第25話 神殺し群像劇
016
以下、4日目の11時55分まで省略。
その間特に特筆すべき事項は無かった事を記しておく。
『______ふぅ』
「おや、緊張してるのかい?」
『そりゃあまぁ、一応神との戦争な訳ですし』
「くく、君らしくないな。無神論者だろう」
『こう目の前に出てこられちゃそうも言えませんよ』
「だ、大丈夫です!お二人ならきっと……!」
「……雨杭ちゃんの言う通りだ、大丈夫だよ。君なら神殺し位出来るだろう」
『……貴方がそう励ましてくれるのも珍しいですね』
「これでも心配してるんだよ」
書店院さんが、向こうをスッと見つめる______先には、神。
一辺20メートルのステージの上に立っている。
「……しかし、ステージねえ」
『どうしました?』
「いや、わざわざコレ《ステージ》に持ち込んだ意図は何かなと」
『確か、聞くところによると……あの白々私意の提案らしいですよ』
「……それはまたどうして?」
『主な理由は信者を巻き込まない様にするため……らしいですけど』
「真意は読めたところではない、と」
面倒な男だ。
そう呟きながら、俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「……まぁでも、勝てば問題ないだろう」
『……また無茶を……』
「君なら勝てるだろう?」
『神のみぞ知るってところですね』
「くく、君らしい回答だね______アリル君も、準備はいいかい?」
「おっけーです!」
「宜しい。それじゃあ行ってこい」
背中を一発叩いて突き放す。
「______やぁ、来たかい」
『こんにちは。今日はお手柔らかにお願いしますよ』
「嫌だね」
『さいですか』
アリルをロード。
薬室に弾丸を送る。
「武器は彼だけかい?」
『えぇ。他の武器を使える訳でもありませんしね』
「弱気なのか強気なのかよく分からない回答だね」
『いつだって弱気で生きてますよ、俺は』
「だったら主人公の席なんてすぐ降りるだろうに……
本当、よく分からない______紙でも噛まされてる様な気分だ」
『一枚噛まさせて頂きました』
「存分に結構」
彼が空間から一冊の本を取り出す。
『……?なんだアレ』
「……あ」
遅れて、書店院さんの声。
「……説明して無かったね……」
『……はい?』
「少年!その本は信者を操れる本だ!」
『はい!?じゃあ1対何百ってコトですか!?』
「安心したまえ。その機能は今回は使わないよ」
一言だけ書き込んで、パタリと閉じる。
「信者にこの戦いに干渉しないように書き込んだだけだ。私とて、邪魔が入るのは気分が良くないからね」
放り投げる______空間に溶け込んで、消えた。
「最も、出し惜しみをしないという意味ではないけど」
瞬間______長と短が重なる。
轡の背後に展開される魔法陣共。
数は20程度。
多いなおい。
『初手から物量かよ……!?』
「爆発付与でいい?」
『許可する!ぶっ放せ!!』
「了ッ、解!」
魔法の纏まりの中央に銃口を向ける______射出。
炎が銃身と顔を照らす。
誘爆、魔法陣が弾ける。
「!へえ、やるじゃん」
『世辞をどうもッ!』
そのまま轡に弾丸を入れ込む______が、避けられる。
魔法ではない。
純粋な反射神経。
『……マジかよ』
「生憎マジだ」
追撃……も全部避けられる。
どころか魔法でカウンターされる始末。
弾丸を飛ばして、それを跳ね返されて、それを撃ち落とす。
『キリがねえなぁおい!?』
「あぁ、そうだね……さっさと終わらせてしまおう」
『______なっ』
地面のコンクリートに足が噛まれる。
深く、固く。
『っ今さっき迄のはブラフかよ……!?』
「試合終了、だな」
手を正面に______描かれる法陣。
単純な電気エネルギーの収束魔法。
最も、膝を尽かせるには存分過ぎる威力だけれども。
「閃煌」
『やばっ』
放たれる魔法。
避けきれない______なら。
足を撃ち砕く。
吹っ飛ぶ足首。
なんとか避ける。
「______!」
「なっ!?」
「言ったろう。少年は自分の身体に執着が無いんだ……ったく、本当に後先を考えないヤツだ」
『成る程、だからステージを作らせた……魔法の使用に石という前提が必要だった訳だ』
恐らく、意識を______石を、操る魔法。
くそったれな言葉遊び。
「……面白い!常人ならば食らっていただろうが……流石は、主人公か!」
『やめてくれよその呼び方!嫌いなんッだ!』
追加弾丸______フラッシュ発光。
視界を封じ、放つ______が、背後の床に一発。
『嘘ぉ!?』
「なにやってんの!?」
「貰った」
指一本が向けられる。
先には______肺。
『待っ』
避けられな
「閃煌」
熱い。
トンと胸を押された感触______数秒して、痛み。
呼吸が出来ない。
吸い込めない
流れ出る
まずい
まずいまずいまずいまずい______まずい!
肺が萎むのが分かる。
咳が止まらない
死ぬ
死にそうだ
苦しい
まっじで何にも出来ない
頭が白い
「……
返事が
出来ない
汗が止まらない
ああ
ああ
ヤバイ
ヤバイや
最高だ
思い出す
あの頃を
『……アリ、ル』
「分かってる」
一発。
当然、避けられる。
______射撃線上に。
彼の後ろに刺さった弾丸______反射させるには十分過ぎる硬度。
ガキン
金属音
「______なッ!?」
『死んでくれ』
頭を、撃ち抜いた。
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