訓練三日目、座学と対人訓練
どこかからか視線を感じる。
「ふわぁ……まだ夜明け前か…」
俺は起きて、寝ぼけ眼で辺りを見渡た。でも誰もいなかった。
「…もう一回寝よ……………すぅ………すぅ…」
俺はもう一回寝た。さっきのは一体何だったんだろう?
そんなことを考えていたらまた眠ったのだった。
「…きて…起きて……起きて称矢」
「ん?もう朝か…おはよう…」
「いつまで寝てんだよ。もうあとちょっとで集合だよ」
「………まじか、やっべ」
俺は慌てて着替えみんなのいるとこへ向かった。
着いたら奏が聞いてきた。
「遅かったね、どうしたの?」
「いやぁ二度寝したら寝坊した」
「称矢らしくねぇな、あと、今日は座学だってさ」
「座学かぁ…やりたくねぇ〜」
「まぁ、そうなるよね…いやでも書斎に行こっか」
そう言われ俺はテンションが下がった。あと書斎ってどこだっけ?
奏に案内されるがままについて行くと書斎に着いた。
中に入ると1人の男性がいた。
『あっ、来ましたね。どうも初めまして。私はここの書斎の司書のリオ・マルケスです、よろしくお願いします』
「「「よろしくお願いします…」」」
『今日はここでこの世界について勉強してもらいます。ここにある本は自由に使ってもらって構いません、もちろん座席も自由です。また、わからないことがあればわかる範囲で教えます』
俺たちは本棚にあった本を取って奏と陽太の席に向かった。
「いや、ほんとファンタジーだな」
「なんで?もう魔法が使える時点で十分ファンタジーだろ」
「見ろよこれ。アニメや漫画でしか見たことのない魔物図鑑だぞ」
「おースライムにゴブリン、オークにオーガ…ほんとアニメや漫画の世界みたいだな」
「じゃあ俺も取ってきたやつで勉強するか〜」
俺はこの世界の通貨とギルドについて書かれた本を開いた。
この世界の通貨は十枚で次の硬貨一枚分の価値になるらしく順番で見ると
鉄貨→銅貨→小銀貨→銀貨→大銀貨→小金貨→金貨→大金貨→白金貨の順だ。
硬貨は全世界共通で、特に重要なことはない。
因みに大銀貨二枚が一般的な4人家庭の一ヶ月分の費用とされている。
次に総合ギルドと冒険者/商業者ギルドの違い。
総合ギルドは国の機関とは別で運営されていて、全世界にある。
一方冒険者/商業者ギルドは個人で運営ができ、限られた地方で使えるため
一般的な冒険者は総合ギルドに所属することが多い。
「へぇ〜ギルドにも種類があるんだなぁ」
『ギルドについてですか…個人経営のギルドは治安の悪いとこもありますからねぇそのため初心者は総合ギルドに入るんですよ』
「うわっ…びっくりしたぁ…」
『…すみません。あなたは何が知りたですか?』
「う〜〜んそうだなぁ…魔法について知りたいかなぁ…」
『魔法ですか…では、あちらのはどうでしょう。あの本棚はしばらく読めばスキルの獲得ができる魔導書などが置いてありますし』
「ありがとうございます。今度読んでみます」
『それはよかったです』
俺は今持ってた本を返しに行き、数冊魔導書を持ってきて机に置き、読み始めた。
「…魔法は、イメージが重要か…具体的に、焚き火をイメージすうるとわかりやすいのかなぁ?そこのところはやって見ないとわからないな…」
小声で呟きながら読んでいった。読み始めて小一時間が経った頃、
『これで、座学の時間を終わります』
「「「ありがとうございました」」」
座学が終わり次はなんだろうと思いつつ、書斎を出ると
『10分ほど経ったら訓練場に移動してもらって対人訓練をしてもらいます』
対人訓練か…きつそうだな。
「対人訓練がんばろうな」
「「おうっ」」
奏と陽太はそう返事した。その後、小休憩をした俺らは、訓練場に移動した。
『訓練を始めますが、今からクジを引いてもらいます。引いてもらったらすぐ確認されても構いません』
そう言って箱を取り出し、俺らの方に差し出してきた。一列に並び、くじを引いていった。
「俺、1番」
「3番」
「私、2番」
「私も2番!一緒だね」
俺も引き、開いてみた。そこには6番とだけ書かれていた。何に使うんだろう?
そう思っているとそれに答えるように話した。
『このくじに書かれている番号は、対人戦の相手です。1から8まで書かれていて、同じ番号の人がグループとなります。では、同じ番号同士で固まってください』
俺らは、同じ番号の人と集まるため移動を開始した。
「1番の人はこっちにきて」
「3番のやつはこっちだ」
「5番の人はここにきて」
「6番の人はここだよ」
同じ6番の声が聞こえた。俺はその場所へと向かった。着くとすでに2人がいた。
「君も6番かい?」
「あぁそうだ。よろしく」
「そういえば自己紹介がまだだったね。僕の名前は
私の名前は
「俺の名前は三梢称矢だ。よろしく。」
「よろしくね称矢君」
軽く自己紹介をしていたら、合流できていないのは残り数人だった。
「ここが6番であってる?」
「あってるよ。ここが6番の集合場所だよ」
「ありがとう」
最後の1人が来た。なんか聞き覚えのある声だった。そこにいたのは
俺と同じ部屋の鈴木雅人だった。
「あ、雅人じゃん」
「あ、称矢だ。よかったー知ってる人がいて」
「俺もだよ、よろしく」
「よろしく〜」
辺りを見渡すと、なんとか全員が合流することができたようだった。
それを観たリアムさんが
『では、対人戦を始める。はじめに兵士と戦って、ある程度の戦闘経験を積んでから実際にやってもらう』
俺らは一人一人は兵士と対面し、打ち合った。
『ほら、右が空いてるよ』
「はいっ」
『今度は右に寄りすぎだ』
「はいっ」
『もう少し踏み込んでみて』
「はいっ…」
『「………」』
…何回同じセリフを言えば気が済むんだ?このまま続けると
はいしか言わなくなるBotになりそうだ。
そう思いながら俺は兵士に向かって打ち込み続けた。
『君、センスあるね』
「はいっ……あ、ありがとうございます」
ほら、言わんこっちゃない。さっき予想してたBotみたいになってるやん。
この間も剣を振っているため、カッ!カッ!カッ!と木刀同士がぶつかる音がずっと響いている。
『いいよいいよ。君上手いから、今からカウンターとかの
「わかりました」
剣を打つのをやめ、兵士は言ってきた。
『カウンターを実践してみるから、試しに打ち込んでみて』
そう言われ、俺は兵士に向かって右斜から剣を振り下ろした。
兵士は一歩も動かず、振り下ろされた剣を上から被せ、剣の鍔で撃ち落とし
突きを入れてきた。
「すごい…」
俺は、感動した。かなり力強く剣を振ったのに、最も簡単に弾きカウンターを入れてきたことに感動していた。
『これは、スキル【剣技】のレベル3で使える
「頑張ります。剣技のスキルはLevel2ですから」
『頑張れよ、応援しているからな』
『では、最後に2vs1で戦ってもらう。グループで2人ずつ別れ、兵士を相手に戦ってもらう。うちの兵士はリアムがアホほど鍛え上げたせいで3vs1でも余裕で勝てるようだから初戦にはいい相手だろう』
「「「「「「「マジかよ!(ですかぁ⁉︎)」」」」」」」
俺ら6番グループは全員剣関係のスキルを持っているためすぐ別れられた。ペアとしては、
俺・雅人ペア/春渡・愛莉ペアで別れた。
『でははじめっ!』
その合図で俺と雅人は走り出した。超接近戦で戦う雅人を俺がフォローする立ち回りで戦う。兵士は雅人の攻撃を剣を使い弾き、バックステップで距離を取った。
雅人が距離を詰めると、俺に見せてくれたカウンターの体勢に入り、反撃した。
雅人はナイフを弾かれ、剣の腹で叩かれ、ダウンした。俺は、一定の距離を取りヒットアンドアウェイで戦っていく。俺の攻撃が、兵士の腕に当たり、一気に攻めるチャンスだと思い距離を詰めた。しかし、それは演技であった。
攻撃を受けた腕で横なぎに振ってきたのだった。俺は慌てて、体を捻ったが脇腹に当たり、ダウンした。
それを受けて俺らは思った。
(どんな練習したらこんなんになるんだよ…)
『うむ、全員ダウンしたな。今日は以上だ』
「「「…ありがとうございました…」」」
俺は体が痛むが、挨拶をし一目散に部屋に戻ったのだった。
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