第二話 問題発生!

 あれから一日。あの日は大量に買い物をさせられて、買いに行けなくなった。今日は木曜日。そして、ミエの誕生日は来週の金曜日!

 もうすぐで誕生日、誕生日なのに…お母さん……許せないっ!

 明日は、部活のテニス。土曜日はテニスの練習試合。日曜日はミエと遊ぶ。月曜日と火曜日水曜日、木曜日はまた部活!誕生日当日は休みだけどさあ………。

 もう一度私はため息をついた。部活を休む、ということは許されない。私はテニス部員の中で一人だけ中学一年生で試合に出させてもらうんだ。

 それなら、日曜日?

 去年までは『誕生日はプレゼントあげるね~!』ってミエに言っていたけど、今年はサプライズがしたい。今年ももらえることはミエも薄々気づいているかもしれないけれど、どうしても当日まで言いたくない。だから『誕生日プレゼントを買いたいから遊ぶのやめよう』は絶対に言いたくない。

 それなら、やっぱり買いに行けない?

 …いや絶対嫌ダメダメ!ミエに感謝も伝えられる特別な日。絶対に祝いたい。……………嘘をつくしかない?

 私の頭の中に、そんな考えが思い浮かんだ。ミエを喜ばせるため、なら良いのかも?『私は決めた。

 ミエとの遊びをまた来週にしようっ。

 私は友達の小恋ここいこいと移動教室へ向かうために立ち上がった。

 教室から出ると、ミエが私の方に近づいて来る。私のために持って生きてくれた本を受け取り、誕生日を思い出した。嘘をつくのは良くないけど…きっとミエは喜んでくれる。私はそう信じて口を開いた。


「ね、ねぇっ、ミエッ」

「どうしたのらーちゃん?改まって」

「あのさ、日曜日遊ぶ予定だったけどちょっと無理になっちゃって…」


 私がそう言うと、ミエは一瞬目を見開いた。

 今、思い返せば約束していたのは二週間前。やっちゃった、……ミエをガッカリさせたかも。どうしよう、え――っと……………。


「ほっ、本当にごめんねっ…。えっとぉ…そのっ、小恋と憇と至急やらなくちゃいけ」

「分かったよっ、また来週にしよう。じゃ、じゃあ帰るねっ……」


 ミエは、私の言葉をさえぎりうつむきながら去って行った。その目はかすかにうるんでいた気がする。私は息を飲む。私、言い方失敗しちゃったよね?


「空菜、今ウチ達と遊ぶって言ってたけどそんな約束したっけ?」

「あ、ミエの誕生日プレゼントを買いに行くために、ちょっと」

「うん、なるほど。そういうことねオケ~」

「ありがとう、ごめんねっ!」


 私は二人にお礼を言って歩き出す。

 でも、ミエのことが頭から離れなかった。

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