第3話
放課後ふと東京スカイツリーをめざす。6号線を登るだけ。お財布を持っていかなかったから駐輪場に止められない。なおかつ路駐する勇気もない。そのため乗ったまま写真を撮った。足元が不安定でうまく撮れない。スカイツリーをしたから見上げると膨らみが気持ち悪い。陰茎のような感じだ。もっと観光地かと思った全然そんなことなく。
止める当てもなく暫く彷徨っていると、「お母さんとの”やくそく”」の発音にハマってしまった姉妹を見た。帰るよの合図の後も遊び続けてしまったことで怒られているらしい。だが肝心の姉(といっても幼稚園に行っているかいないかぐらい)とベビーカーに乗った妹が繰り返し「やぐぞぐーやぐぞぐー」と交互にキャッキャとしている。お母さんは困り顔。神社改修中、ベンチには大量の酒の缶といい年したおじいさんたちが揉み合っている。ベロベロで取っ組み合いのようだ。カメラでじゃんじゃを撮ろうとファインダーを覗いていると「兄ちゃん何が見えんの」と声をかけられた。流石に怖かったので軽く会釈しそそくさとその場をさった。帰り道、6号線にママチャリで猛スピードを出す短パンおじさんに遭遇した。リアル亮さんだ。いつでもこんな調子なのか、ふくらはぎが逞しい。中学校のハンドボール班にこういう
ふくらはぎの先輩いたななどと思いつつ、追い付いて若さを見せつけてやろうとした。無理であった。相手はママチャリだというのに。
帰って写真を見直してみるとやはり全部ブレブレだった。
陥溺ソロ @mixxi
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