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「え!」
学校の時間に電話かかってくるなんて!
「すごい、一瞬で誰からかわかった」
「スズわかりやす過ぎ」
「だって嬉しいんだもん!」
ピッ
「もしもーーし」
『やっぱり休み時間だった』
エヘヘ~よくわかってる〜
「今から英語の小テストなの~」
『え、マジ?じゃあ勉強しなきゃだな
用件だけ言うから』
「勉強?なんで?」
『なんでって…』
「こーきゴルフは?勝った?」
『外を見なさい外を』
外?
『この雨で中止』
「そっか、ゴルフって外だもんね」
『学校終わったらうちで待ってて
夕方ちょっとだけ仕事入ったから
迎えにはいけないけどごめん』
今日こーきはお休みだったけど、どこかのおじさんたちとゴルフの予定だった。
そして夜はそのままお酒だって。
なのに
雨ーーーありがとーーー!
梅雨サイコーーーーー!
「何?デート?」
「スズの顔見ればわかるけど」
「ゴルフ中止になったんだって~
嬉しいな~楽しみだな~」
「いいな~」
「何すんの~?」
「さぁ、まだわかんない」
「やぁねキノコ
何するって一つしかないじゃん」
杏奈どや顔。
「あぁ!応用編か!」
応用編…?
「どうしよ!
こーきそのつもりなのかな!」
応用編…
どうなっちゃうの私
キンコーーンキンコーーン
「あぁあ、テストか~」
「さ、席もどろ」
テストどころじゃない。
そして6限目までずっと
「基礎編思い出してた」
「授業中にエロいこと考えてたの?」
「えぇ?!違う違う!思い出してただけ!」
「だからエロいこと考えてたんじゃん」
「復習してただけだってば〜」
長い1日だった。
こんなに授業を長く感じたことはないかも。
デート久々だからかな。
早く抱きしめて欲しいなって
キスしたいなって
あの手で触って欲しいなって
なんだか待ち遠しかったの。
「杏奈は今日どこ行くの?」
靴を履き替え、門に向かって歩く。
私の黒の水玉の傘と、杏奈のギンガムチェックの傘が並ぶ。
「タケルんち〜
お母さんがクレープ作ってくれるの」
「え、いいな〜」
「スズはお風呂にお湯ためて待ってなきゃね」
「なんかオヤツかってこ〜」
「また芋けんぴ?」
「今日は洋風な気分!」
そんなことを言いながら正門を出て、しばらく歩くと見えてくるセブン。
「あ、ちょっと雑誌買っていい?」
「うん」
入口で傘をブルブル振り、傘立てに立てて中に入ると、雨で湿った肌にヒヤッと冷気が貼りついた。
杏奈は雑誌売り場へ。
私はオヤツを物色。
鈴カステラだ〜
スズなだけに鈴カステラ好き
あ、シューチョコ
「ん?」
って声が私に向かって来た。
耳に入った方に振り向くと
え?
飲み物の冷蔵庫前からお菓子の通路を覗き込む人。
「天城ちゃんだ!」
「あ、やっぱり〜
んだよ、制服か」
「だって学校帰りだもん」
「あ、そっか
ここマリアの近くだな」
「天城ちゃんこんなとこでなにしてんの?」
「お得意さんとこ行った帰り。
トイレ行きたくて寄って
トイレから出てきたらお前発見、今ここ」
「今ここって〜」アハハ
「それ買うの?」
「うん!今からこーきの家行くの!
今日ゴルフ中止になったからお休み!」
「そっか…」
「うん!」
「それ、買ってやる」
「え、いいの〜?
てかどんな風吹回したの〜?」
「いいから」
天城ちゃんは私が持っていた鈴カステラとシューチョコを取って、そこに更にシミチョコとビスケットまで加えてレジに向かった。
女子高生に人気な雑誌、runrunをお会計していた杏奈が二度見した。
「スズっころ、友達?」
「うん!」
お会計が済んで外に出ると、天城ちゃんは買ってくれたビスケットを杏奈に渡した。
「お友達にもどーぞ」
「杏奈、こーきの会社の人なの」
「あ、居酒屋行った人?」
「そうそう」
天城ちゃんが腕時計を見る。
「どこまで行く?時間あるし送るよ」
「え、いいの?」
「ラッキー」
天城ちゃんの車は、こーきや静香さんが仕事で使ってるのとは違って黒でちょい大きめな感じ。
乗ると後ろの席にも画面があったり。
「あ、これ自分の車だから
社用車は争奪戦なの」
「よくわからないけど」
「お友達さんはどこまで?」
「駅裏の才崎の方なんですけど」
「天城ちゃん、杏奈」
「はいはい、杏奈ちゃんね」
「私は駅前まで〜」
天城ちゃんは先に杏奈をタケルくんちまで送ってくれた。
駅前の方が手前なのに。
「前に来いよ」
「うん」
一度降りて、助手席に座り直した。
「じゃ、杏奈ばいばーい」
「ありがとうございました」
「いいえ〜」
「スズ!」
車が出ようとした時、杏奈が呼び止めた。
杏奈はわざわざ
「朝霧さんとイチャイチャ、楽しんでね」
そう言って手を振った。
「天城さん…でしたっけ」
「ん?」
「違ったらスミマセン」
何が?
「スズはやめて下さいね」
「鋭いね」
「え、何?」
「傷付けるような事はしないよ
好きなんだから」
「ならいいですけど」
車がゆっくり動き、窓がウィーンって上がる。
ミラーに写る杏奈は小さくなった。
「ねぇ、今のなんの話?」
「何でもないけど
いっちゃん仲良いの?今の子」
「うん」
「いいお友達だな」
「天城ちゃんは?仲良いお友達いる?」
「そうな〜…大学の時の友達とも
転勤転勤で音信不通だし。
ま、でもあんま友達いらないかな
一人の方が好きかもな」
え、そんな事ってある?
友達いないなんて…私絶対無理
「なんだよその哀れみの眼差しは」
「だって…!」
「や、友達ってかほら
下田とか同期と飲み行ったりはするけど
まぁ…でも友達って感じではないか」
「天城ちゃん!」
「は…はい!」
「私がお友達になってあげるね」ウルウル
「う…」
「なんでそんな引くの」
「色んな複雑が一気に襲って来た…」
「なにそれ」
そんな話をしているうちに、車は甲田ホールディングスの裏路地の方に入って行った。
「あ、ごめん駅前だったな」
「ううん、いいよ」
「歩く?」
「こーきの好きな喫茶店に寄っていく!」
「そっか」
会社の駐車場じゃなくて、100円のとこに天城ちゃんは車を停めた。
後ろのドアを開け、私のカバンと買ってくれたお菓子の袋を取って、自分の黒のお仕事バッグも持った。
「ありがと」
「いいえ」
「喫茶店あっちなの」
「ん、じゃーな」
「ばいばーい」
クルっと一歩、天城ちゃんと反対方向に向くと
「なぁ」
「ん?」
「友達になったんなら、ライン」
天城ちゃんがスマホを出す。
「うん!」
天城ちゃんならいいよね。
だってこーきも事情は知ってるんだし。
「ふるふるね」
「今度どっか行こうぜ」
「どっかって?」
「ショッピングとか?」
そっか、天城ちゃんあれだよね。
「天城ちゃん!
女の子の格好してきていいからね!
女の子ショッピングしよう!」
「や、ちが……まいっか…」
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