戦いの結末

今日の投稿分 2/2 本編へどうぞ!

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「なっ、なんでお前がっ!」


男…もとい常世の死神の驚きの声が聞こえてきた。俺は瞑っていた目を恐る恐る開けてみる。そこにいたのは…リアムさんだった。


「久しぶりだな…シルディ。覚悟はできてるんだろうなぁ?」


今まで笑った表情しか見せたことのないリアムさんがキレている

口元は笑っているが、目が笑っていない…あの時見た、表情よりも険しい。


「うるせぇリアム、その名はもう捨てた。今はクロギリだ」

「まぁいい、シルディ。さっさとその短剣を離してくれないか?」

「断る。たとえ、お前と戦ってもな」

「そうか…わかった。本当はこういう手段を取りたくなかったんだが…」


そう言ってリアムさんは何処かを見た。そこには、複数人の兵士さんがいた。

リアムさんからの目線を確認した兵士は一斉に光魔法のライトを発動し、灯りを付けた。


「今すぐその短剣を離せ。お前は包囲されている!」

「これはまずいことになったな」

「あぁ、そうだ。お前はもう逃げ場がない。お前に追いつけるように訓練をさせた。前みたいに速度ではなかなか振り切れないだろう?」

「チッ!ますます厄介なことをしやがるだ」

「おい、そのことをここで言うな。殺すぞ?」

「はっ、やれるもんならやってみろ」


挑発に乗ったリアムさんが一気に距離を詰める。その行動を待ってましたと言わんばかりに構えるクロギリ。リアムさんが攻撃した瞬間、攻撃された反動を利用して、一気に3階まで飛び上がった。


「いつもありがとな、リアム。じゃあな」

「ま、待てシルディ!」


その言葉を無視し、窓ガラスを叩き割り屋根を伝って逃げていった。


「クソッ、まただあの野郎」

「よしてください隊長。あとは、追跡班に任せましょう」

「ダメだ!俺が倒さないと、ダメなんだ!」


あちゃ〜これリアムさん完全にガチギレモード入っちゃってるよ。どうしよう?この修羅場。などと思っていると、ここで俺の意識を失った。


目が覚めると、見知った天井の部屋にいた。ここは俺と雅人の部屋だ。

起きあがろうとすると、脇腹が痛い。体を確認すると、腹部に包帯でぐるぐる巻きにされていた。包帯には少し、血が滲んでいた。


「…ッ!イッテテテテ」

「あ、起きたか。このヤロー」


雅人が頭をスパァンと背景で効果音がつきそうなくらいの力で頭を叩いてきた。


「イッテテテテ…全く何すんだよ」

「それはこっちのセリフだ。いいから正座しろ」

「なんで正座しないといけないんだよ」

「昨日の夜、何してた?」

「うっ…そ、それは…」

「今すぐ正座しろ」

「待ってくれ説m…」

「正座しろ」

「…はい」


俺は雅人に押し切られ、正座させられた。チクショウ!


「何やってんだ、お前ェ!」

「ご、ごめんって。許して、許して」

「許さん☆」

「あ、終わった…」

「さて、昨日何したか言い訳を聞きましょうか」

「だから、言い訳じゃないって」

「君 は 昨 日 何 を し た の か 分 か っ て る の か な ?」

「うっ…説明します…」

「よろしい。で、何してたのかな?」


俺は言い訳をしても無駄そうなので全てを説明した。

昨日、深夜の時、屋根から部屋をでて、王城から抜け出し、暗殺者のとこに向かって見事に返り打ちにあって、死にかけたこと。そして、リアムさんとクロギリを自称する暗殺者は兄弟かなんかしらの関係があることを言った。


「つまり、君は僕が寝てる間に部屋から抜け出し、戦いに行って見事に負けた…と」

「…そうなるな」

「何やってんだ、お前ェ! 何死にかけとんの?今日の朝、一部を除く全員が心配してたぞ!どう落とし前つけるんだ言ってみろ。あ“ぁん?」

「謝る気持ちはないけど許して。頼む」

「おい、さっきの言葉もう一度言ってみろ」

「え、えっとな、なんだっけなぁ〜」

「白々しくしてんじゃねぇ!」

「ギィャアァァァァァァァァァァァァ!」


俺は、数分間雅人にシバかれた…息も絶え絶えになって体がピクピクと動き死にかけてる。なんとか体を動かし、起き上がった。


「はぁ…はぁ…許してください」

「まぁこんなもんにしとこう。次やったら許さんからな?」

「ヒッ…気をつけます…」

「あ、あとリアムさんが呼んでたぞ。起きたら謁見室にってこい」

「なんか最後の「行ってこい」って違和感が…」


そう思いつつ俺は腹部が痛いが、堪えつつ謁見室に向かった。

部屋に入ると、ライオス王、リアムさん、リズベルさんがいた。…なんか嫌な予感が…まっ完璧な言い訳あるしなんとかなるっしょ(特大フラグ)。

俺がきて、まず最初に喋ったのはリズベルさんだった。


「君は昨日何をしていたの?」

「うぐっ…」


開口一番にいきなり本題に入るやつがあるかっ…って今起きてんだよなぁ…


「き、昨日はちょっと王都に行ってました」

「わざわざ深夜に?」

「そ、そうです」


俺は間違ったことは言ってない…はず。ちょっとシルディとかいう暗殺者と戦ったけど…うん大丈夫そうだな。


「まぁいいわ…で、王都で何してたの?」

「え〜とn「本当のことを話して」


来るまでに考えた言い訳を実行しようとしたら、見事に見抜かれた。流石に効果ゼロか…


「…はい。シルディとかいう暗殺者から手紙をもらって、書いてあった呼び出しの日が昨日だったのでこっそり部屋から抜け出して、暗殺者と戦ってました」

「なるほど…まぁそのあとはなんとなく予想できるけど一応話して」

「戦って、最初は互角?だったけど、途中から途轍もなく強くなって負けて、殺されそうになった時にリアムさんが助けてくれました」

「そこはリアムの言ってくれた通りね。まぁ、君が昨日出ていくって私たちも知っていたしね」

「な、なんで知ってるんですか?あの手紙はアイテムボックスに入れておいたはずなのに」

「あなたを守るために監視兼護衛をつけていたしね。あなたに気づかれないように」

「じゃあ俺の行動は全て筒抜けだったんだ…」

「そうなるわね。君が生きててくれてよかったわ。監視から聞いてびっくりしちゃったわ」

「す、すいません…みなさんを巻き込みたくなかったので」

「変わらんよ。昔からあいつらとは戦ってきてたし今更どうということはないよ」

「そうですか…」

「じゃあ我はここで」

「私も戻りましょうかね」


と言ってライオス王とリズベルさんはどこかへ行ってしまった。


「「………………。」」


静寂な時間が過ぎる。今なら誰もいないよな?を聞いてみるか。


「…あの、昨日シルディとかいう暗殺者があなたのことを兄貴と言っていましたけどどういう関係なんですか?」

「………あいつは俺のだ」

「えっ……」


衝撃の事実が明かされる…リアムさんとシルディさんは全くの正反対の性格や行動なのに兄弟ということ。

「元々、あいつは俺と一緒の騎士団に入る夢を持っていた。実力もほとんど一緒で、俺たち2人は最強だった。…でも、あの日が来るまでは

その日は俺たちが近くの草原で朝から一対一の模擬戦をしていて昼飯も持ってきてずっと戦っていた。そこには魔物が出ないいわゆる安全地帯だった。そこでオレとシルディはずっと遊んでいた。日も落ちかけ、そろそろ帰ろうと思った時、シルディが何かに気づいた」


「兄さん、早く帰ろう!」

「そうだな…でもどうしてそんなに焦ってるんだ?」

「あ、あれを見てっ!」


その方角は俺たちの街の方角だった…そこにはいくつもの黒煙が上がっていた。

それを見た俺たちは急いで帰った。帰ってすぐ待っていたのは…絶望だった。

街は崩壊し、鉄と焼け焦げた匂いが漂ってくる。俺たちは家の方へ走った。火をかわし、倒れてくる物をかわしつつ走った。家は崩壊していた。しかし、運よく家には日が移っていなかった


「母さん!」「お母さん!」


そう叫んでも返事がない。どこかへ行ってしまったのかわからなかった。両親は冒険者だから、どこかクエストに行ってるかと思ったが現実は違った


「に、兄さん…こ、コレを見て」

「わ、わかった今行く」


そこにあったのは父さんと母さんの死体だった…2人は手を繋ぎあって倒れていた…近くには剣が落ちていた。間違いなく何かと戦ったようだ。


「ふ、2人とも…」

「母さん!」「お母さん!」

「に、逃げて。バルザークがくる…」


『バルザーク』その名は現魔王の名前だった…


「お母さん」

「私は…もうだめ…リアム…シルディをおね…がい……」

「かぁさん!」


そう叫んでも返事はなかった…この日を境にシルディはおかしくなってしまった。

俺は念願の騎士団に入ったがシルディはどこかへ行ってしまった。

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