白髪の転校生と隠された力

いつものように、櫻子天使は朝の光を浴びながら学校に向かっていた。青空の下で輝く彼女のピンク色の髪が風に舞い、見る者に元気と希望を与えるようだった。隣には金色幽々子、そして黒髪の佐々木結花が歩いている。


「今日も元気いっぱいだね、天使ちゃん!」幽々子が笑顔で櫻子に話しかける。彼女の金髪も光を受けて輝いている。


「もちろん!今日は何かいいことが起こりそうな予感がするんだ!」櫻子は胸を張って答える。


「ふふ、それは楽しみね。でも、あまり期待しすぎない方がいいかもよ。」結花は控えめに微笑んで、落ち着いた口調で返す。


三人は幼なじみで、毎日一緒に過ごしていた。放課後にはカフェで甘いスイーツを楽しみ、時には勉強やスポーツに励む。そんな平穏な学園生活が彼女たちにとって当たり前のものだった。


しかし、その日だけは少し違った。


教室に入ると、黒板には「転校生」の文字が大きく書かれていた。櫻子たちは一瞬顔を見合わせ、少しだけ驚きの表情を浮かべた。


「転校生なんて珍しいね。この時期に来るなんて、どんな子なんだろう?」櫻子が興味深々に話す。


「さあ、どんな子が来るか楽しみだね。」幽々子が頷く。


「でも、何か特別な理由がありそうね……」結花は不思議そうな顔をしている。


すると、ドアが開き、教室内に一瞬静けさが訪れた。担任の先生が転校生を伴って現れた。


「皆さん、紹介します。今日からこのクラスに新しく加わることになった、姫等偽ヨツバさんです。」


その名と共に教室に入ってきたのは、まるで雪のような白い髪を持つ美少女だった。彼女の瞳は冷静で、どこか大人びた雰囲気を持っている。


「はじめまして。姫等偽ヨツバです。どうぞ、よろしく。」ヨツバは静かにお辞儀をして、淡々とした口調で挨拶した。


櫻子はその瞬間、何か胸の奥がザワつくような感覚を覚えた。「この子、何か普通じゃない……」そんな直感が走った。


その日の放課後、三人はいつものように学校の庭で話していた。桜の木が揺れる穏やかな風景に包まれながら、幽々子はふと転校生のことを話題に出した。


「ねえ、転校生のヨツバさん、何か特別な感じがしなかった?」幽々子が首をかしげながら言う。


「うん、私も何か不思議な感じがした……でも、彼女、少し話しかけにくい雰囲気もあるよね。」櫻子が答える。


「たしかに。どこか距離感があるような気がするわ。」結花も同意した。


すると、突然背後から声が聞こえた。


「君たち、私に興味があるの?」


三人が振り返ると、そこにはヨツバが立っていた。彼女の表情は相変わらず冷静だったが、その瞳にはどこか鋭い光が宿っていた。


「えっ、ヨツバさん!?い、いや、別にその、興味というか、少し気になって……」櫻子が焦りながら返答する。


「ふふ、そんなに驚かなくてもいいわ。実は私も、君たちに興味があるの。」


「えっ、私たちに?」結花が不思議そうに尋ねる。


「そうよ。君たち、特別な力を持っているでしょ?まだ気づいていないかもしれないけど、私にはわかるの。」


ヨツバの言葉に、三人は驚きと混乱の表情を浮かべた。「特別な力」とは一体何を指しているのか。


「何のことを言っているの?」櫻子が恐る恐る尋ねる。


ヨツバは少し微笑んで、静かに言葉を続けた。


「君たちは『μ3』の力を持っている。だから、私にはわかる。君たちは『δ5』の一員だってこと。」


「……δ5?」幽々子が驚いた顔で問い返す。


「そう。『δ5』とは、特別な力を持つ者たちのこと。この世界に隠された運命を変える存在よ。そして、私もその一人。」


そう言うと、ヨツバは手をかざし、まばゆい光と共に奇妙なステッキのようなものを取り出した。それは三人が手にした「μ3」に似ていたが、ヨツバのはまた違った雰囲気を持っていた。


「これが、私の『μ3』よ。」


「そ、そんな……私たちと同じ?」結花が信じられないようにヨツバを見つめる。


「君たちも『μ3』を手にした時から、私たちは同じ運命に縛られているの。これから待ち受ける戦いを前に、私は君たちの力を試すためにここに来たのよ。」


その言葉に、櫻子たちは困惑しながらも心に新たな決意が芽生えた。


次の瞬間、風が激しく吹き荒れ、周囲の空気が一変した。まるで異次元に引き込まれるような感覚に、三人はその場に立ち尽くした。


「これは……何なの?」櫻子が周囲を見渡しながら驚く。


「敵が来たわ。私たちの力を試すために。」ヨツバは冷静に言い、ステッキを構えた。


突然、黒い影のような存在が現れ、三人に向かって迫ってきた。その姿は、人間の形をしているが、異様な雰囲気を放っている。


「気をつけて、これは普通の敵じゃない!」ヨツバが警告する。


「やるしかない……!」櫻子がステッキを握りしめ、戦闘体制に入る。


幽々子と結花もそれに続き、三人は初めてヨツバと共に敵と対峙することになった。彼女たちの手にある『μ3』は、まるで彼女たちを導くように光り輝いている。


「これが……私たちの力……!」櫻子が叫びながら、ステッキを振ると、光の弾丸が発射され、敵に命中した。


「すごい、これならいける!」幽々子も続けて攻撃を仕掛ける。


結花も冷静に相手の動きを見極めながら、ステッキを駆使して敵を次々と倒していく。


「やるわね、君たち。」ヨツバが微笑む。「でも、まだ始まりにすぎないわ。これからが本番よ。」


そう言いながら、ヨツバはさらに強力な敵に向かっていった。櫻子たちも力を合わせ、ヨツバと共に戦い続けた。


激しい戦いが続き、ようやく敵を全て倒した三人は、息を切らしながらも達成感に満ちていた。


「私たち、やったね……!」櫻子が嬉しそうに笑う。


「うん、でもまだこれからも戦わなきゃならないのかもしれないね。」幽々子が複雑な表情を浮かべる。


「その通りよ。これからも君たちの力は必要になるわ。そして、私は君たちを見守りながら共に戦うことになるでしょう。」ヨツバが静かに言った。


「これから、何が待ち受けているんだろう……」結花は空を見上げ、未来への不安を口にする。


しかし、三人はもう逃げることはできない。彼女たちは『μ3』の力を持ち、『δ5』として運命に立ち向かうことを決意したのだった。


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