第5話 未来は俺らの手の中 -1-

個人事業主になるのは簡単だ。

Freeeなどのアプリを使って必要項目を入力して、完成した書類を税務署に持っていけばいい。

入力ミスなどは窓口でチェックの時に教えてもらえるので、必要なのはわからないことをわからないまま窓口に聞きに行く勇気だけである。


無事に個人事業主になった僕は、元の会社で違う立場で働き始めた。

これが驚くほど性に合っていた。

働いてお金をもらう。

もらったお金から税金や社会保険料や経費を払う。

手元にお金が残る。

これが給料だ。

すべてのお金の流れがクリアになり、何にいくらかかっているか全部把握できる。

予算達成目標も自分で決められる。義務的な誰かのための目標設定もない。

やらなければいけないこと、やるべきこと、やらなくていいこと、すべて自分でコントロールできるのだ。

あれだけ怒っていた会社に対しても、お客さんになれば感謝が湧いてくる。


個人事業主になって痛感したには、僕が本当に欲していたのは裁量だったのだ。

案件の状況や信頼関係上で必要なしがらみはあっても、自分がやるべきでないと判断したら次の契約を結ばなければよいだけのことなのだ。

この裁量を自分に手繰りよせたことは、僕にとっては人生を自分に取り戻したぐらい大きなことだった。

これをおそらく、世間では自由と呼ぶ。

これからは自由に、自分の本性に合ったことをやっていこう!

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