第4話

晴れ渡る空の下、優海と黒河は美術館へ向かう遠足のバスに揺られていた。友達と一緒に過ごす初めての遠足。優海の心臓はドキドキしていた。


美術館に到着すると、まずは彫刻の展示が目に飛び込んできた。大理石の彫刻が光を浴びて美しく輝いている。優海は黒河と並んで、興奮と期待に胸を膨らませていた。


「どれから描こうか?」黒河が微笑みながら言った。


「これ、すごくかっこいい!」優海は大きな彫刻を指差した。二人はその彫刻の前に座り、スケッチブックを広げる。


スケッチをしながら、黒河は優海に話しかける。「優海ちゃん、今までスケッチしたことある?」


「ううん、初めてだよ。でも、楽しい!」優海は絵筆を持つ手に力を込めた。


時間が経つにつれ、二人はそれぞれのスケッチに夢中になった。互いに時折顔を上げては笑顔を交わし、その瞬間が特別なものであることを感じていた。


「できたよ!」黒河が声を上げ、優海の方にスケッチを見せる。


「すごい、細かいところまで描いてるね!」優海は驚きと称賛の声をあげる。黒河のスケッチには、彫刻の質感がしっかりと表現されていた。


その後、優海も自分のスケッチを見せる。「私も、どうかな?」


黒河は目を輝かせて見つめた。「すごく良い!優海ちゃんの描く線が柔らかくて、彫刻の雰囲気が出てる!」


二人はお互いの作品を褒め合い、特別な思い出のスケッチを交換することにした。「これ、お互いの記念だね!」と黒河。


優海はその瞬間、友達との絆が深まったことを実感した。スケッチブックを持つ手が少し重く感じるけれど、それは心が満たされているからだった。


「次は、また一緒に描こうね!」優海は黒河に微笑みかけ、これからの友情がどんなものになるのか楽しみに思った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る