、一般人の侵入は許されておらず、たとえ覚醒者の中に警察機関の人間がいたとしても、覚醒者同士しか知り得ない証拠は無効にされるのだとか。
じゃあ録音や撮影は? と思うかも知れないが、何故かは全く分からない。どう言う訳か電子機器は全てダンジョン内で動かないんだよな。
さらに言えば、ダンジョン内の音や景色を外部に漏らせるようなスキルも今だに発見されていない。こうふと考えるととても不自然に感じるけど、政府はそこまで重要視はしていないらしい……。
……。ダンジョン内の争いは不問にされる。ダンジョン内の犯罪は全て不問……。
え……マジで?? 考えたことも無かったわ……。政府無能過ぎん??
家の近くに量産型ぶっ壊れダンジョンが出来て最強になれたのでイキり倒すことにしました Leiren Storathijs @LeirenStorathijs
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