第41話 バドミントン部部長の意地

バドミントン部の部費に関する会議が終わった数日後、学校内で「バドミントン部が部費を不正に使っているのではないか?」という噂が広がり始めた。最初は小さな囁きだったが、次第に生徒たちの間で広まり、学校全体に不穏な空気が流れるようになった。


生徒会は、この噂が事実無根であることを確認していたため、事態の沈静化を図るべく「バドミントン部に不正はない」という公式な通達を出すことにした。会計の問題は適切に対応され、今後も改善される予定であると伝えたが、それでも噂は簡単には収まらなかった。


その状況に耐えかねたのか、バドミントン部の部長はバドミントン部の名誉を守るために、自ら行動を起こすことを決意した。彼は、生徒全員に対して完全な透明性を示すため、部費の詳細な会計報告を学校の掲示板に貼り出すことにした。すべての出費とその使途が明記され、誰でも自由に確認できる状態になった。


生徒会のメンバーたちは、その大胆な行動に驚きを隠せなかった。放課後、白水さんと青波さんはその掲示板の前で立ち止まり、報告書を見上げながら話し合った。


「部長、ここまでしなくてもよかったのに…」白水さんは困惑気味に言った。


青波さんも少し首を傾げながら「そうだね。もう生徒会で問題はないって通達したのに、これはちょっとやりすぎかも」と同意した。


それでも、彼らはバドミントン部長の強い意志を感じ、今後のためにも放置することにした。透明性を求める部長の姿勢は、逆に生徒たちに信頼を取り戻すきっかけとなるかもしれないと考えたからだった。


「これで噂もおさまるといいけど…」と、白水さんは呟き、青波さんも頷きながら「信じて待とう」と静かに答えた。


その後、掲示板に貼り出された会計報告書を見た生徒たちは、バドミントン部に対する疑念が次第に和らいでいった。そして学校は再び、いつもの平穏な雰囲気を取り戻していった。

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