第10話 探し者
005
「恐らく東京が最終兵器によって壊滅した事による影響だろう。
他の地区は______そうだな、
京都大阪辺りもこうなってるんじゃないのか」
『道理で、こんだけ人が集まって……』
「今からでも諦めるかい?」
『少女一人置き去りになんて俺は出来ませんよ』
「さすが15才。下心が丸裸だ」
『健全でしょう』
現在博多駅前。
捜索目標は吊屋脚本。
そして推定人口______4000人
1/4000
どうやら、あの戦争より抽選確率は低いらしい。
「……どうしましょうか……」
「取り敢えず私は予定通り研究所の方面を当たるが」
『俺達も予定通り駅周辺を______ただ時間は多めに欲しいですね』
「分かった。4時間取ろう……その後は一旦ココに集合だ。
前述通り見つけたら即拘束______
最悪腕一本ぐらいは切り落としていい」
「ほ、ホントですか……」
『分かりました……連絡は?』
「基本的に無しだ。どうしてもの時は……まぁ君ならどうにかするか」
『随分信頼してくれて』
「不安かい?」
『まさか』
「宜しい、精々努力してくれたまえ少年______幸運を」
『祈る』
満足気な顔。
俺の胸ポケットに例の写真を捩じ込んで。
書店院は颯爽と雑多に消えた。
「……」
『……行ったか』
……さて、
とは言ったものの
全く持って無策。
どうしようか。
「……え案無いの」
『無いよ』
「えぇ……」
「そ、それじゃあ聞き込みはどうですか?」
『本来的にはそれが一番なんだろうけど……』
話を聞くところ、相当な厄介らしい。
逃げられる可能性を考えると、得策とは言えぬだろう。
「……となると、目視?」
『基本そうなるかな。ある程度隠密性確実性はあるし』
「なるほど……」
『そういう訳で……とりま探しにでも行きますか』
006
薄暗い常夜灯が、地下の廊下を照らす。
「さぁて、12個目だ」
コツコツと、踏み鳴らした音が反響していく。
そして、
そして扉が現れる。
酷く重厚で、重工な。
まさしく金庫扉の様な。
「……レコード」
光が浮かび上がる
「知らず、不知火、墓参り」
段々と、魔法陣を形づくる。
「柊、柏打ち、エモーション、きっと」
扉全体に、それが覆い被さる。
「獣道、偲ぶ、アマルガム、等しき……雨音」
最後の言葉を唱えると、途端にその頑丈そうな扉は開いた。
中には、大量のゴミと紙、死にかけライト、机……そして、埋もれた人。
「……日本語からランダムで選ばれた13個の単語。
本来的には、それを全て唱えることで扉が開く……」
妙にくぐもった男の声。
「……たまたまという訳では無いだろう。誰だね、君は」
「私の名前は書店院文庫______君の、元同僚さ」
「……!」
ガバリと、廃材の中から男が起き上がる。
髭と髪が生えっぱなしの、清潔感皆無の顔。
血だらけの白衣。
そして不健康そうに痩せ細った身体。
「久しぶりだね……
彼のどす黒い目は、ただこちらを見つめていた。
「確かに、久し振りだ______もう3年も経つ。
酒でも呑み交わしに来たか」
「生憎そうも言ってられ無くてね。君には聞きたい事があってきた」
「なんだ」
「死者蘇生、だ」
「______!」
「研究してただろう」
「……そういえばそんな時期もあったね、懐かしい」
相変わらずのボサボサ頭を掻き毟りながら書類の波に身を任せる。
「どこにある」
「ここには無い」
「……?」
「もう売った」
「!……なるほど、そう来やがったか」
「なんだい、
「……あぁ」
「ふぅん、珍しいね。君が」
それだけ言って、彼は海に身を投げた______暫く潜水して、やがて一枚の資料を持って上がる。
「……それは?」
「顧客情報。俺は悪用するスタイルでやってるから」
「……取り敢えず君のところでは絶対に買い物をしないようにするよ」
受け取って、眺め見る。
「下から4だ。ソコにある名前……それが蘇生魔法をお買い上げやがったやつの名前だ」
年齢:回答無し
職業:回答無し
住所:回答無し
以下は独自で収集したデータである。
害蟲連合トップ
配下に
詳細は不明。
「……!
「知り合いかい」
「さっき交戦した」
「中々の偶然だな______それとも、必然かい?」
「……さぁ、私には
「それもそうだ」
紙を懐に。
「ありがとう」
「恩は何時か返せ。……因みにお前、害蟲連合については」
「全く持って知らない。後で
「恐らく妨害される。あの連中魔法技術だけは出てるんだ」
「随分詳しいね」
「調べなきゃいけない事情があるのさ______彼らの目的だ」
「……と、言うと?」
「最終兵器の再現。そして世界の再編……
奴らは、この世界をもう一度やり直そうとしてる」
「理由は」
「それこそ神のみぞ知るってやつだ。自分で聞いてくれ」
「……そうかい。情報提供、感謝する」
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