第三話 ギクシャク

 ミエを傷つけたかも……私は昨日のことを思い出す。不安になりながらもミエと登校するためにミエの家に向かった。

 不安になるけど、こんなことは何回もあった。いつも結局、何も無かったように話せる。大丈夫だと思っていても胸騒ぎが収まらない。


「あっ、ミエッ!」

「……………………らーちゃん…」


 ミエは明らかに落ち込んだ様子で、玄関から出て来た。私とは目線を合わせない。嘘……ミエを傷つけたままだった?謝らないと!


「ミエ、ごめんね!本当に…」

「ううん、大丈夫だよ…………」

「ごめんね、次の週に遊ぼうね。ごめんね……」


 ミエはうなずき、私を待たずに歩き出した。

 いつもならもし喧嘩した後でもこんなに冷たくならない。から約束していたのに、いきなりダメって言われたら絶対に私は傷つく。たとえ誕生日プレゼントのためだとしても。はぁ……私は何でそんなことを言っちゃったんだろう。

 もっと上手な嘘は無かったのかなぁ…。他の友達と遊ぶ、じゃなくて文化祭の準備とか言えば良かったのかもしれない。色々と自己嫌悪。

 すると、ミエが振り返り口を開いた。


「らーちゃん…………色々とごめんね、これからは自分だけで学校に行くよ」


 そう言って私から離れるように駆けて行く。えっ!?と言うほどの時間も無かった。肩からだんだんと力が抜ける。

 数秒してやっと現実に気が付いた。ミエが私のことを拒絶したんだよね…。

 ど、どうしよう……。ミエに誕生日プレゼントを渡すための嘘を真に受けたミエは深く傷ついた。私だけに悪い所がある。

 もう笑うことしか出来ない、私に泣く権利なんて無い。


「ミエ…」


 私の口からその言葉が弱々しく飛び出した。



♢♦♦♢♢♦♦♢



 月曜日。金曜日も、土曜日道で会った時もミエは私と目を合わせようとしなかった。そしてもうミエの誕生日まで五日になる。

 誕生日プレゼントを買いに行くために隣町のショッピングモールへ買い物に行った。今までミエのために買いに行くという楽しみだったはずなのに、何故かその時は不安で心が押しつぶされそうになった。

 今日、ミエと一緒に登校するためにミエの家に行ってみたけど、ミエは先に学校へ行ってしまったみたい。私はどれだけ嫌われたんだろう……。色々なものが私の頭の中を巡り続けた。

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