訓練初日と怪しい影
俺たちがこっちに来てから2日目、そして今日から訓練が始まる。
正直言ってやりたくないなぁと思いつつベッドから立ち上がると
「おはよう。朝早いね」
そう話しかけてきたのは同じ部屋の鈴木雅人だ。まだ多少眠く頭が回らないが
「あぁ、おはよう」
そう答えた。
「いやぁ、びっくりだね。まさかこんなことが起きるなんてびっくりだよ」
「そうだな。こんな漫画みたいな展開になるなんて…。あ、今日から訓練じゃん」
「「うわぁ、やりたくねぇ〜」」
お互い考えていることは一緒だった。急に呼び出されて次の日から訓練とか意味わからない。
「まあ、頑張るか」
「そうだね」
と、俺たちはつぶやいた。
その後、俺と雅人は朝食を食べるために別館から移動して、食堂に来た。
まだ朝早かったため誰も食堂には来ていなかった。
俺はトースト。雅人はサンドイッチを食べ、部屋に戻った。
特段することもなかったので雅人と喋りながら時間を潰していた。
「そういえば雅人の役職はなんだったの?」
「俺はアサシンだったよ。えっと確か称矢の役職は魔剣士だっけ?」
「そうだな。あまりどういう役職かはっきりしていない奴だった気がする」
そんな話をしていたら
『勇者様方、訓練が始まるのでそろそろ大広間に移動をお願いします』
と、メイドが教えてくれた。
「ありがとう、じゃあ行くかぁ〜」
「そうだな、行くかぁ」
と俺たちは乗り気しないで昨日メイド達からもらっていた練習着に着替えて大広間に向かった。着くとかなりの人数が大広間に来ていた。
「あ、おはよー」
1人の女子が話しかけてきた。
「おはよー」
と、隣にいた雅人が答えた。そんな会話をしながら俺たちは十分くらい残りの奴らを待った。そして、全員集まったら王様がみんなに話した。
『今から訓練を始めるが、これを読んで言語理解のスキルを獲得してから剣術や魔法の訓練を始めてほしい』
そう言って俺たちに渡したのは10ページほどの冊子だった。なんだこれと思って開いてみたら何がなんて書いてあるかわからなかった。
だが、しばらく読んでいると
【スキル「言語理解」を獲得しました】
「うわっ」
急に無機質な声が脳に響いてきて思わず声が出てしまった。
『言語理解は獲得できましたか?』
近くの兵士が聞いてきた。それに対し俺は
「なんか急に無機質な声が響いてきたけど獲得できたと思います」
そう答えた。
『ではこちらに触れて言語理解のスキルが獲得できいるか確認させてください』
そう言って、昨日見た水晶玉を持ってきた。特に躊躇うことなく触れると、
―――――――――――――――――――
【三梢称矢】
職業:魔剣士
レベル:1
魔力:500
攻撃力:650
防御力:330
俊敏力:460
知力:210
運:50
BP:0
スキル:≪ 縲∝ョ ≫≪アイテムボックス≫≪火魔法Level3≫≪剣技Level5≫
≪言語理解≫NEW
称号:≪ 縺ァ縺励 ≫≪全能の主≫
―――――――――――――――――――
昨日までなかった「言語理解」のスキルがあった。
それを見た兵士が
『大丈夫ですね。ではこちらに来てください』
そう言って俺は隣の部屋に移動して待機した。
5分後には全員が「言語理解」のスキルを獲得した。
全員が獲得したのを確認した王様が、
『では、魔法を学びたい人はあちらにいる神官の元へ、剣術を学びたい人は
ここに残ってください』
そう言われて俺たちは大体半々に分かれて、魔法・剣術の訓練を受けることになった。
『私の名前はリアム・ノワールロアだ。ここリンドランム王国第一騎士団総隊長に
就任している。これからよろしく頼む』
「「「よろしくお願いします」」」
『では、今から剣術訓練を始める』
リアム隊長が大声で喋った。
『まず初めに基礎体力をつけるためにここのグラウンドを3周してきてください
その後に、木刀を使って素振り・打ち込み稽古をします』
「「「わかりました」」」
そう言って俺たちはグラウンドを3周を始めた。
俺は、体力があまりないためすぐにバテるからやばいなぁと思いつつ走っていると
「あれ?俺こんなに走れたっけ?」
そう呟いた。その声に気づいたアサシンの雅人が応えた。
「いやぁ、びっくりだね。まさかこんなに体力がつくなんて」
そう言って俺たちは3周を走った。走り終わって少し休憩すると
『少し休めましたか?では今から木刀を持って素振りをします』
兵士たちが俺たちに木刀を持ってきた。それを受け取って俺たちは素振り稽古を始めた。素振り稽古は剣を振る時の剣捌きや体の捌き方を確認して、アドバイスをするものだった。
素振り稽古は基本的に剣技関係のスキルをみんな持っていたため剣を使ったことがなかったがよく体に馴染んだ。
『素振りの方は大丈夫そうなので打ち込み稽古を始める』
そう言って少し移動して、案山子が複数立っているとこで打ち込み稽古を始めた。
しばらく案山子に向かって打ち込んでいると、兵士が近寄ってきた。
『君、剣を振るときは縦じゃ大振りになって隙が出来やすいから横や斜めから剣を振ってみるといいよ。君は体捌きがうまいからすぐ良くなるよ』
「わかりました」
そう兵士がアドバイスしてくれた。言われた通りに縦だけじゃなく横や斜め、下からも夕方になるまで木刀を振って打ち込んだ。
『今日の訓練は以上だ。』
「「「ありがとうございました」」」
そう言って俺たちは解散し、各々自由に過ごした。疲れて部屋に戻る者や雑談する者
食堂に行って夕食を食べる者など多くいた。俺は近くのソファでくつろいでいると奏が近づいてきた。
「やぁ、お疲れ様。訓練はどうだった?」
「疲れたよ、基礎トレーニングして素振りと案山子に打ち込んで終わった。
そっちは?」
「こっちは難しかったよ。魔法の訓練にあたって詠唱はすぐ覚えたけどなかなか魔力が練り上がらないからなかなか威力が出ないな。コツはその魔法自体?をイメージすることだってさ」
「イメージかぁ…難しそうだね」
「そうなんだよ。イメージってもどういうふうにするかとか色々あるし」
「まぁあれだ……うん、頑張れ」
そう話して俺たちは分かれた。
その後、俺は疲れていたため食堂で軽く夕食を食ったら、汗をシャワーで流してすぐベッドで寝ようとしたが目が冴えて寝られない。横では雅人がすやすやと寝ている。
俺は起こさないように静かに部屋を出て、ベランダに出た。
「はぁ… 魔法か…本当に異世界に来たんだなぁ。詩菜や父さん、母さんは元気にしてるかな?」
小さな声で呟いた。
「おや?どうやら先客がいるみたいだ」
そんな声が聞こえてきてふと振り返るとそこには篠崎陽太がいた。
「どうしたんだ?そんな顔して」
「いや、別に」
「…そうか。ならいいよ」
会話が途切れた。静寂な時間が過ぎていった。俺は夜空を見上げていると陽太が話しかけた。
「俺たち本当に帰られるのかな?優大兄さんや親父に会えるかな?」
ふと、陽太の顔を見ると少し驚いた、泣いている。今まで一度も泣いているとこを見たことがない陽太が泣いている。
「わからない…でも、帰れると信じて俺たちは戦わないといけないんだ」
「ははっ…ありがとう。そうだよな…この世界にも困った人たちはいるんだ、頑張らないでどうする」
「お互い、一緒に生きて帰ろうな」
「あぁ一緒に生きて帰ろう。そしてあの日のような平和な日々を過ごそう!」
誰にも見えない王城の屋根からそのやりとりを一人の男が見ていた。
【そんな日が来るといいな
そう呟いてニヤリと笑い、どこかへ消えてしまった。
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獰猛帝国ケールミア☆初登場の作者だ☆
この話全体を通しての話をする。魔法は基本的詠唱が必須な物だが
しばらく使っていると詠唱をカットして使えるようになる☆
そして、初めは詠唱をつけますが最終盤近くになるとクラスメイトたちを不完全な無詠唱とします。以上補足でした☆
今後ともよろしくお願いします
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