第25話 多分俺は尻に敷かれるんだろうな
「見て!冬真さんすごく綺麗だよ!」
「だな。俺もこんなに綺麗なイルミネーションは初めて見たかもしれない」
あれから俺たちは夜まで街を見て回って夜になったらイルミネーションをやっている専用の施設を訪れた。
やはり入場料を取るだけあってとても美しかった。
「私こういうところ本当に始めてきたからすごくうれしいよ」
「それは俺もだよ。秋奈と居なかったらこんなところには来なかっただろうから俺も嬉しいよ。ありがとうな」
隣にいる秋奈の頭を撫でながらそういった。
本当に秋奈には助けられてばかりだ。
命の恩人といっても差し支えない。
「えへへ~じゃあもっと見て回ろうよ!」
「わかったから引っ張るなって」
秋奈に手を引かれながら俺達はイルミネーションを見て回る。
真っ暗な空に綺麗な電飾が光り輝いていて本当に綺麗だった。
今まで見てきたイルミネーションとは違う。
全てが色づいていて鮮やかな色で輝いていた。
今まで灰色の景色しか見ていなかった俺にとって本当に新鮮な感覚だった。
「冬真さん何かあった?」
「ん?なんでだ?」
「だってすごく優しい表情をしてたから。何かいいことがあったのかなって」
どうやら顔に出ていたらしい。
すごく優しい目で秋奈はそういってきた。
「まあな。秋奈と一緒にいると全部が楽しいなって思ってな」
「じゃあ、付き合っちゃおうよ」
「だから、年末まで待てと」
「だって多分だけど冬真さんの中ではもう答えが出てるんじゃないの?」
答え。
たしかに秋奈の言う通り俺の中では答えが出ている。
ただ、自分の気持ちを整理できてないだけだ。
だが、それもいいわけなのは自分でももう気づいている。
流石にそれに気が付かないほど鈍感ではない。
「お見通しかよ」
「だって冬真さんわかりやすいんだもの。で?どうするの?」
「全くこういう所でお前は本当にぐいぐい来るよな。わかったよ俺の負けだよ。秋月秋奈さん俺と付き合ってくれませんか?」
「はい!喜んで」
言わされるような形にはなったけどこの言葉には偽りがない。
紛れもない本心だ。
俺は多分ずっと前からこいつのことが好きだったけどそれを認めずに俺はその感情から眼をそらしてた。
眼をそらして死んで楽になろうとしてただけなんだろうな。
「なんか改めて言うと恥かしいな」
「ふふっ。これからよろしくね?彼氏さん?」
言いながら秋奈はその場でくるりと回ってウインクをしてきた。
全くこいつにはやっぱり敵わない。
「じゃあ、ここでキスでもしとく?」
「お前は本当にムードもくそもないな」
「だめなの?」
「だめじゃないが」
言いながら俺たちはイルミネーションに照らされながら初めてのキスをした。
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