第2話

優海は学校に通い始めてから、少しずつ自分の居場所を見つけていた。クラスメイトと話すことに慣れ始め、特に昼休みには友達と一緒に食べることが増えた。司はその様子を温かく見守りながら、少しずつ距離を取ることにした。


ある日、優海はお弁当を持参し、いつも通り教室の隅に座っていた。すると、隣の席の女の子が声をかけてきた。「一緒に食べない?」その瞬間、優海の心臓が大きく鼓動した。彼女はその子の笑顔を見て、少し勇気を出すことにした。


「うん、いいよ!」優海は嬉しそうに答え、彼女の隣に座った。話が弾み、意気投合する。彼女の名前は黒河で、同じクラスの子だった。話をしているうちに、優海は次第に自分の好きなことや趣味を語るようになった。


昼食の時間が終わる頃には、黒河と連絡先を交換し、今度一緒に遊ぶ約束をすることに。優海の心は、これまで感じたことのないほどのワクワク感で満ち溢れていた。


その日、放課後に司が迎えに来ると、優海は興奮気味に話しかけた。「ねえ、兄さん!黒河と友達になったの!今度一緒に遊ぶことになった!」


「本当に良かったな、優海。君が自分を出せれたのはすごい成長だよ。」司は優海を褒め、優海の顔には満足感が浮かんでいた。


次の日から、優海は黒河と一緒に登校し、授業の後も放課後の時間を共に過ごすようになった。彼女は少しずつ学校生活に溶け込んでいき、友達と過ごす楽しさを知っていく。


一方、司は優海が新しい友達を作る様子を見て、彼女に少し距離を置くことにした。「優海、君はもう自分でしっかりやっていけると思うから、少しずつ自立してみてほしい。」


優海は少し不安になったが、同時に新しい友達がいることで心強さも感じた。「兄さんがいなくても、私は大丈夫だよね」と自分に言い聞かせた。


こうして、優海は少しずつ自立していく。黒河との友情は深まり、クラスメイトとの関係も広がっていく。司は、彼女が自分の足で立っていけることを信じて、見守る役割を果たしていくのだった。


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