ミステリーの書き方〜簡単なトリックの思いつき方〜

雨宮 徹@クロユリの花束を君に💐

ミステリーの書き方〜簡単なトリックの思いつき方〜

 皆さんはミステリーといえば何を思い浮かべますか? 金田一シリーズのような因習村でのドロドロ? それとも、松本清張のような社会派ミステリー?



 なるほど、上記の作品群は評価が高い。しかし、それは書籍化されているものの中での話だ。ここはカクヨム、アマチュア小説家の憩いの場だ。ガチガチのトリックを使っても、評価はされない。そもそも、それらは長編でこそ活きるのであって、そのままカクヨムで通用するわけではない。はっきり言うと、一部の名作を除いて、ミステリーとカクヨムの相性は悪い。なぜなら、読者は隙間時間に読むからだ。



 そうなれば、必然的に短編での一発勝負になる。カクヨムコンテスト対策の創作論でも触れたが、コンテスト前までに何かのジャンルでトップ5に入りたい。いい意味で目立つためだ。創作論をお勧めしたが、ミステリーも穴場と書いた。今回はミステリーを書いて作者フォロワーを増やしたい方向けのミステリー創作論だ。


※うまくいくとは限らないので、参考程度にして欲しい。



 ミステリーで一発花火を上げるのなら、社会派は厳しい。ミステリーの短編は5000文字が限度だと思う。しかし、この場合は前編後編に分ける必要があるので、前編がつまらなければ、後編は読まれず評価されずに沈んでいく。



 そうなると、トリックで読者をあっと言わせるしかない。ここで多くの人は「トリックなんて、思いつかない……」と考え、諦めるだろう。それは非常にもったいない。



 ここからは自己流のトリックの考え方になる。あくまでも参考程度にして欲しい。



 話は大きく変わるが、皆さんは夏休みの自由研究で何を扱っただろうか。いきなりではあるが、これが重要なのだ。自由研究は比較的身近なものを扱うはずだ。例えば、「10円玉をピカピカにするには」といった感じで。



 自由研究は子供のするもの、という固定概念は捨てるべきだ。10円玉を綺麗にするのだって、きちんと科学的な原理がある。それと同じで、もう少し高度なものになると、「え、そういう原理なの!?」というものが出てくるはずだ。ここは各々で調べて欲しい。一つ目は「自由研究からトリックのヒントを得る」だ。



 上記の場合は「科学的トリック」に分類される。つまり、「なぜ、そうなるのか?」が中心となる。



 次に行こう。今度は「なぜ、そうするのか?」つまり「why」だ。例えば、ここに一卵性双生児の双子がいるとする。2人は学生なのだが、どうやら入れ替わっているらしい。では、なぜ入れ替わっているのか。つまり、「動機を探る」これが主題になる。


※上記の話は私が書いた作品の話だ。



 どんどん行こう。みなさんは日々何気なく過ごしているのではないだろうか。私もそうだ。しかし、その中にこそ、トリックのタネがある。



 例えば目の前に缶だけ売り切れた自動販売機があるとしよう。普段ならなんとも思わないはずだが、ミステリーの視点で見ると変わってくる。「なぜ、缶だけ売れて、ペットボトルは売れないのか」。缶は持ち運びに不便なはずだ。「缶蹴りをするため」だとか、「児童公園の中なので、背が低い子供は缶類しか買えないから」など、考えればいくつか出てくるはずだ。


※思いつきで書いたので、かなり苦しい理由だ。



 このような形で日常のなぜを追い求めるのも一つだ。これをすると、トリックを思いつくだけではなく、なんとなく生きていた日常が楽しくなってくる。辛い会社生活、学校生活も少しはマシになるはずだ。



 さあ、次は「マジックを参考にする」だ。マジックとトリックは兄弟と言っても過言ではない。何かに集中させ、その隙に観客が驚く仕掛けを施す。ただ、ここからトリックを捻出するのは案外厳しい。マジックの多くが「瞬間移動」が多いからだ。さすがに、短編ミステリーで瞬間移動を扱うのは厳しい。あくまで、一つの方法として頭の片隅に入れて欲しい。



 最後は「雑学をもとにする」だ。例えば、「なぜ、新幹線の頭はあのような形なのか?」という問いに対しては「カワセミのくちばしを参考にしている」という答えがある。こういったものは「生物模倣」と呼ばれている。詳しくはネットで調べて欲しい。他にも色々出てくるはずだ。



 今までの話をまとめると、こうだ。

・ミステリーで一発花火をあげるなら短編。

・トリックは科学的原理や日常の謎、雑学をもとに作ることができる。



 こんな感じだろうか。これらを参考にしてもミステリーが書けない人がいるかもしれない。その場合は創作論を書くのがいいだろう。あくまで、カクヨムコンテストまでに上位を取って、目立つならの話だ。無理に実践する必要はない。



 今回はこの辺で。



追記

 「ミステリーは上位を取りやすい」、これは事実です。しかし、普段から盛り上がればいいな、とも思い書いた次第です。一緒にミステリー界隈を盛り上げませんか?



さらに追記

 ここでは、様々なトリックの考案方法を提案しました。しかし、万能薬ではありません。「トリックが思いつかないから、ミステリーが書けない」という悩みをお持ちの方もいるかと思います。そんな人へ別のアプローチの提案をします。それは「SFミステリー」です。



 SFの書き方については下記作品の中で触れています。

『SF短編の書き方』

https://kakuyomu.jp/works/16818093085472195946



 ここから先は上記作品を読んでいる前提で話を進めます。


 SFについては「何でもあり」に近いです。空飛ぶ車を登場させるのもあり、ロボットが普及している世界もあり。ただ、ここでは読者が想像しやすいものや親近感がわくものを使いましょう。



 SFの世界観であれば「月で殺人事件が起こる」というのもありです。月であれば地球より重力が小さいので、それを活かしたトリックを発案することも可能です。つまり、シチュエーションを変えれば、トリックで悩むことは減ります。また、「ロボット三原則」をうまく活かせば、トリックが作れるかもしれません



 月は重力が小さい、これは共通認識です。ですから、作品内で特に触れなくても大丈夫です。一方で近未来都市での殺人になると話は別です。一から丁寧に描写する必要があります。この場合、読者がついてこれなくなる可能性が出てきます。あまり効率がよくありません。



 SFが「何でもあり」に近いのなら、ファンタジー世界でミステリーを書けば? という考えも出てくるかと思います。これはオススメしません。近未来都市での殺人より効率が悪いです。極論を言えば「魔法で殺人をして、痕跡を消しました」なんてこともできてしまいます。何でもありになると、ミステリーとして成立しません。



 ここまでシチュエーションを変えてみることを提案しました。今度こそ終わりです。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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