第6話 未来は俺らの手の中 -2-

と思った矢先の2020年4月。

世界は新型コロナウイルスによって揺れた。

経験したことのない激震だった。


日本中の企業はあらゆる予算を押さえ、無駄な出費を抑える方向に進んだ。

当然、吹けば飛ぶような個人事業主の僕は真っ先に切られる立場なことを理解した。

つかの間の自由だったと再就職を覚悟した時、契約している部長から、


「近藤くんはコストだと思っていないから、契約を切る事はないよ」


と言ってもらった。

一安心すると同時に、一層の忠誠心で仕事を頑張ろうと思った。

これが半年前に会社を辞めた奴の思うことなので、人間とはなんとも不思議な生き物である。

結果として、元の会社とはいまでも良好な関係のまま仕事をさせてもらっている。


新型コロナで良くなったこともある。

リモートワークが主体になったおかげで、時間の余裕ができて2冊目の「運用改善の教科書」を書き始める時間ができた。

2006年にIT業界に入ってから、ずっとシステム運用に関わる仕事ばっかりやっていた。

システム運用は重要な仕事に関わらず、IT業界では軽視されている。

運用は言われたことだけをやり続ければよいという、IT業界全体に蔓延している空気を吹き飛ばしたかった。

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