第7話 生徒会改革の試練

青波さんは、緊張した面持ちで生徒会会議に臨んでいた。机の上に置かれたレポートは、彼女が夜遅くまでかけてまとめた生徒会改革案だ。彼女は、学校全体の意見をもっと取り入れ、みんなが参加できる場を作ることが必要だと感じていた。しかし、会長はそのレポートを冷たく一瞥し、次の瞬間には却下の言葉を放った。


「これは私の考えと合わない。生徒会はこうあるべきだ。」

会長の言葉は鋭く、彼の強い口調にその場の空気が凍りつく。ほかのメンバーは、視線を落とし、誰も発言しようとはしなかった。


青波さんの心の中には、葛藤が渦巻いていた。このまま黙っていれば、彼女の努力も、改革への期待も無駄になってしまう。だが、会長の強硬な態度に逆らうことは簡単ではない。それでも彼女は勇気を振り絞り、口を開いた。


「でも、私たち全員の意見を聞かずに進めるのは、生徒会の役割を果たしていないと思います。みんなも不満を抱えているんじゃないでしょうか?」


その言葉は、青波さん自身にとっても挑戦だった。会議室には一瞬、沈黙が訪れた。しかし、その沈黙を破ったのは、他のメンバーたちの声だった。


「そうだよ、私も意見を言いたい。」

「ずっと黙っていたけど、もっとみんなの声を反映させるべきだ。」


次々に、メンバーたちが口を開き始めた。青波さんは、この流れを見逃さなかった。彼女は落ち着いて、再び提案を続けた。


「私たちの意見を集めて、みんなで意見交換の場を設けることが大切です。そうすれば、生徒会はもっと良い形になると思います。」


その冷静で的確な提案は、徐々に会長の頑なな態度を溶かしていった。彼の表情には少しずつ変化が現れ、ついに会長は、渋々ながらも提案を受け入れることを決断した。


「仕方ないな……じゃあ、一度みんなで意見交換会を開いてみようか。」


その言葉を聞いた瞬間、会議室の雰囲気が一変した。これまで重苦しかった空気が少し軽くなり、メンバーたちの顔にも安堵の表情が浮かんだ。


青波さんは内心、ほっとしたものの、会長の権力が完全に消えたわけではないことも理解していた。しかし、この改革の第一歩を踏み出せたことで、彼女は自分の役割に新たなやりがいを感じ、仲間たちとの絆も深まった。


「これからもっと大変なこともあるかもしれないけれど、私は諦めない。」青波さんは、心の中で強く決意し、仲間たちと共に歩んでいく未来を見据えていた。


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