第7話 休憩タイム
「…………疲れた」
しばらく作業を続けていると、気怠げな様子のスズが俺の隣に座り、俺の肩に首をのっけてくる。
先程までずっと集中してハンダ付けをしていたので、だいぶお疲れのようだ。
スズの所属している「災害」セクションの方をチラリと見ると、キャイキャイとこちらを見ながらはしゃいでいる。
どうやら知り合いが恋人といちゃついている姿に興奮しているようだ。
俺はそれを気にしないことにして、一旦作業の進行状況を保存し、パタリとノートパソコンを閉じる。
「スズ」
俺は愛しい恋人の名を呼ぶ。
「んー?」
「俺も少し休憩タイム」
「そ」
スズはぎゅっと俺の手を繋いでくる。
「ねえねえ久留米くん。家での美玲ちゃんって、どんな感じなの?」
と、スズと同じ「災害」セクションの女の子、伊集院みどりが話しかけてくる。
目には、もはや清々しいほどの、溢れでる好奇心を湛えていた。
「まあ、こんな感じだな」
俺はスズと繋いだ手を示す。すると、きゃーっと黄色い悲鳴が上がった。
なんだか、アイドルにでもなったようである。
「いいなー、私も彼氏欲しいなー」
「見つければいいだろ。合コンに参加でもすれば、すぐにできるんじゃないか?」
「いやだよーそんなん。運命の人と出会いたいたいよねーやっぱ。美玲ちゃんみたいにさ」
スズみたいに……か。
スズを見ると、少し耳が赤くなっていた。
どうやら、スズは俺のことを運命の人だと思ってくれているようだ。
「俺もだよ」
とスズに囁くと、ほっぺたまで真っ赤に染まる。とても可愛い。好き。
「あーあ、そーやって二人の世界に入っちゃって……」
みどりがぼやく。
と、今は休憩タイムなのか「災害」セクションのメンバーが次々と襲来してくる。
「美玲ちゃんも、彼氏の前だとこんな感じなんですね。いつも男の子を寄せ付けないような感じなのに」
まあ、男の子を寄せ付けないと言うか、人を寄せ付けないと言うか……
「ねーねー、二人は同棲してるんでしょ?夜の生活……いや、性活の方はどうなのさ?」
と、そんなセクハラ発言をかましてくるのは「災害」セクションのリーダー、大河内藍良だ。
俺は苦笑しながら、ひらひらと手を振る。
「二人の秘密ですよ」
「と言うことは、ヤってるってことだね?」
しかしそれで引くような先輩ではない。
「まあ、ご想像に……」
「どんな感じのプレイしてるの?やっぱり(自主規制)?それとも、(自主規制)までしてるとか?」
昼間から聞くのは少しアレなワードがぽんぽん飛び出てくる。
そこから、スズが「うるさい!」と一喝するまで、俺たちは根掘り葉掘り夜の営みについて聞かれる羽目になるのであった。
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