未開の地

@mixxi

第1話

「目標の星が見えてきました。そろそろ着陸体制に入ります。」

K氏は慎重にレバーを操作し、その緑と青の星に近づいた。

星に近づけば近づくほど、機内の複雑雑多な機器の警告音がさわがしくなった。

「生命反応もあるから着陸の際は気をつけろ」

「はい、あの水辺の草原に着陸します」

生い茂る木々を避けながら、少し開けた草原に乗ってきた宇宙船を止めた。

鳴り止まぬ探知機を置き、たちどころに持ってきた精密な機械で地面を掘り始めた。するとどんどんドロっとした液体が湧き出てくる。

「K船長!原油がでました!」

「よくやった。周りも掘ってみろ、出来るだけ探せ。」

樹々は生い茂り、花や身も多く、虫や動物が飛び交っている。

「この星は地球の資源不足問題を解決できるぞ」

そうK氏は期待をしながらしばらく周辺を探索していた。

K氏は地球における資源不足問題を解決するべく、宇宙へと送り出された。


丘を越えると、原住民がいた。地球人と容姿はそっくりだが、いくらか穏やかな顔つきであった。手に鍬を持ち、ロボットのように全員で同じ動きをして働いていた。

K氏は高機能翻訳機を介して原住民に語りかけた

「ここのリーダーを呼んでくれないか」

すると原住民は皆ポカンとした顔でこう答えた

「リーダー?何ですかそれは」

K氏も驚いたことに、この星には身分というものがなかった。皆で働き皆で分け与え食べ皆で寝る、という文化を持つらしい。誰も自分の必要以上に資源を取ろうともしないし、生活以上に富を欲しない。

K氏は国同士の争いがないのかと聞いたが、そもそも国という単語も、争いというものも初めて聞くようだ。

そこでK氏は地球の文明について原住民に教えることにした。資源の使い方や統率者とその下で働く者、お金というものやそれらの貸し借りすることなどを教えた。原住民は皆驚き関心し、政府や会社、銀行を作り、発電所をつくり電気を使い始めた。皆もとより働き者であったためみるみるうちに文明は発展していった。K氏は尊師としてその星では崇めれた。

そんな生活を2年ほど送ったのちに、地球へと帰る日がやってきた。

別れの間近、星の民族の中で最高位の者がK氏に

「大変お世話になりました。あなたのお陰でこの星はここまで発展しました。また会える日をお待ちしております。」

と言い、宇宙船に詰めるだけの金銀財宝を積んでくれた。

K氏は地球に帰り、その星についての調査をまとめ、近々地球とのいい貿易相手になること、その星の民族は皆穏やかな性格で働きであることを発表し、学界を驚かせ一躍世界のヒーローとした有名となった。その後は多大な富と共に職を引退し、優雅な暮らしを送っていた。

「そろそろあの星をもう一度たずねてみるか」

自家用宇宙船を持ったK氏は、地球を出発し、かつての星に到着した。

しかし近づくたびに、その星がなくなっていることに気がついた。

さらに近づくと、実は無くなったのではなく以前の青色とは異なる、茶色の星となっていたのである。

都市の近くの港に宇宙船を留めたが出迎えはない。

おかしいな、私は歓迎されると思ったが。

K氏はかつて自分が教えた場所である中央街に出てみた。そこで原住民の顔つきが変わったのに気づいた。穏やかな顔つき、雰囲気から誰もが急ぎやせこけ、周りのものに目もくれずに歩いている。K氏は近くの人に話しかけた。

「私は何十年も前にこの星に訪れたK氏であるが、、、」

そう言うと、忙しなく動いていた群衆がピタッと止まり、形相を変えてこっちへ近づいてきた。

これだよこれ、この歓迎だよ、と思ったK氏

しかし群衆の感情はいいものではなかった「捕まえろ!」「殺せ!」「あいつがこの地、この星をめちゃくちゃにしたんだ!」

K氏は現地の警察に取り押さえられ、牢屋に入れられた

「どう言うことなんだ?」K氏は困惑した

すると、かつて自分を見送ったこの星の最高位であった者が牢屋に近づいてきた。

「これは一体どうしたのか、説明しろ」K氏は憤慨した

「あなたのおかげでこの国はここまで発展しました。しかしあなたがさってからこの星は争いが起き大勢の人が死に、貧しくなり悲しみに暮れた。また資源を取りすぎたために今は資源不足や環境を破壊してしまた問題が出てきた。これらは皆あなたが持ちこんだ問題なのだ。恩はあるが、国民は納得しないのでね。」

「あんまりだ、地球へ帰してくれ」K氏はそう言ったが、聞き入れられることはなかった。

「こいつを仕留めれば我が国は他国より優位に立てる。直ちに盛大な処刑の準備をしろ」

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