スズ病
オーーマイガーーーーーー
怒らせてしまった…
だって
だって
だって
仕事なんだ仕方ねえじゃん!
彼女が春休みなんで休みますってわけにいかねえし!
「ただー…い…」
「…ぅわぁ!ビックリした…
なんなのよ!存在感消さないでよ!」
「朝霧さん…半透明になってますよ…
どうしたんんすか?」
「え、あんたスズちゃんと
うどん行ったんじゃないの?」
「あんなウキウキして出てったのに~」
「「まさか喧嘩?」」「ですか?」
「あ…そうだ
小太りハゲが印鑑持ってくるんだった…」
ふら~…
「部長…印鑑を…」
ふら~…
「応接室つかいます…
あ…コーヒーいれなきゃ…」
ふら~…
「重症」
「え、喧嘩?」
「めったに…といかほぼ喧嘩なんかしないし
メガンテ食らったんでしょうね」
※メガンテとはドラクエの呪文の一種であり
死亡、または瀕死に近いダメージを与える
いきなりメガンテされると
ぬわーーー!マジか!!Σ( ̄□ ̄;)ってなり
その後チーーン(゚_゚)となる
ガンッ!
「ちょ!朝霧なにやってんだ!そこドア!」
「ガラス大丈夫か!」
「ドア開けないと出られないからな、気をつけろ」
「通り抜けようと思ったんすかね」
「ドアすら見えなかったのかしら」
「静香ちゃん」コイコイ
部長が呼ぶ。
「朝霧どうかした?」
「わかんないですけど…
昼休みにスズちゃんとランチに出て
戻ってからあれなので
たぶん怒らせたとか押し倒して拒否られたとか」
「押し倒した?!」
「それかまさか…別れ話?」
「はぁ?!」
「わからないけど
今の朝霧はスズちゃん次第なんで」
「んっとにもう…
静香ちゃんフォロー」
「私今から外なんで」
「あ、余田くんごめん
朝霧のフォローしてやって」
「えぇ?!」
「下田、カワムラ予約
話聞いて明日までにどうにかしてこい」
「イエッサー!」
「ホントどうにもならんな」
「スズちゃんは朝霧の強みだけど
最大の弱点ですから」
「強みの成果がデカすぎて注意もできん」
スズが怒ってる
スズが怒ってる
スズが怒って帰った
顔が怒ってた
あんなにニコニコしてるスズが怒った
俺のこと嫌いになったんだ
スズに嫌われた
スズがいなくなったら
「……」
死ぬしかない
「あ」
コーヒーの粉、ペーパーに入れるはずなのにシンクにドサって。
「お前なに粉捨ててんの…」
「余田さん…」
「貸せよ…」
余田さんがコーヒーをいれてくれた。
てかこの人コーヒーいれれたんだ。
いつも威張ってばっかで雑用は何もしないから知らなかった。
「お前オーストラリア行くんだろ?」
「はい…」
「そんな調子で行ったら真壁さんぶち切れるぞ」
あんなダンディーで優しそうな人が?
「怖えからな、あの仏の微笑みの裏は」
「そうなんすか…」
「とりあえず謝っとけ、JKに」
「謝る…?」
スズは謝って欲しいのか?
仕事でごめんって
休みなくて遊んでやれないでごめんって。
そういうことなのか?
「そんなわけないでしょバッカじゃないの」
ドンッ!
勢いよくジョッキが着地。
乾杯からのジョッキ半分なくなる女なんて嫌だ。
「まぁまぁ静香さん
この男がさ、仕事だから仕方ねえだろって
冷静に退けることも出来ず
半透明になるほどダメージ食らうんだから
いいじゃないですか」
「あと、同時に俺もディスられた感あるよな」
「そうですね
余田さんも朝霧タイプですし」
「俺そんな冷静に退けたりしないし」
「そうだな
余田はうっせえ馬鹿野郎!って
押さえつけるタイプだ」
「花田さん、いくら余田さんでもそれはないでしょ」
部長命令でのこの夕飯タイム。
部長はお金だけくれて参加はしなかった。
静香に「女心をたたき込んでやれ」って命を下して。
「ま、静香さんに女心ってね」
「確かに~」
「ホントそれ」
「すみませ~ん、生とホルモン焼き」
「あ!自分も生!あとササチー!」
「は~い!」
「朝霧、スズちゃんが何を求めてるかわかる?」
「それがわかったらこんなことにならないですよ」
「俺この焼きおに茶漬け食いてえ」
「もうご飯ですか?」
「とりあえず腹減ったし」
「朝霧の恋の悩みとかどうでもい~」
「花田さん、あのスズちゃんは
契約二件取ってきた敏腕なんすよ」
「小本商会とか疋田船舶とか」
「マジかよ」
「手当やんなきゃ」
「実際スズちゃんゲットしてから
朝霧の評価も確かに上がってるしね」
別に仕事のために付き合ってるわけじゃ無いし、スズのために仕事してるわけでもない。
じゃあなんなんだろ。
スズが望むなら、もっと休みが取れるとこに転職したっていいじゃないか。
でも甲田ホールディングスを辞める?
いや違うな。
確かに仕事は楽しいんだ。
認められれば嬉しい。
頑張ろうと思える。
スズが居てくれたら尚更だ。
仕事も雑用もなんでも洗濯も掃除もゴミ捨てだって、たぶん生きてること自体がスズがいるだけで違うんだ。
「でもだから…どうしろっていうんだ…」
プシュ~…
「あ、空気抜けた」
「だめだこりゃ」
スズがいないと
何も出来ない
『転職』ポチ
「アホか」
「なに検索してんだ」
「乙女心検索しろや」
「ちゃんとスズちゃんに言ったの?あんたの気持ち」
俺の気持ち?
「ゆっくり会いたいのは
朝霧だって同じなんじゃないの?」
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