仲間になる勇気

水山もこが初めて三人の前に現れた時、その小柄でふわふわした姿は全く脅威には見えなかった。しかし、彼女の目には明確な決意と暗い影が宿っていた。


「あなたたちが、噂の『δ5』ね。」もこは淡々と話しながら、手にしていた青白い光を放つステッキを持ち上げた。


「誰……?あの子、転校生じゃないよね?」幽々子が不思議そうに眉を寄せた。


櫻子も結花も、不意に感じた緊張感に息をのんだ。彼女が一見、無害な少女に見えても、その背後には得体の知れない何かがあった。


「私、水山もこ。『dest』の一員なの。」その言葉と共に、空気が一瞬凍りついたように感じられた。


「『dest』!?それじゃあ、敵なの……?」櫻子が驚愕し、反射的にステッキを構えた。


もこは一歩、後ずさりながらもステッキを握りしめ、目に涙を浮かべながら語り始めた。「でも……私は本当に戦いたくなんてない。実は……私は、親を人質に取られて、無理やり『dest』に従わされているの。」


その言葉に、三人は一瞬言葉を失った。戦うべき相手と思っていた少女が、実は同じように運命に翻弄されていることが明らかになり、胸が痛んだ。


「どうして……そんなこと……」結花が、悲しげな表情で問いかけた。


もこは声を震わせながら続けた。「私は『μ3』の力を持っているけど、それを利用されているだけ……本当は、こんなことをしたくない……でも、親が……!」


「もこちゃん……」櫻子が優しい声で呼びかけた。


「私たちだって、いろんなことがあったけど、力を持ったことで守れるものが増えた。きっと君だって、親を助ける方法があるはず。」幽々子がもこの肩にそっと手を置いた。


「……でも、どうやって?」もこは不安そうに三人を見つめた。


「まずは私たちと一緒に、敵と戦おう。そして、親を助けるために力を合わせようよ。」結花が決意を込めて言った。


その瞬間、もこの目に希望の光が灯った。「……私、あなたたちと一緒に戦いたい。でも、本当に親を助けることができるの……?」


「できる。私たちが力を合わせれば、どんな敵だって倒せるよ!」櫻子は自信に満ちた笑顔で言い切った。


その後、もこは三人に自分の状況をすべて打ち明けた。「dest」の目的や、その背後にある陰謀、そして自分がどうやって「μ3」の力を得たのか。そして、「μ3」の使い手たちが「δ5」と呼ばれる存在であることが明らかになった。


「そうだったんだ……私たちだけじゃなかったんだね、『μ3』の力を持つ人たちが。」幽々子は感慨深げに言った。


「でも、もこちゃんが一緒に戦ってくれるなら、力強い味方が増えたわ!」櫻子が明るい声で言った。


「うん。ありがとう、みんな。」もこは微笑んだ。そして、彼女は一緒に戦う決意を固めた。


数日後、三人と一人は、「dest」の第一拠点に向かう準備を整えていた。もこから得た情報を元に、拠点への潜入方法を練り、作戦を立てていた。


「ここが、第一拠点……」櫻子が目の前の廃工場のような建物を見つめ、拳を握りしめた。


「ここで私たちの戦いが本格的に始まるんだね。」結花も気を引き締める。


「みんな、気をつけて。相手は私たちよりもずっと強いかもしれない……でも、私たちは一緒なら負けない。」もこが決意を込めて言った。


「うん、絶対に勝って親を助けよう!」幽々子が力強く答えた。


四人は、心を一つにして「dest」の第一拠点に向かって進んでいった。戦いはこれからだ。だが、彼女たちの心にはもう迷いはなかった。


「行くぞ!私たち『δ5』の力で、全てを終わらせるために!」


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