第3話
夜、自室でラノベを読んでいると妹の桜が気を利かせてくれたのかプリンを買ってきてくれた。
コンビニでよくある安いやつ。
もちろん安いからいいのだ。個人的に値段が高いプリンよりも安い方が美味しいと感じるタイプだ。
多分ほとんどの人が高い方がいいんだろうけどな。
桜は分かってくれているのでこのプリンを買ってきてくれたのだろう。流石は我が妹である。
そういえば桜の学校生活のことを聞いたことが無い。
麻乃と別れて何か解放感を感じている。もしかしたら俺たちはもともと別れる運命だったのかもしれない。
でもまああの罵詈雑言がなかったら運命は変わっていたと思うけど。
「ありがとう。流石桜」
「なんとなくね。別に特別な意味とかないから」
「はいはい、分かってるよ。ありがとな」
そういって桜の頭を撫でると恥ずかしそうな顔をして笑う。うん、可愛い。シスコンになりそう。
いや、既になってるまである。
朝になった。昨日は夜中まで桜と一緒に過ごしていた。主に学校生活について話した。
ほとんど桜のことばっかり聞いてたけどな。昨日までずっと麻乃と過ごしてたから話す内容が無かったんだわ。
だから桜の学校生活について話したってわけ。
感想を一言で言えば良かったである。友人には恵まれているようだし、変な男に絡まれているようでもないらしい。
兄として妹に彼氏が出来ることはちょっとばかし…いや、めっちゃ嫌だけど、俺も彼女いたし何も言えなかった。
「学校行くの嫌すぎる…」
「まあ仕方ないよ兄さん。昨日別れたばっかりで辛いかもしれないけど、新しい恋もあるかもしれないじゃん」
「そうかもな…」
しばらく歩くと学校にたどり着いた。桜とは玄関で別れ、各々の教室に向かった。
教室はいつも通り…ではなかった。そう、麻乃が机に突っ伏して大泣きしていたからだ。
彼女の机の周りには多くのクラスメイトが集まっていて彼女を励ましている様子である。
「なんだ?」
そういえば朝にインターホンが鳴った時に麻乃が来たとか桜が言ってたっけ。その時は準備で忙しくて聞き逃していたが何をしに来たんだあいつは。
散々に振った相手の家を訪ねるってどんな神経してたらそんなことできるんだよ。俺なら間違いなく無理だ。
断言できる。
俺が教室に入ると同時に俺に向かって鋭い視線が送られたのが分かった。明らかな敵意。
昨日は同情してくれていたのに一日でなんだこの変わりようは。麻乃に何か吹き込まれたのだろうか。
とりあえず周りを無視して自分の席に腰を下ろす。
「侑都…なんで朝無視したの?」
「…は?」
なんと話しかけてきたのは麻乃だった。すごく不安そうな表情をしている。
でも俺の心境が変わることはない。
なんで俺に話しかけてくるんだ?
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