第3話「給料上げろ、クソ女神」



「おつかれーっす、ただいま戻りましたー」


「……実働38分。実質760円の働きだね!」


「安っ!! 

 いい加減、給料上げてくださいよ……。あと時給制止めません? 

 歩合でいいだろ、歩合で」


 よく分からん真っ白な空間に、一人の巨乳美女が忙しそうにパソコンを叩いている。

 この御方は、凄く簡単に言うとである。

 あと、俺の雇用主。


「パソコンなんて珍しい。なにやってんすか?」


 真っ白なデスクに真っ白な椅子。

 そして真っ白なパソコン。

 普段とは異なる異質なアイテムに興味を示し、女神の手元を覗き込んでみた。


「うわ……BLかよ」


「んだよ!! 勝手にのぞき見んな!!

 別にいいじゃん、天界に娯楽なんて無いんだからさ~!!」


 こちとら命張って闘ってきたというのに……。


「次のの予定入ってます?」


「今の所はないねぇ。……ふひひ」


 そうか。

 予定無し、か。

 こうなると一気に暇やな。


「あっ、そう言えばねー。さっき行って貰った世界なんだけどさ」


「?

 何ですか?」


「召喚士の女の子、ちょっとだけ君に惚れてたよ~」


「マジか!!!

 え、ちょっと……また行く事ってできないですかね?」


「君もう倒しちゃったっしょ? 

 だから、無理無理!」


 そりゃそうだよなぁ。

 くっそ。

 めちゃくちゃ可愛かったのになぁ……。

 こうなりゃ、ふて寝じゃ。


 その場に横になり、壁にわざとらしく書かれている


《雇用契約書》

 その1、転生場所はその世界のラスボス戦前でなければならない。

 その2、転生した世界の世界観に合ったスキルや武具がその都度、貸与される。

 その3、途中棄権は認められない。転生世界からの帰還は、ラスボスを倒すか、転生者が死ぬか以外に方法はない。

 その4、時給1200円。賞与昇給無し。


 はぁ……。

 何でこんなみたいな待遇を受け入れてしまったんだろうか……。



 俺は、始めてに来たときのことに思いを馳せる――――。

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