第23話 評価A

011

「さて、少年はどうなったかな」

灰舞ったか、それとも未だ生きてるか。

変に唆されてなきゃいいけど。

「……それとも」

既に、知らされただろうか______神様、に。

この世界の神に。

「まぁ、精々知って少年の正体程度だとは思うけれど……」

まさか、この世界が始まる前から研究をしているなんて、

そんな事は無いだろう。

「……ま、私の知った事では無いけどさ。

さぁ、さっさと帰って飯でも食お……ん?」

唐突に、遠方に物影。

それもかなり大きい。

楕円型

蜘蛛如く細い足で建っている。

「……あいつら救済実現委員会共の兵器……では、無さそうだね」

本部から離れすぎてる。

幾らなんでも、兵器を外に放置する事は無いだろう______となると。

「……うーん。タイミングが良いのか悪いのか」

ゆっくりと蠢きだす。

8本の足が、それぞれ独立した生き物の様に。

一人……じゃ、厳しいか。

けど少年を呼ぶ訳には行かない______彼にはもっと大事な役割がある。

なら

「……新人、実戦投入。か」

012

「やぁ、雨杭ちゃん」

「うわぁ!?な、なんでここに!?」

「私の魔法だ______それより、今暇かい?」

「ひ、暇です……?」

「宜しい」

座っていた雨杭の首根っこを掴む。

「……へ?」

「じゃあ行


こっか」

回りの景色が移り変わる______荒廃したビル群へ。

「……!?」

「あそこの奥、見えるかい?」

倒れたビル。

その更に奥を指差す。

「あ、あの蜘蛛……みたいなヤツですか?」

「あぁ、最終兵器だ」

「!?なっ______」

「討伐するぞ」

「ふ、二人でですか!?それも急に______」

「あぁそうだ……他に当てがあるかい?」

「そ、それは……」

「因みに、今回少年はだ。

神との決戦を控えてる以上あまり無理をさせたくない

______というか、本来的に最終兵器と戦っていい身体じゃないからな」

「……か、身体?」

「……そうだね、ちょっとだけ話そうか……おっと、準備しながらね。

少年の身体は

「直接注入の、否定?」

「大気中に普遍的に存在する魔素

______それが人体に害を成す事は無い。

此処等は魔法を学んでるなら分かっているだろう」

「?……はい」

「が、しかし。何事にも例外はある。

少年の身体は、魔素が一定以上量積もるとその機能を停止

______簡潔に言おう、死ぬ」

「しっ______!?」

「ついでに、彼の顔もその影響だ______今頃酷い顔なんじゃ無いのか?

……最も、魔法とかはあくまで魔素をして起こる現象だからね。

よっぽどが起こらない限りは大丈夫なんだけど……」

生憎、今回のはだ。

「多分アイツは少年の弱点まんまの戦い方をするタイプだ。ったく、面倒な」

兵器を睨みながら話す。

「だから、私達二人で……」

「そゆこと、まぁ諦めて付き合いたまえ」

ポケットから括られた糸を出す。

「じゃ、じゃあなんでそんなことをあの人は言わないで……」

「"わざわざ心配させるのは粋じゃあ無い……"

なんて、少年なら言うんじゃない?彼も一応は男子高校生なんだから、

格好付けたいんでしょ」

「……」

「それに、彼にも話したく無いことがあるのさ。

そうだね、あんな身体になってしまった理由とか……

くく、思い出しただけで面白い」

「……聞かない方が、良いですか」

「いや、後で話すよ______最も、今はあっちが優先だけどね」

「______分かりました」

「宜しい」

強い子だ。

それとも無神経?

「基本は私が足を切り落とす。魔法で援護を」

「分かりました。広範囲魔法は」

「アリだ。全対象でも構わない______1分でケリを付ける」

「了解!」

展開

跳糸______向かい合って正面。

センサーが蠢いている。

集合体。

キモい。

「キモいね。______杜若カキツバタ

微塵切り______料理の要領。

全てを切り刻む。

丸見えになった中身に

「______創銃リメイク・ガンッ!!」

雨杭ちゃんが、銃を撃ち込む

______といっても当然、アリルちゃんって訳じゃない。

少年からアリル君を取り上げたら多分不安で泣き叫ぶだろうし。

ならばあれはなんだという話だが……そうだね、

魔法、もしくは模倣ってところか。

アリルちゃんをコピーして作られた幻影。

多分ここら最近で倒した兵器共のドロップ品だろう。

確かそんなのがあった気がする。

「面白い______後で教えて貰おうかな」

大穴の空いた胴体。

中の適当なケーブルを2、3本切断。

一瞬止まった足を絡め切り取る。

「いっぽーん……早うしないと円盤になるよ?」

言いながら、右足二本を纏める。

「雨杭ちゃん」

「はい!」

放たれる弾丸______同時に吹き飛ぶ。

「やるぅ」

右足ラスト一本。

間接部を無理矢理糸で剥ぎ取って、切断。

地に墜ち______

「……っ電磁砲か!」

関節から青白く光が昇る。

神々しく。

「マジかぁ……これ私じゃ駄目だ」

糸を通って流される。

相性が最悪に悪い

「______雨杭ちゃん、上だ」

「はい!」

______ならば、誘導。

銀弾が上空3000m目指して打ち上げられる。

伸びて、延びる。

避雷針。

本来的には成功しないけれど______生憎、幻想世界フィクションなモノで。

兵器から放たれた光が、上へ昇っていく。

……最も、兵器の視線誘導______本当の狙いは、ここだけれど。

一瞬だけ、上向く。

その間に、近付いて穴の空いた本体に腕を突っ込む。

「どうだい、心臓を直で握られる気分は」

血管が千切れていく。

血液が飛び出す。

手には、心臓______もしくは、AI。

「______私に見つかったのが、運の尽きだったね。」

最後のコードが、外れた。

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