必死の告白
「やだ!心の準備できてない!」
「ほら早く行って!」
「まだケーキ残ってるもん!」
「口をお開け!」
フガッ…!
もぐもぐ
「スズちゃんがいたらする事出来ないしさ
そろそろ空気読んでくれる?」
「する事ってなに…」
「ナニ」
「いやーー!」
「お母さん帰って来たらできないし
早く帰ってくれる?」ホホエミ
ニコニコしてそんなこと言わないでーー!
「はい、荷物」
「え」
ポイッ!
ガチャ
追い出されてしまった。
「……」
こーき来てるんだよね。
どんな顔してなんて言えば…
何を言われるのかな。
また涙がこみ上げる。
涙の制御機能はもうおかしくなってる。
広い玄関で靴を履き、ゴージャスで大きな扉を開ける。
「お邪魔しました…」
ぼそっと言うと
「スズ!素直な気持ちだけ言えばいいよ!」
「自分の気持ちだけでいいよ、考えるのは」
階段の上から2人が顔を出した。
「ありがと」
はぁ~
大好き2人とも。
玄関を出て、お庭を通り抜け顔を上げると、タケルくんの部屋の窓から2人が手を振った。
だからそれに振り返し
門を閉めた。
キィッと擦れる音がして、ガチャリと引っかけ錠が掛かる。
クルッと道の方に向き
なんとなく顔を上げたその先に
「スズ!」
なだらかに上る道
息を切らして
「こー…き……」
走ってそのまま
「スズ…!」
ギュッと抱きしめた。
走ってきた勢いのまま
その風まで纏う。
「ごめん…ごめんな…」
「こーき……」
「スズ、大好きだから
ただ大好きなだけだから」
「でも…!」
「スズは悪くない!
俺が悪かったホントごめん!」
こーきは腕を離す。
私の両肩をガシッと持って
真剣な顔でじっと見る。
「スズが18才になるまで続きはしないから」
は?
「や、違うごめん
18才っていうかスズが怖くなくなるまで
なんの抵抗もなくしたいと思えるまで
いくらでも待つから待てるから」
「でも…」
「あーでも
スズが抱きしめて欲しいならそれはしたいし
キスしていいならしたい!
でもその先はしないから安心して」
「それは…」
「ん?」
「私のこと…」
「大好きだから!
好きってレベルじゃない!
だからあのメモのこと無しにして!
お願い!スズがいないとか無理だから!」
そんな必死に…
「頼む…俺の人生の意味はスズなんだ
スズに出会ってスズと生きていくことなんだ」
泣くーーーーー
「ごめんなさい…」
「え…?
え…何のごめんない?」
「勝手に…逃げ出して…
こーきに好かれてないかもって思ったら
逃げ出したかったの……」
「スズ」
顔を上げるとこーきが笑う。
優しい顔で私の涙を拭いて。
「誰に何を言われても
俺の口から聞いたんじゃない事を信じないで」
「うん…」
「ちゃんと言うから。
スズが不安にならないようにすぐ会いに行くから」
「私も…
不安になる前に…こーきに話すね」
「まだ俺のこと好き?間に合った?」
「うん…!大好き!!」
抱擁
↑民家の建ち並ぶ路地の夕方です
「スミマセン…
ラブシーンは遠慮して貰っていいですか…
ご近所の目もありますし…」
「タケルくん!」
「スズ!よかったね!」
「杏奈!」
「聞いてたのかよお前ら…」
「もっと感動的なセリフ
カッコよく言うかと思ったらだいぶ必死でしたね」
「うっせえ!」
「ま、そっちの方がよかったけど
ね、杏奈」
「ダサくてカッコよかったですよ〜」
こーきは真っ赤になった。
こうして私とこーきは、沢山の人を巻き込みまくって
無事、元の鞘に収まることになりました。
こーきの言うこと以外信じない
心にしっかりと刻み。
.
「えーーこれが可愛い!
ペンキ柄!スプラみたい!」
「いいねいいね、スズちゃん似合う」
「や、でも長い目で見たら…」
「その時また買ってやればいいじゃん
大人っぽい柄のやつ」
「ですよね」
可愛いのいっぱいあって迷う。
「私このシックな花柄にしよ~」
「お洒落~」
「スズちゃんあとはインナー
ハーフトップみたいなブラ持ってる?
普通のより全然そっちがいいよ
動きやすいから」
「そうなんだ~持ってない」
「あとは薄手の肌着と
その上はフリースとかトレーナー」
「トレーナーならある」
「インナー見てくるから」
「あ、はい
待ってます」
ウエアに下着に靴。
さすがに板は買わなかったけど、すごい金額をこーきが払った。
静香さんの分も、お礼でお詫びで心付けなんだとか。
「次は何見る?」
「ニコアンド!」
「いいね」
「3人でリンクコーデしたい!」
「それは嫌だわ~2人でやって」
「えぇぇいいじゃないですか~
3人でボーダーとかにしようよ~
ね、こーき!」
「お好きにどうぞ…」
買い物に行けたのは、旅行の前前日だった。
静香さんとこーきと3人で。
「あ、私ヒール欲しいんだった~」
「それはもう関係ねえよな」
「こーき私マリオカートほしい!」
「うん、あとでツタヤ行こうな」
「なんでマリオカートは買うのよ」
「だってスズのおねだりだし」
「こーき私ヒールほしい!」
「死ね」
「静香さん一緒にゲームやろうね!」
「いいわね、夜はゲーム大会ね!」
「やった~!」
麻衣ちゃんは麻衣ちゃんでお姉ちゃんなんだけど
静香さんも私の頼りになるお姉さんって感じ。
最大のピンチを
助けてくれた。
シモピーさんが教えてくれたその取り乱し方が
すごくすごく
嬉しかった。
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