第3話

優海と黒河は放課後に公園で遊ぶことになった。外出に優海は少し緊張していたが、黒河が明るく声をかけてくれることで安心感が増した。




黒河 「優海、何か好きなことある?」


優海 「えっと…絵を描くのが好き。でも、あんまり上手じゃないよ。」


黒河 「それでもいいよ!私も絵が好きだし、最近は友達と一緒に描くことが多いの。」


優海は少し驚いた。自分だけが特別だと思っていた趣味が、黒河にも共有されていることに嬉しさを感じた。


黒河 「どんな絵を描くの?」


優海 「風景とか、好きなキャラクターかな。」


黒河 「今度、私も一緒に描こうよ!お互いに見せ合おう。」


その提案に優海は心が躍る。友達と何かを共有することの楽しさを感じ始めていた。




数日後、学校で黒河と一緒に宿題をしているとき、優海がつまずいた問題を黒河が解説してくれた。


黒河 「ここはこうやって考えたらいいよ。私も最初はわからなかったけど、友達に教えてもらったの。」


優海 「そうなんだ…教えてもらうのっていいね。」


その言葉を聞いた黒河は、優海の反応に微笑んだ。


黒河 「そうだよ。私たち、お互いに助け合えるからね。」


優海はその時、他人との関わりが自分にとってもプラスになることを実感した。黒河と話すことで、彼女の気持ちや考えを理解することができるようになってきた。




ある日の帰り道、黒河がちょっとした悩みを打ち明けた。


黒河 「実は、最近友達と喧嘩しちゃって…どうしようって思ってる。」


優海は驚きながらも、黒河の話を真剣に聞いた。


優海 「喧嘩するのは辛いよね…でも、どうしてそうなったの?」


その会話を通じて、優海は自分の感情を黒河に寄り添いながら理解しようとする努力をしていた。


黒河 「うん、優海に話して、少し楽になったよ。」


この瞬間、優海は他人の気持ちに触れ、自分もまた支え合える存在であることを実感した。




こうした経験を重ねることで、優海は少しずつ共感性を育んでいった。黒河との友情が深まるにつれて、優海の心も開かれていく。彼女はお兄さん以外の人と関わることで、感情を理解し、受け入れる力を得ていったのだった。


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