N子のレトロな時間:旧式ロボットとの愛しい感覚

マヌケ勇者

N子のレトロな時間

N子はレトロ趣味がある。だから家事ロボットも旧式だ。

黄土色したプラスチックの丸みをおびたボディの彼。

彼が最新型に劣らない働きをすることがN子の自慢だった。


しかしながら彼女の友人は理系である。どうしても納得がいかない。

N子の勤務中にこっそり監視カメラをしかけることになった。

映像を確認する。ロボットは最初まじめに家事に取り組んでいたが、

やはり年代通りぎこちなく作業も遅い。


このままでは終わらないぞと見守っていると、インターホンが鳴った。

来客の彼女は隣の家の家事ロボットだった。

黄土色の彼は彼女にしきりに頭を下げる。

もくもくと地道な窓拭きをゆっくり行う彼を尻目に、彼女はテキパキと部屋を掃除する。

そして彼女がふとこちらへ視線を向けた。

少し思案したのち、彼女は口元に指を当てて秘密にするようサインしたのだった。

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