第13話 おうちデートを阻止せよ
いつもの登校。
[ ▼挿絵 ]
https://kakuyomu.jp/users/kei-star/news/16818093086932871303
今日も変わらずスンデレ実妹とアザトイ系妹属性と一緒だ。
最近では大抵なにかしらで張り合っている二人だが、かといって、かの有名アニメの金髪ツインテールと黒髪ヤンデレのマジバトル程でなく、やや水面下での戦いだ。
少くとも
―――今日の冷戦はスマホ星座占いで俺との相性が何%だとか。はっきり言って数字を出すのをアプリ会社やめてくれないだろうか。 負けてる人のフォローが大変なんですけど。
どうやら
「恋愛運が私の方が10%も良かったですけど、がっかりしなくてもいいんですよ。
ああ、またそんな大人げのない事を。
グヌ~、と拳を握りしめ心中穏やかでない薊。
「大して違わないし。それに
「そうですね。とは言え、お兄ちゃんの優しさに甘えてばかりではダメですよって話しです。
果てしなく遠く険しい恋愛の世界の頂きを制するという事は十億段の階段を乗り越えて行く様なもの。
10%と言えどもあと1億段は残ってるって事を覚えておいて下さい。まだまだ努力が必要だというこの結果に真摯に耳を傾けるべきかと」
「ぐぎぎ……(こんなヘ理屈言う子だったかしら。全然可愛くないし!)」
……そろそろヤバイな。何かフォローだ!
「なあ、あざみんなら例えばもし10%の工夫があるとしたら何する?」
「そ、そうね、え……と、授業中に伝達メモとかで何かちょっとドキドキするトクベツな事でも伝えちゃおっかな。あ、それいいかも。今日やってみよ♡」
微かに眉間を詰まらせる
む~、何助け舟出してるのよ、しかも私ではやりたくても出来ない事を!
片方立てればもう一方が。瞬時に再フォローのリルートを行う
……仲がいいほど喧嘩すると言うけど、この二人、出会った頃の様な良い感じの友達になれないかな。ま、原因は俺にある様だけど……
「そう! 駅の向こう側にチェ―ンの大型画材店が出来たって。今日とか寄って見よっか」
行く行くーっ、の声が完璧にシンクロ。顔を見合わせて笑い合った澄美怜と薊だった。
◆◇◆
「ねぇ
より親密になって、あわよくば告白するタイミングを狙う
「いいよ。2年ぶりくらいかな。何か持ってく? うちのペンタブとか」
「うん、一応もって来て」
ヤッタネ!
「あの子、絶対について来ない様にね。あとスマホも置いてきて。ガンガン連絡来ちゃうし」
*
そして当日 ――――
今回は確約したから邪魔させない! ……ああ、プライベートで二人っきりは初めてかも。少し緊張する。トイレに行っとこ。
永遠園家では―――キョロリと見回してから母に近付き耳打ちする
「母さん、今日、隣のあざみんちに行ってくる。あと
そう言って妹に見つからぬようお隣へ。ピンポーン、と鳴りやまぬ前にドアが開く。
「あ、いらっしゃい。
うん、お邪魔します、と言うや、さっと身を隠す様に入る
……中学時代は何度か来たけど久しぶりだ。高校になっても来るとは思わなかったけど。
カチャンとカギをかけ、まずはリビングへ。浮き立つ足取りで先導する薊が居間入口まで来た所で『キャッ!!』 と飛び上がって驚いた。
「なっ、なんでアンタがここにいるのっ?! いつの間に? どういう事!」
後ろをふり返り、
―――そこには既に薊の母と歓談する
「こんにちは。昨日ケーキ作り過ぎておすそわけに来たの。薊さんトイレだったからお母さんにお渡ししてたら世間話しになって。それとお兄ちゃんの忘れものを届けに。はい、携帯」
「な、なんで忘れものが先に届いてんのよっ!」
いきり立つ
―――てゆうか何で俺の予定がバレてんの?!……澄美怜、恐るべし……
フッ……お兄ちゃん、私の事ナメ過ぎ。
そんな微妙な空気も物ともせず薊の母が
「あらー
「お母さんっ!」
「コホン、それにしても
「いえ、兄情報ですけど高等部での薊さんって校内美少女ランキングで常に上位なんです。私、登校でいつも一緒なので中等部でも男子からよく情報を求められる程なんですよ」
スミレもたまにはいい事言うじゃない……
「でもほんと
かくして三人はリビングを後にする。重い足取りで部屋へ案内する薊。
あーも、折角あんな事とかコンナ事とか、計画が! いや、まだ諦める訳には……
さり気無くもちゃっかり部屋へついて行く
……薊さん、きっと良からぬ事を考えてるに違いない。この防衛ラインを突破されるワケにはいかない。何とかしてお兄ちゃんを毒牙から守らねば……
「ん、まだいたの? じゃあ用が済んだらさっさと帰って」
「そんなぁ、薊さん! 私だって薊さんと楽しく過ごしたいですぅ……」
「そんな困った子犬のような顔してもだめだよ」
すかさず兄に援護要請。「お兄さん、ちょっとだけ、ダメですか?」とすがる様に囁く。だがその様相は凍てついた能面となっていて、病んだ流し目には焦点も無い。
ん!ヤバ、3段活用の2 『お兄さん』 、そして目からも光が消えてる……
「なあ、あざみん、少しならどうかな……」
「……はぁ―っ、全くもう
「まあ少しは役に立つと思うよ。ほら、九州から来て『こっち詳しくないから今度この辺のアニメの聖地巡礼に行きたい』って言ってたでしょ。
「ハイッ、任せて下さい! 特に湘南エリアはですね……、○✕で、ここ辺りは色んな作品に出てくる程のスポットで~……七里ヶ浜とかは○○ブタ野郎とか□しごと……とか、ミュージカルのアニメT○RIT○RIでも。更にマニアックな所では百合系の○い花とかでも使われてて……、あ、そう、青春物の金字塔○ガイルは千葉を舞台にした話なんだけど主要人物の名前はみんなこの湘南の地名から取ってて……」
眉を八の字にした薊は溜め息を軽く吐きつつ、
アニ友だとは分かってたけど、妹ものだけじゃなくって百合にまで手を出してたか……マジこの子、真性アニヲタだな……
「でそれから、そのついでにお兄ちゃんはここのお店に行って、そこの絶品バーガーと中身トロットロのフレンチトーストを海を見ながら食べるのが大好きで~」
ナニッ! 兄情報を巧妙に混ぜてくるとは。これは聞かない訳には……チッ……
「ま、しょ―がないからいいわよ」
「薊お姉様!」
「気持ち悪い! 普通にしてよ…… (全くもうこの子は……)」
―――私よりずっと彼のこと知っていて。私より遥かに長い季節を共有して……
そして誰よりも兄想いで、心底大切にされて……実はとっても素直でイイ子で。私があんな事言わなければ今でもきっと超仲良しで。
『でも妹なんて恋愛対象外なんだから常識的に……』
こんな妹がいたら私だって欲しいよ。友達みたいに仲のいい年の近い姉妹。そんな風になれたかも知れないのに。
同じ人を好きになってしまわなければ……。
そう、分かってるよ、スミレだって同じ切なさの……きっと……『同志』なんだ。
でもお互い譲り合えるほど自分に嘘をつくことも出来ない。
だからいつの日かこの関係に終止符を打てたら、また仲良しでいられるといいね……スミレちゃん。
でもその日までは手抜きはしないでぶつかり合おうよ。
そうするしか私達には納得出来る道は無いんだから……。
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