第11話 結婚!?

人生ゲームはまず、職業を決めるマスから始まる。

職業によって『給料日マス』で貰える金額が変化し、またちょくちょく効果が変わるマスも存在するため、職業選択はかなり重要だ。


一マス目から十二マス目までが職業選択であり、それを過ぎてしまうと問答無用でフリーターになる。

とは言えルーレットで出る目は12までしかないため、一度は定職につくチャンスが与えられるイメージだ。

尤も、職業は早い者勝ちのため、他の人に取られていなければの話だが。


そして、結果は次の通りになった。


アイリーン……カメラマン

俺……フリーター

陽毬……アーティスト

スズ……医者


職業は一マス目から一二マス目まで、スタートから遠い位置ほどいい職業が配置されている。

最初のルーレットで1が出た俺は、一マス目の職業を選択せずに次のターンもルーレットを回した。


そうしたらなんと「12」が出てしまい……職業選択ゾーンを過ぎてしまったのだ。


「フリーター、ね」

「だ、大丈夫だよ!まだチャンスはあるから!」


スズがこちらを睨む。それを見て陽毬が必死でフォローを入れる。なんだか、ダメな息子を前にしたお母さんみたいだ。


「いっとくけど、フリーターになったら別れるから」


いや、お前はなんだかんだいって養っちゃうタイプだろ……


俺はそう思いながらも、小さくなるほかなかった。

そんなやり取りをする俺たちを見て、からからとアイリーンは楽しそうに笑っていた。あ、悪魔だ……


「……ふふ。それじゃあ続けて行きましょうか!」


その後もいろいろなマス目で様々なイベントを起こしつつ、ゲームは進行していく。

概ね俺が先頭を走るゲーム展開が続き、そして人生最初の大きなイベントが訪れる。

その名も、「結婚」だ。


「ふっふっふ。この人生ゲームは……なんと、プレイヤー同士が結婚できるんですよ!」

「………………は?」


なんて?


アイリーンの耳を疑う発言に、俺は結婚マスの文言を確認する。



結婚!?

もう一度ルーレットを回す。出た目に応じて、次のイベントが起きる


1-4 プレイヤーのうち一人と結婚する。結婚相手はルーレットで決定する。結婚相手が既婚者の場合、略奪婚が発生する。

5-8 自分の車に異性のピンを乗せる。

9-12 結婚に失敗してしまった!大丈夫、おひとり様の幸せがあります。



そんな文言が書かれている。

1/3の確率で結婚が失敗するとは、なかなかにシビアだ。


「まあ、三分の一だし、プレイヤーと結婚することにはならないだろ」


俺はそう言ってルーレットを回転させる。

そして出た目は、「1」だった。

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