クエストの終わりと暗殺対象

「あぁ…疲れたな…」


俺は、先日まで行っていた魔物討伐クエストを思い出していた…

ゴブリンキングを倒した俺たちは、森の中を抜け、一度街の戻って寝て、

次の日に近隣の町へ行った。

その理由は、オリビアの妹を救出するときに追加で見つかった子供達を返しに行くためだった。

近くの街に行き、メイド服姿のオリビアと妹のエミリーを家に返しに行った。


「「ありがとうございました」」

「こっちもありがとな、おかげで助かったわ」

「そんなことないよ称矢さん達が強かったからだよ」

「来れたらまた来るね」

「うん!バイバイ」


俺たちはオリビアを家に戻した後近隣住民に聞き込みをした。

そこで分かったのは、最近街の近くの平原で遊んでいる子供達がいなくなる事件が起きているらしい。

場所を聞くとそこの近くにはがあった。

大人たちからは、盗賊か何かに誘拐されているかもしれないということになっているが、実際にはゴブリンが関係していたことを話した。

ゴブリンキングという言葉に少々恐怖を感じたのか、冷や汗が流れ出ていた。

討伐したことを報告するとすごく感謝をされた…そんな強いやつなのか?喋れる時点で相当強いやつらしいけど…

その後俺たちは集会所の場所を聞き、子供達を連れて行った。

集会所に着くと多くの人たちが来ていた、子供達を連れ前の台に出て子供の親を探した。親は泣いて感謝をしてくれた。

何人かの人はお金をくれようとしていたが、こっちは特に要らなかったため断った。

親に返し終わった後今回の事件の説明を軽くした

今回の事件は盗賊ではなく討伐したが関係していたこと、

集落を作っていたこと、その中に上位個体が数多くいたことを話した。

話し終え、感謝される人たちの対応をし、俺たちは街を出て、宿のあるルーベルクまで戻った。

道中、魔物に襲われたが三日間でレベルも上がっていたため瞬殺だった。

ルーベルク戻ってきて早々愛莉が買い物に行きたいと言い出し、半日間俺と雅人は付き合わされた…マジでなげぇ、女子の買い物。どんだけ買うの⁉︎両腕合わせて5つくらい紙袋持たされてるよ


「どれだけ買うのだろ?」

「知らないよ…でも、腕がもう少しでヤバいことはわかる」

「あ、あっち良さそうね、ほら男子いくわよ」

「「うへぇ…」」

((春渡あいつ後でぶっ飛ばしてやる…))


半日付き合わされ疲れた俺たちは、宿に戻り次第すぐベットに倒れ込んだ。

目が覚め、気づいたらそのまま寝ていたらしく、次の日の朝になっていた。

部屋を片付け、荷物をまとめて着替え外に出て馬車に乗りそのまま帰ってきて今に至る。

昨日の疲れを癒すべくのんびり過ごしているとメイドが来た。


「すみません、ライオス様がお呼びです」

「どうしてですか?」

「何か重要な話があると言っていました」

「わかりましたすぐ行きます」


俺は準備をし、まだ疲れの取れていない体を起こし謁見室に向かった。

そこには、ライオス様の他にリアムさんたちがいた。


「来てくれてありがとう」

「いえ、別に大丈夫です」

「討伐してくれたゴブリン上位個体の褒賞を渡そうと思ってな。

何が欲しい?」

ですか…」

「なんでも良いのだぞ?貴族の地位も金も名誉もやるぞ?名誉はすでにあるがな、はっはっは」

「「「「「…………………。」」」」」

「…なんか酷くないか?」

「「「「「いえ!ひどくないと思います」」」」」

「では、新しい剣が欲しいです」

「ほう、剣か…」

「はい、剣召喚のスキルもあるのですが、それ以外にも欲しいので」

「そうか、ではオーダーメイドの剣を作ろう」

「いいのですか?」

「あぁ、構わない。元々全員分の武器を作ってもらうつもりだったしな」

「ありがとうございます」

「いやいや気にすることでない。そのこともなんだが、もう一つ話さないことがある」

とは?」

「先日、王都内で捕まえたやつが衝撃のことを話したんだ」

「その話はなんですか?」

「君こと三梢称矢のだ」

「…俺の暗殺?…」

「そうだ、暗殺者ギルドにその依頼が回っていた」

「誰が、俺の暗殺の依頼を…」


血が滲み出るほど俺は強く手を握りしめた。

ポタポタとちが滴り落ちる…誰だ、こんなことをする奴は!


「誰か心当たりはないかね?」

「心当たり…ですか?…」


体から湧き出る殺意を抑え、そう答えた。

とは言っても実際そんなことをしそうな奴はいなさそうだし…

ならあり得るか?

可能性はあるな…


「おい!なんで俺がこんな奴より弱いんだよ⁉︎」


全員が静まり返った。言葉の主は多分自称不良少年のとその取り巻きだ。呆れていると、


「おい!説明しろっ!なぜだ!なぜこんなモブみたいな奴より俺の方が弱いんだ⁉︎」


こんなことを初日に言っていたし、あれ以来殺意のこもった目でこちらを睨んできたいたし…


「野島悟か?…」

「その名前は勇者の一人ではないか?そんなことはないと思うのだが…」

「いえ、可能性は高いです。依頼書自体に個人の名前を使っています。この国の王のように名の知れた人ならわからないはずです。しかし、俺たちは召喚された人たち。

召喚されたことは知っていても、名前までは知らないはずです。暗殺依頼書に書いてまで復讐しようとするのはあいつの可能性が高いです」

「そうか…わかった。では今日から野島悟の監視しましょう」

「俺も参加してもいいですか?監視に」

「君がいないと困るのだが…日中じゃなければ良いぞ」

「ありがとうございます。では失礼します」


パタンと扉を閉じ、俺は部屋に戻った。

その帰り道書斎で何か話しているようだった。


『これは、さっさと片付けよう』

『そうだな…禁忌魔法は国庫にしまっておかなくては』


そう言って目の前を本を持って二人の兵士が出てきた。

その本からはらりと紙が落ちてきた。慌てて拾い、呼ぼうとするとどこにも居なかった。


「なんだろうこれ?」


そう思い紙を見た。すると

【スキル「禁忌術 蘇生魔法」を覚えました】

声がした。まずい、禁忌魔法ってやばいんじゃなかったっけ?

俺はスキル欄を見た

―――――――――――――――――――


【三梢称矢】

職業:魔剣士

レベル:2

魔力:510

攻撃力:660

防御力:340

俊敏力:470

知力:220

運:50

BP:10

スキル:≪剣召喚Level 1≫≪アイテムボックス≫≪全魔法Level2≫

    ≪剣技Level6≫≪言語理解≫≪鑑定≫≪禁忌術 蘇生魔法≫NEW

称号:≪トラブル体質 ≫≪全能の主 ≫


―――――――――――――――――――

スキル「禁忌術 蘇生魔法」

禁忌術21番に指定される魔法。この魔法は人を蘇らせるものでどれだけ時間が経っても蘇らせることが可能。しかし、代償として体の部位が消失する。

死ぬか生きるかはその人のによって左右される。

※称号≪全能の主≫により偽装が可能です


禁忌術覚えちゃった…どうしよう、持ってたらやばいって…

偽装のスキル覚えるか?それまでにステータス見られたらまずいな…

あ、スキル表示に偽装可能って出てる!よかったー

≪全能の主≫に感謝!そう思いつつ俺はスキル欄から消した。

この世界で禁忌術は持ってるだけでも犯罪で、禁忌術は一つで世界を壊滅させることが可能なほどぶっ壊れスキルなのだ。それで実際に試して滅んだ国があったため、世界は禁忌術と名づけ、取り締まった。自国や世界が滅ばないように。


「隠せたし、ここに居ても怪しまれるだけだし、とっととにげよ」


そう呟き俺は去った。この術こそ、国を滅ぼした魔法であることを称矢はまだ知らなかった。


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