今カノとのデート
プロローグ
ふわふわと気球が浮き上がるようにして、ゆっくりと目が覚める。顔だけを動かして時計をみると、短針が3と4の間を指している。
俺の腕の中にいるスズはというと、どうやら夢と現の間を彷徨っているようで、何やらむにゃむにゃと呟いている。
何か悪い夢でもみているのか、少し顔は険しい。
俺はスズの頭を、あやすようにして優しく撫でる。
「んう……」
すると、スズは甘えるように俺の胸に頭を預けてくる。
サラサラとした髪が俺の顎を優しく撫でる。
「んん……」
やがてスズは徐々に覚醒し、ゆっくりと目を開いた。
「おはよう、スズ」
「…………」
朝の挨拶をすると、スズは無言で俺のほっぺにキスをしてくる。
そして、また俺の胸に頭を預けた。
「……今日は休日なんだし、もう少しこうしてましょ」
俺はスズの誘いに、頭を撫でて答える。スズは心地良さそうに目を細める。
そんなスズに、俺はイタズラ心が湧いてくる。
耳の後ろの硬い部分をすりすりと擦ると、くすぐったいのか身を縮こまらせる。
ほっぺたをつついてその柔らかさを堪能してみると、ぱくりと指が食べられてしまった。
「もう」
そんないじわるを繰り返していると、スズは攻守交代とでも言わんばかりに、今度は俺の頭を自分の腕の中に閉じ込める。
ちょうど、俺がスズの柔らかな胸に顔を埋める形だ。
「なんか……」
「んー?」
「とても落ち着く匂いがする」
「ふふ。そう?」
スズは優しく俺の頭を撫でて甘やかしてくる。
「……大好き」
「私も大好きよ」
スズに愛を伝えると、間髪入れずスズも愛に言葉を返してくれる。
俺はそれにたまらない充足感を覚えながら、スズをぎゅっと抱きしめる。
「ふふ」
スズは細くたおやかな指で俺の耳をくしくしと愛撫してくる。俺の背中を電流のようなものが駆け抜け、思わず身を捩る。
「逃がさないから」
スズはそう囁くと、ぎゅうっと強く抱きしめて耳たぶをそっと食んでくる。
結局、時計の短針が4を指すまで、計三十分ほど俺たちはそんな感じでベッドの中でいちゃついていた。
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