第2話

…きて……さ…


おき…く…だ…い…


…誰かの声が聞こえる


しかし、今の俺はそんな声を無視したいと思った


何故かは知らないが無性に眠い…それに、頭を殴られたかのような痛みが全身を襲っているからだ


「……ふんっ!!」


「ぐへぇ!?」


聞こえてくる声を無視していると、突然俺の愚剣辺りに物凄い痛みが走った


こ、これは男にやっちゃあいけないことだろ…!


愚息へ襲いくる痛みに耐えながら声がしていた方を睨みつけると


「やっと起きましたか…私が見えていますか?」


何事もなかったかのように疑問を投げかけてくる女性がいた


こ、こいつ…!澄ました顔でいやがる…俺にとんでもないことやっておいて…!


「それは貴方がいつまで経っても起きないからじゃないですか、素直に起きれば余計な痛みはありませんでしたよ」


「だとしてももうちょいマシな起こし方があるでしょうが…!よりによってなんであんな起こし方にしたんだよ…!」


それから暫く俺は金的を仕掛けた女性と口喧嘩(俺が言っているだけ)をして、漸く落ち着いてきた頃に女性が話を持ち掛けた


「貴方…何故ここにいるかわかりますか?」


ここにいる理由…まぁ一つだろうな


「俺が死んだから…だろ?車に撥ねられて」


「はい、その通りです…が」


俺が己の死因を答えると、女性はばつが悪そうな顔をし、話を続ける


「実は…貴方が死んでしまったのはこちらのミスです」


「ミス…へぇ…は?」


ミスで…俺は死んだ…


いや…いやいや…おいおいおい?


「なのでここで謝罪を…申し訳ありませんでした」


「いやいや、ここで謝られても死んだ命は戻れないんですよね?謝罪されても困るんですけど…」


「貴方の言いたいことはわかります…なのでお詫びとして、貴方には異世界へ転生して第二の人生を歩んでもらおうと考えています…それも、貴方の願う世界に」


ふんすっ!と今にでも言いそうなドヤ顔で言ってくる女性…一回殴ったろかな


「ちなみにですが私は神なので殴れば容赦なく地獄へ堕とします」


怖っ


「…ちなみに、あんたの案を断ったら?」


「その時は貴方があの世に逝きます」


「是非転生でよろしくお願いします!」


手違いで死んで転生をできないとか絶対に嫌だ…俺は転生してラブコメを見るんだ…


「わかりました…では今から貴方をラブコメ世界へ転生させます…来世でいい人生を」


っしゃあ!神様サンキュー!


何だかんだで優しい神だったよ!金的は忘れてないが


「…ん?あ、転生先間違えてる…」


「…え?おい今なんて言ったこのクソかm———」


言い終える前に足元が強く光輝き、俺は再び意識を失った


…今度会った時は絶対に覚えてろよ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る