第五章 騎士の条件

小国アドヴィエスが突然飛空艦を飛ばしてあちこちで戦争を始めたのは、翌月六番目の月、薔薇の月のことである。

 そもそも飛空艦など所有するはずもない、所有していても飛ばせるほどの魔石を持つほどの国力があるとは思えないほどの小さな国がいきなり戦を始めたのだから、世界中が混乱に陥れられた。

 飛空艦はいきなり他国の領空にやってきて、強力な魔導の波動を放ち、その領土を木っ端微塵に打ち砕いてしまうのだそうだ。

「あんな小さな国のどこにそんな資源が……?」

「どうやってそんな強力な魔導師を招聘したんだ?」

 誰もが首を傾げた。

 アドヴィエスの攻撃は日夜を問わず、それは敵味方を選ばなかった。それがゆえに、どの国も戦々恐々として次は我が国か次はうちの国かと肝を冷やしながら日々を過ごした。

 世にいう暗黒時代の幕開けである。

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