【Side 地球側と???】
【Side 地球】
称矢たちが異世界転移した後、世間はパニックになっていた。
突如として生徒教員合わせて32名がいなくなったのだから。
このニュースは世界中で放送された。そのニュースによってさまざまな憶測が飛び交った、
教師が生徒を誘拐して言ったのか、それとも連絡がつかないだけでどこかへ行っているのか?はたまた陰謀論まで出てきた。
そんな中、いなくなった生徒たちの親は精神的ショックで家から出られなかった。
『すみません!週文社の記者です。突如いなくなった2ーC組の「三梢称矢君」について何か知りませんか!』
『毎朝テレビです!称矢君の母としてインタビューをさせてください!』
『週刊ダウノの記者です。お話をお聞かせください』
「はぁ。なんでこうなるのよ…称はどこいったのよ…」
母親は精神的に追い込まれていった。毎日来るメディア対応、会社の仕事に家事までやることが山積みになっていった。
「お母さん、だいじょうぶ?」
そんな声が聞こえてきた。振り返ると
「大丈夫だよ詩菜。お兄ちゃんはきっと帰ってくる」
「うんっ、それまで詩菜まつ!」
「ありがとう…」
不意に涙が流れた。
「さぁお母さんも働かないと」
励まされた母こと
元々芹香は出勤しての仕事だったが、こんな事態になってから私の上司が気を利かせ在宅ワークにしてくれた。本当に上司には頭が上がらない。
パソコンを開き、ログインするとそこには、職場のみんなの慰めのメールがたくさんきていた。
【大丈夫?元気出して!】
【称矢君はきっと見つかるよ】
【今度でいいから職場に顔を出してね。みんな心配してるよ】
【今度、お見舞いに行くね】
「みんな…ありがとう…」
わたしは職場のみんなの行動に感謝をした。その後仕事を始めた。
芹香の仕事はシステムエンジニアで、今まで数多くのプロジェクトに関わってきた。
称矢がいなくなってから芹香はすぐにメディアにバレ、今に至る。
「ここは、こうして…でもあれは使えないし…」
呟きながら作業を進めていると、ピンポーンとインターホンが鳴った…
またメディアか…と思いつつ作業を保存して見に行くと、アメリカに海外出張していた父親の三梢繁晴が帰ってきた…気づくとメディアも帰っていた。
少し気分が上がり、玄関に向かい扉を開けた…
「あなた…お帰りなさい」
「あぁ、ただいま…称矢はどこ言ったんだろうな…」
「そうね…見つかるといいわ。とりあえず中に入りましょうか」
とりあえず2人は家の中に入った。入ってすぐに詩菜が走ってきた。
「お父さんおかえりなさい!」
「あぁ、ただいま…帰ってきたよ」
その後、称矢を除く家族は家でのんびり過ごしていた。
【Side ???】
「あぁ一緒に生きて帰ろう。そしてあの日のような平和な日々を過ごそう!」
誰にも見えない王城の屋根からそのやりとりを一人の男が見ていた。
『そんな日が来るといいな
そう呟いてニヤリと笑い、どこかへ消えてしまった。
その男は、屋根を走り王城の城壁から飛び出て王都内を抜けていった…
近くを巡回していた兵士の近くをすり抜ける。
「おっと、危ない危ない…カンテラが落ちるとこだった」
「大丈夫か?」
ヒュウと風が吹き、巡回していた1人の兵士は風が吹いた方角の家の屋根を見た。
暗くてよくわからないが黒い影がすごい速さで動いているように見えた。
「なぁ、今黒い影が風を切るように屋根を走っていかなかったか」
「なんだそれ、幻覚でも見たんじゃね?」
「そうか…ならいいんだが…」
短い会話をし、兵士はまた巡回を始めた。
男はその様子を見ると路地裏に走っていった。男は路地裏の中の一つの家に入ると、
そこにはバーがあった。中には数人の客がいるのみだった。
バーのマスターは男に
『何をお飲みになりますか?』
「ジンとトニックを冷酒で」
『わかりました。しばらくお待ちください』
そう言って店の厨房に戻って行った。
この言葉は、同じ暗殺者同士の獲物の報告合図のセリフだ。このバーは一般人には知られていない集会所のバーだ。
しばらくするとマスターが一つの皿を持ってきた。その中にはナッツが入っていた。
『これはつまみです。よかったらどうぞ』
「あぁ、ありがとう」
男はそういうと、割ってもらったジンをもう少しトニックで割り、ナッツをつまみに飲み始めた。30分ほどで飲んでいるとナッツも無くなりそうになっていた。
男はあと一つ残ったナッツの皿を持ち上げ、皿の裏面を見た。そこには小さな紙がついていた。それを剥がし開くとこう書いてあった。
[ターゲットの行動はどんな感じだ?]
それを読んだ男は紙に挟まれていた別の紙にこう書いた。
[ターゲットの動きに特に変化はなかった。今後も監視を続ける。]
そう書き、あと一つ残ったナッツを少し割り、中に挟んでカウンターに戻した。
辺りを見渡してみるともう誰もいなかった。それを確認したマスターが店じまいの看板を出し、男の隣の席に座った。
「どうだ、順調か?」
「特にターゲットにはバレてないようだ」
「さすが、今までの任務は全て達成してきたやつは違うな〜」
「うっせぇ。で、ブツは用意できたか?」
「できたぞ。これだろ」
そう言ってマスターは箱を取り出した。箱を受け取った男は箱を開け中身を確認した。その中には、刃渡り20㎝ほどのナイフと中身の入った瓶が入っていた。確認を終えると箱を閉じた。
「毎度ありがとな」
「おう、今回の任務は絶対達成しろよ。何せ白金貨百枚だからな。これがあれば二年ほど優雅に暮らせるからな」
「わかってるよボス」
「ターゲットの三梢称矢とかいうやつを殺せばいいんだろ」
「そうだ。依頼書にはそう書いてあった」
そう言ってマスターは一つの依頼書を取り出し、渡した。
依頼書を受け取って読んでみると…
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依頼書 暗殺者ギルド
依頼人 ノジマサトル
内容 王城内に住んでいるを
殺し方はそちらに任せる。
条件 できるだけ死体は傷つけるな。
報酬 白金貨百枚
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「こいつ、後で死体を傷つけるやつですね」
「そうだな…依頼人のノジマサトルとかいうやつはかなり恨みがこもっているな」
「そうですね。何かあったんでしょうか?」
「さぁ、そこは俺たちの専門外だ」
「決行の日はどうしましょうねぇ…」
気付かぬところで称矢は命を狙われていた。
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