組織作りと

約百人の隊士が集まった頃、土方さんは俺に話しかけてきた。

それは、新しい加わった隊士達が加わった新選組を、どう組織づけるか、という話だった。


「鉄の組織をつくらないといけないんだ。

だが、どういう組織にすればいいのかわからない。

フユ、お前は他の奴らとは少し違う。

意見を聞きたい」


どんなものを参考にしたかを知ってるけど、言っていいのか、これ。

そんな風に悩み、恐る恐る口を開く。


「外国……異国の組織制度を参考にしてみたらどうでしょう」


そう言った俺に土方さんは、驚いたような表情をみせた。


「異国か。そうか…、近いうちに会津に頼んで異国の軍隊制度を聞いてくるか」


土方さんはそれから少しして、本当に会津本陣に向かい、軍隊制度を聞いてきた。

そして、土方さんはそれを全面的に取り入れ、俺や出雲さんの知る新選組の組織になった。

まず"助勤"、これは山南さんから聞いたそうだ。

洋式軍隊でいう、隊長の補佐で、実戦では小隊長となるそう。

隊長は"局長"という、俺と出雲さんのような新選組好きには馴染みのある名前になった。

局長は芹沢さん、近藤さん、新見さん。

助勤には、

一番隊に沖田さん、

二番隊に永倉さん、

三番隊に斎藤さん…と着いていくことになっている。

俺と出雲さんが驚いたのは、史実には存在しなかった十一番隊があり、そこに出雲さんが助勤として着くことになっていたことだ。

そこに入らなかった俺は、此方も史実には存在しない、助勤補佐という、役職だった。

最初俺は、局長の補佐役の助勤に、補佐をつけるのか?と、疑問に思っていた。

土方さんに尋ねたところ、

助勤補佐というのは、期間限定で副長や監察から直接指示された助勤の下に着く。

というのが表向きの内容で、土方さんの本当の目的は、助勤の監視などだという。


「…なんで俺が助勤達の監視なんかしなくちゃいけないんですか」


と、その時に聞いたが土方さんは


「本当は十番隊までしか作らない予定だったんだが…駿の剣の腕前は、試衛館の他の奴らもいる助勤に入れないと勿体無いと思ったんだ。

フユは助勤に入れても良かったんだが、助勤

の人数が多すぎても困ると思ってこうした」


と言っていて、とても反論出来るようではなかった。

そして、監察や諸役なども出来、ほとんど史実と同じ新選組が出来上がった。


それからしばらく経ち、桜が散りかける頃となった。

将軍警護として、大坂までの道中を警護するというものもあった。

だが、特に問題なく集結し、ひと段落した。

そして、俺達は大阪へ行くことになった。

出来れば行きたくない。

というのが、それを聞いた時の俺の素直な気持ちだった。

何故なら、これから起きることが大体予想出来るからだ。

そんな風に思っていたが、六月になり、大阪へと出立した。

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