第42話 ラブレター
ある日、白水さんはいつも通り学校のロッカーを開けると、見慣れない封筒が一枚挟まっていることに気づいた。少し驚きながらそれを取り出し、封を切って中を確認すると、そこには丁寧に書かれたラブレターが入っていた。
「えっ…?」と、白水さんは一瞬固まり、手が震えるほど驚いていた。内容には優しい言葉が並び、最後には「青波」と署名がされていた。
「まさか…青波さんが…?」白水さんは心臓がドキドキするのを感じながら、信じられない気持ちと戸惑いが入り混じっていた。しかし、どう考えても青波さんがこんなラブレターを送るとは思えなかった。自分をからかっているのではないかと、頭の中で何度もその考えが巡った。
「確認しなきゃ…」白水さんは決意を固め、その日の放課後、直接青波さんにラブレターを見せることにした。
生徒会室で青波さんと二人きりになった時、白水さんは意を決して封筒を差し出した。「これ、青波さんが書いたの?」
青波さんは封筒を手に取り、少し困惑した表情で内容を確認した後、即座に否定した。「え?私、こんなの出してないよ。」
その言葉を聞いて、白水さんは一瞬ホッとしたような気持ちになったが、同時に少し落ち込んだ。「やっぱり…いたずらかもしれないね…」と、力なく呟いた。
青波さんは白水さんの様子に気づき、少し眉を寄せながら優しい声で言った。「誰が書いたにせよ、こんなことで気に病まなくていいよ。いたずらだとしても、私は白水さんのことを信じてるから。」
その言葉に、白水さんは少し気持ちが軽くなった。青波さんはラブレターのことよりも、白水さん自身を気にかけてくれているのだと感じた。
「ありがとう、青波さん…」と、小さな声でつぶやいた白水さんの顔には、少し微笑みが戻っていた。
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