第10話 生徒会会長選挙と意外な結果
夏休みが近づく中、生徒会は突如として大きな変化に直面していました。会長が辞任したために、新しい会長を選ぶための選挙が開催されることになったのです。これまで、会長職は伝統的に上級生が務めるものとされており、誰もが上級生の中から新しいリーダーが選ばれるだろうと考えていました。
青波さんは副会長の補佐として、選挙の準備を進めながらも、自らが立候補するつもりはありませんでした。彼女は、何より、特定の学年に囚われない公平な選挙を望んでいました。
その日、副会長が青波さんに声をかけました。「やっぱり、上級生から会長を選ぶべきだよね?経験もあるし、下級生じゃ責任が重すぎるんじゃないかな?」
青波さんは一瞬考え込みましたが、すぐに冷静な口調で答えました。「年齢や学年で区別する必要はないと思います。重要なのは、みんなが誰をリーダーとして信頼するかじゃないかな。立候補するのが中学1年生でも、2年生でも、3年生でも、みんなが選んだ人が会長になるべきだと思うよ。」
その発言が生徒会内に静かに響き渡りました。青波さんの公正な視点に、副会長は少し驚いた表情を見せながらも、やがて頷きました。「確かに。みんなが信頼する人が会長になるべきだね。」
こうして、選挙は学年を問わず誰でも立候補できる形で進められることになりました。選挙が告知されると、各学年から自信に満ちた候補者たちが名乗りを上げました。多くの生徒は、「やはり上級生が有利だろう」と考えていましたが、青波さんは全ての候補者に公平にチャンスがあると感じていました。
そして、選挙結果が発表される日がやってきます。誰もが緊張しながら結果を待つ中、アナウンスされた名前は、驚くべきものだったのです。
「新しい生徒会長に選ばれたのは…中学1年生の白水さんです!」
一瞬の沈黙の後、会場はざわめきに包まれました。中学1年生の生徒が会長になるなんて、誰も予想していませんでした。しかし、白水さんはクラスメートからの信頼が厚く、どの学年の生徒にも親しまれていたため、その結果はある意味で必然だったのかもしれません。
青波さんは、周囲の驚きの声を聞きながら静かに前に歩み寄り、会長に選ばれた白水さんに微笑みかけました。
「おめでとう。これからいろいろと大変なことがあると思うけど、私たちがサポートするから、安心して取り組んでね。」
白水さんは緊張した表情を浮かべながらも、青波さんの言葉に力強く頷きました。「ありがとう。みんなが協力してくれるなら、きっとやり遂げられると思う。よろしくお願いします。」
こうして新しい会長の下、生徒会は新たな一歩を踏み出しました。青波さんの公正な姿勢は、学年や年齢に縛られない新しいリーダーシップの形を生徒会にもたらし、白水さんもまた、その環境の中で少しずつ成長していくことでしょう。
これからの生徒会は、リーダーとしての新たな挑戦を迎える白水さんと、それを支える青波さんの協力を通じて、さらに進化していくに違いありません。
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